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ここ30年で最も劇的な進化を遂げたロングセラー車 ロイヤルエンフィールド「ブリット350」とは

バイクのニュース / 2024年12月24日 11時10分

排気量349ccの空冷単気筒エンジンを搭載するロイヤルエンフィールド「Bullet 350(ブリット350)」は、長い歴史を持つロングセラーモデルです。2024年型のフルモデルチェンジで新世代となり、その印象は大きく変わりました。一体どのような乗り味なのでしょうか。試乗しました。

■約30年前は、シーラカンスだった!?

 ホンダの「スーパーカブ」やBMWモトラッドのフラットツインGS、ハーレーダビッドンの「ウルトラ」や「ローライダー」など、2輪の世界にはいろいろなロングセラーが存在します。そういったモデルの中で、私(筆者:中村友彦)がバイクメディアの仕事を始めた1990年代中盤と現在を比較して、最も劇的な進化を遂げたと感じるのは、ロイヤルエンフィールドの「ブリット350」です。

ロイヤルエンフィールド「Bullet 350」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)ロイヤルエンフィールド「Bullet 350」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 何と言っても今から30年ほど前の「ブリット350」は、2輪の世界のシーラカンスと呼びたくなる存在だったのですから。

 と言うのも当時のロイヤルエンフィールドは、1955年型の「ブリット350」をほぼそのままの状態で販売していたのです。

 どうして1955年型なのかと言うと、インドでノックダウン生産が始まったのが1955年だったからという単純な理由ですが(イギリスの本家が初代を発売したのは1932年で、現行車に通じる車体構成を採用したのは1949年から)、1990年代中盤の基準で考えると「ブリット350」はすべての要素があまりに古く、ヤマハ「SR400」をモダンバイク(?)と感じるほどでした。

 ただし旧車好きの視点で見るなら、1955年型と大差ないモデルが新車で購入できたという事実は、歓迎すべきことだったように思います。もっともバイクメディアで仕事をする人間として、当時の「ブリット350」を絶賛ができたのか言うと、それはなかなか難しいところでした。

 とはいえ、2024年から国内発売が始まった現行モデルなら、私は自信を持って万人にオススメできます。もちろん、ネオクラシックモデルや単気筒に興味がないライダーに薦めるつもりはありませんが、昔ながらのスタイルや乗り味に興味を抱いているライダーなら、現行の「ブリット350」が気に入る可能性は相当に高いでしょう。

■シリーズ史上最大の改革を敢行

 そんな「ブリット350」は、2024年型でシリーズ最大の改革を敢行しました。と言っても、基本構成は2023年に登場した現行「クラシック350」と共通なのですが(外観から判別できる相違点はシート、リアフェンダー、インジェクションカバー、そしてカラーリングのみ)、90年以上に及ぶこのモデルの歴史を考えると、2024年型で行なわれたフルモデルチェンジはなかなか感慨深いものがあります。

ロイヤルエンフィールド「Bullet 350」(2024年型)ロイヤルエンフィールド「Bullet 350」(2024年型)

 中でも最も注目するべき要素は、振動を緩和する機構としてエンジンのクランクケース内に1軸バランサーを新設したことでしょう。

 さらに言うなら、動弁系をOHVからOHCへ、ボア×ストロークを70×90mmから72×85.8mmへ、1次減速をチェーンからギア式に変更したことなども、同社の新世代空油冷単気筒を語るうえでは欠かせない要素です。

 また、フレームは基本的に伝統のダイヤモンドタイプを継承しているのですが、下部には剛性向上に寄与しそうなボルトオン式のダウンチューブを追加しています。

■開発陣が、勘所をしっかり理解している

 やっぱりロイヤルエンフィールドは、伝統の排気量350ccクラスの単気筒エンジンの勘所をしっかり理解しているんだな……あら、何だか上から目線な発言になってしまいましたが、新世代の「ブリット350」をいろいろな場面で走らせた私は、しみじみそう思いました。

新世代の「Bullet 350」は、昔ながらのスタイル、ホッとするハンドリングと軽快な動きが印象的新世代の「Bullet 350」は、昔ながらのスタイル、ホッとするハンドリングと軽快な動きが印象的

 と言うのも近年のロイヤルエンフィールドのニューモデルからは、見方によっては日欧米の主要メーカーを凌駕しているんじゃないか……? と言いたくなる想像力と技術力が感じられるので、もし伝統に興味がないエンジニアが設計を担当していたら、運動性や快適性や利便性が向上していようとも、旧車感が希薄な乗り味になっていたのではないかと思います。

 でも新型では、エンジンの発生する振動が非常に少なく(皆無ではない)、車体がどんな場面でもしっかりしていて、サスペンションがよく動き、ブレーキがよく利くのですが、ロングストローク+重くて大きいフライホイールならではの鼓動感、穏やかで優しくて思わずホッとするハンドリングは相変わらずなのです。もちろん、昔ながらのスタイルにも変わりはありません。

 ちなみに、メーカーからの公式なアナウンスはないのですが、2023年に試乗した「クラシック350」と比較すると、新型「ブリット350」のエンジンは重厚さがやや増しているように思えました。

 また、805mmのシート高は両車共通ですが、シート形状が異なるためか(クラシック350はセパレート式)、あるいは前後サスペンションの設定が異なるのか、車体の動きは「ブリット350」の方が軽快な印象でした。

排気量349ccの空冷単気筒SOHCエンジンを搭載。冷却フィンの造形は空冷ならでは排気量349ccの空冷単気筒SOHCエンジンを搭載。冷却フィンの造形は空冷ならでは

 そんな2024年型「ブリット350」の価格(消費税10%込み)は、シックな佇まいのブラックゴールドが70万1800円、メッキ/バフ仕上げのパーツを多用するスタンダードマルーンとスタンダードブラックが69万4100円です。

 市場でライバルとなるネオクラシック系の単気筒車、ホンダ「GB350」(スタンダード:56万1000円、S:60万5000円、C:66万8000円)や、ベネリ「インペリアーレ400」(66万8000円)の価格を考えるとなかなか強気な設定ですが、裏を返せばその事実は、ロイヤルエンフィールド本社と輸入元の自信の表れと言えるのかもしれません。

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