映画史に残る相米慎二監督の『お引越し』『夏の庭 The Friends』が4Kリマスター版で劇場公開

『セーラー服と機関銃』『台風クラブ』などで知られ、没後20年以上が経った今も、現代の日本映画界を支える映画人たちから熱烈に支持され続ける相米慎二監督。そのキャリアのなかでももっとも成熟した時期につくられたと言われる『お引越し』『夏の庭 The Friends』が4Kリマスター修復され2024年12月27日(金)より全国順次公開されます。

■世界に再発見された鬼才の名作

『セーラー服と機関銃』『台風クラブ』などで知られ、没後20年以上が経った今も、現代の日本映画界を支える映画人たちから熱烈に支持され続ける相米慎二監督。そのキャリアのなかでももっとも成熟した時期につくられたと言われる『お引越し』『夏の庭 The Friends』が4Kリマスター修復され劇場公開されます。

『お引越し』(c)1993/2023讀賣テレビ放送株式会社 原作：ひこ・田中「お引越し」 『夏の庭 The Friends』(c)1994/2024讀賣テレビ放送株式会社 (c)1992湯本香樹実／新潮社

　昨年の第80回ヴェネチア国際映画祭では『お引越し』がクラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞。その後フランスで劇場公開されるや、当初の数館から130館以上に公開拡大する快挙を成し遂げました。また、フランスを代表するル・モンド紙の一面で取り上げられるなど、各メディアから「（日本公開から）30年の時を経て、ついに姿を現した」「青春映画の偉大な作品」と絶賛の声が集まっています。『夏の庭 The Friends』も2024年の香港国際映画祭［夏季］で大規模な相米慎二監督特集とともにワールドプレミアを迎えつなど、海外での注目の高まる2作が満を持して日本国内で《凱旋》公開となります。

『お引越し』(c)1993/2023讀賣テレビ放送株式会社 原作：ひこ・田中「お引越し」

　1993年公開の『お引越し』の主人公は京都に住む明るく元気な小学6年生、レンコ。父ケンイチが家を出て、母ナズナとの二人暮らしが始まりました｡ナズナは新生活のための規則を作りますが、レンコは変わっていこうとするナズナの気持ちがわからない。離婚届を隠したり、自宅で籠城作戦を決行したり、果てにはかつて家族で訪れた琵琶湖への小旅行を勝手に手配して……。両親の別居に揺れる少女の心が躍動感たっぷりに描かれます。

『夏の庭 The Friends』(c)1994/2024讀賣テレビ放送株式会社 (c)1992湯本香樹実／新潮社

　翌1994年公開の『夏の庭 The Friends』は、「死」への興味から奇妙な老人と関わりを持った小6トリオのひと夏の成長記。木山、河辺、山下のトリオは、祖母の葬式に出席した山下の話を聞き、「死」に興味を持ちはじめます。近所に住む一人暮らしのおじいさんがもうすぐ死にそうだ、と聞きつけた3人は、家を張り込むことに。はじめは少年たちを追い返そうとしたおじいさんも、次第に彼らを受け入れ始めます。そんなとき、ひとりぼっちのおじいさんのために、3人はある計画を思いつき……。

現代の日本映画界を支える映画人たちから熱烈に支持され続ける相米慎二監督

　相米慎二監督といえば、『セーラー服と機関銃』での語り継がれる長回しのバイクシーンを思い出す人もいるのではないでしょうか。アイドル映画という枠組みを超えた鬼才と呼ばれる相米監督の演出が光る名作です。

　また、今回公開される『お引越し』で、主人公のレンコが父ケンイチの運転するバイクの後ろにまたがり、父の背中にギュッとしがみつきながら語り合うシーンも胸に迫る名シーンとなっています。

『お引越し 4Kリマスター版』『夏の庭 The Friends 4Kリマスター版』は、2024年12月27日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開です。