MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース / 2024年11月21日 13時10分
MotoGPバルセロナ公式テストが、2024年11月19日にスペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行なわれました。2025年シーズンからMotoGPクラスにステップアップする小椋藍選手は、MotoGPマシンを初めて走らせ、トップから2.143秒差の21番手でした。
■新たな環境でスタートした、MotoGPクラスの小椋選手
2024年シーズンのMotoGP最終戦ソリダリティGP・オブ・バルセロナの2日後、MotoGPクラスの公式テストがスペインのバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで行なわれました。このテストは2025年シーズンに向けた最初のテストという意味で、非常に重要です。ある意味では、この日から次のシーズンが始まります。
小椋藍選手(トラックハウス・MotoGP・チーム)
チームを移籍するライダーはもちろん、ルーキーもまた、このテストで新しいチームに合流し、MotoGPマシンを走らせます。2025年シーズン、アプリリアのサテライトチームであるトラックハウス・MotoGP・チームからMotoGPクラスに参戦する、2024年Moto2チャンピオンである小椋藍選手も、その1人です。
テストは10時から17時にかけて、快晴の下で行なわれました。朝は吐く息が白いほど低い気温でしたが、太陽が高く昇るにつれて、次第に気温も上がっていきました。
テスト仕様のトラックハウス・MotoGP・チームカラーのレーシングスーツを纏った小椋選手は、走行前にピットのライブタイミング画面を眺め、上半身をストレッチし、やって来たチーム代表、ダビデ・ブリビオさんなどと言葉を交わしていました。走行前の小椋選手の表情はどことなく硬かったのですが、やはり緊張があったそうです。
小椋選手のピットにいるのは、2024年のミゲール・オリベイラ選手を担当していたクルーたちです。クルーチーフも、8シーズンをともに戦ったノーマン・ランクさんに別れを告げ、オリベイラ選手を担当していたジョヴァンニ・マッタロッロさんと組むことになります。
小椋選手がMotoGPマシンを初めて走らせる瞬間
初めて乗るMotoGPマシン、未知のMotoGPクラス、新しいチーム、そして新しいクルーたち。そんな全く新しい環境のなかで、10時半ごろ小椋選手は走り出しました。テストでは、全ライダーの中で最多の86周を走り、55周目に1分40秒946を記録して、21番手でした。
このタイムは、この日トップだったアレックス・マルケス選手(グレシーニ・レーシングMotoGP)と2.143秒差で、アプリリア勢ではトップ、5番手だったラウル・フェルナンデス選手とは1.475秒差です。
参考までに、ソリダリティGPでフランチェスコ・バニャイア選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)によって記録されたベストタイムは1分38秒641で、2.305秒差となっています。
ルーキー勢としては、ドゥカティのデスモセディチGPを駆るフェルミン・アルデゲェル選手(グレシーニ・レーシングMotoGP)が1分40秒564の20番手でした。小椋選手のタイムは、ルーキーの最初のテストとしては標準的と言えそうです。
小椋選手はMotoGPマシン初走行で86周を走り込み、タイムは21番手
テストを終えて、小椋選手は「楽しかったのももちろんあるし、大変だったのももちろんあるし。いろいろでしたね」と振り返っています。350km/hを超えるスピードで走るモンスターマシン(この日の小椋選手のトップスピードは347.2km/hでした)の印象について「こんな感じなんだ、と思いました」と、淡々としたいつもの口調で語っていました。
MotoGPマシンにはライドハイトデバイスを使うタイミングなどを含め、操作しなければならないボタンが多くあります。ただ、今回は「お前はこっちに集中しなくていいぞ」と走らせてもらったとのこと。小椋選手自身も明確な達成目標を持たず、「そのとき」のマシンのフィーリングを追い続けて走っていたそうです。
小椋選手は、現在の課題について、こう語っています。
「今のMotoGPマシンの理解度は、100で言ったら、10、20じゃないでしょうか」
「コーナーの進入もまだだし、タイヤやバイクもわかりきっていないことだらけです。最後のもうちょっと、というところにまだ踏み込めていないところもありますし。コーナーの立ち上がりでもバイクをあまり暴れさせないで(立ち上がる)、とか、やることがいっぱいあります。早く学んで、全てを良くしていくしかないですね」
「(その中での最優先事項は)コーナーの進入、ブレーキを始めたところから、アクセルを触るまでのところの方が、早めにやらなければいけないことだと思います。そこが決まってこないと、いろいろとうまく回らないと思うので」
トラックハウス・MotoGP・チームのピットの様子
この日走った中でも最多となる86周を走りましたが、ひどい疲れなどはなかったそうです。
「どうだ、疲れたか、とは聞かれましたけど、今日の86周で、一番長いスティントでも11周でした。この中で問題があったわけではないです。もちろん、前のカテゴリー(Moto2クラス)にいたときよりはもうちょっと(トレーニングを)やりますけどね。大きくは変えないと思います」
MotoGPマシンを初めて走り終えた小椋選手には、最高峰クラスにたどり着いた、そしてそのマシンを走らせた興奮などはあまり見られませんでした。全く無かったというわけではないのかもしれませんが、むしろ、囲み取材で答えているときも、少し前まで乗っていたMotoGPマシンの理解を続け、「どう改善をしていこうか」と考えを巡らせているように見えました。いつものレースウイークのように、です。
小椋選手が次にアプリリアのMotoGPマシン「RS-GP」に乗る機会は、2025年2月上旬にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行なわれるテストとなります。ただ、ルーキーはシェイクダウンテストから参加することができるため、レギュラーライダーよりも3日間、多く走ることができます。
オフシーズン中、MotoGPマシンに乗れずとも、小椋選手はこの日に得たインフォメーションをもとに、テストに向けて確実に準備をしてくるでしょう。次にMotoGPマシンに乗るとき、どんなパフォーマンスを見せるのでしょうか。
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