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エンジンオイルは、減る? 減らない?

バイクのニュース / 2024年12月27日 11時10分

バイクのエンジンには、エンジンオイルの量を確認するためのチェック窓やゲージが必ず備わっています。そこからもわかるように、エンジンオイルが規定量入っているか、入っていないかは非常に重要です……が、そもそもエンジンオイルって、減るのでしょうか?

■エンジンオイルは「バイクの血液」

 エンジンオイルは、エンジン内部のピストンやシリンダー、トランスミッションなど複雑に組み合わさって高速で動く金属部品の「潤滑」を行なうのが主な役目です。他にも部品同士が擦れ合って摩耗した微細な金属粉など、エンジン内部の汚れを吸着して「洗浄」したり、金属部品がサビないための「防錆」も行ないます。さらに爆発(燃焼)で生じた熱を吸収する「冷却」や、爆発エネルギーを逃がさないための「密封」など、多くの仕事を受け持っています。

バイクのエンジンオイルは潤滑、洗浄、防錆、冷却、密封など多くの役目を持つバイクのエンジンオイルは潤滑、洗浄、防錆、冷却、密封など多くの役目を持つ

 それだけにエンジンオイルは「バイクの血液」と呼ばれるくらい重要な存在なので、常に適正な量が入っていなければなりません。そのためバイクのエンジンには、オイルの量を確認するチェック窓やゲージが装備されています……が、そもそもエンジンオイルは、走っているうちに減るモノなのでしょうか? その答えは、エンジンの形式によって異なります。

■ほとんどオイルが減らない、4ストロークエンジン

 まず、現行バイクの大多数を占める4ストロークエンジンの場合、エンジンオイルはあまり減りません。近年のバイクであれば「ほとんど減らない」と言って良いかもしれません。

 とはいえピストンとシリンダーを潤滑・密封するために使われるエンジンオイルは、ガソリンと空気の混合ガスが爆発(燃焼)するたびに、ホンの僅かですが一緒に燃焼して排気ガスに混じって排出されるので、その分は徐々に減少して行きます。

 しかしその量は、エンジンが正常な状態ならば、まったく問題にならないほど非常に微量です。メーカーが指定するエンジンオイル交換の走行距離(国産メーカーでは、車種にもよるが概ね6000km)なら、その間にエンジンオイルを注ぎ足さなければならないほど減ることはありません。

 もし、4ストロークエンジンで目に見えてエンジンオイルの量が減っている場合は、おそらく何らかの故障です。

4ストロークエンジンの潤滑トラブルのイメージ図。シリンダーヘッドのカムシャフトなどを潤滑するエンジンオイルが燃焼室内に下がって燃えるのが「オイル下り」。ピストンとシリンダーを潤滑したエンジンオイルが上がって燃焼室に入って燃えるのが「オイル上り」4ストロークエンジンの潤滑トラブルのイメージ図。シリンダーヘッドのカムシャフトなどを潤滑するエンジンオイルが燃焼室内に下がって燃えるのが「オイル下り」。ピストンとシリンダーを潤滑したエンジンオイルが上がって燃焼室に入って燃えるのが「オイル上り」

 たとえば「オイル下り」や「オイル上り」によって、シリンダー内に入ったエンジンオイルが燃焼している場合は、マフラーから相応に白煙が出ます。また、単純にクランクケースや各部の継ぎ目からオイル漏れを起こす場合もあり、これだとエンジンの下まわりが垂れたエンジンオイルでベタついて汚れたり、いつも停めている駐車スペースにオイル染みができたりします。

 いずれの場合もエンジンのトラブルなので、速やかに専門店で点検や修理をしてもらう必要があります。

 ちなみに、現行モデルの4ストロークエンジンは、ピストンやシリンダー、カムやバルブ、クランクシャフトなどのエンジン部分と、トランスミッション(変速機)の潤滑を同じエンジンオイルで行なっているのが主流です。ただしハーレーダビッドソンのように、エンジンとトランスミッションに別々のオイルを使う場合もあります。

■どんどんオイルを消費する、2ストロークエンジン

 現在は一部の競技用車両のみですが、2000年代初頭頃まではたくさん走っていたかつての2ストロークエンジン車は、エンジンオイルをけっこう消費します。

2ストロークエンジン(ピストンバルブ方式)の概念図2ストロークエンジン(ピストンバルブ方式)の概念図

 2ストロークエンジンは、空気とガソリンを混ぜた混合ガスを、最初にクランクケースに吸い込んで圧縮し(一次圧縮)、それからシリンダー(燃焼室)に送ってさらに圧縮(二次圧縮)する構造です。

 そのため4ストロークエンジンのように、クランクケースの中にエンジンオイルを溜めておくことができません(燃焼室にエンジンオイルを吸い上げてしまう)。

 とはいえクランク軸やピストン、シリンダーなどは潤滑しないと焼き付いてしまいます。そのため、混合ガスにエンジンオイルを混ぜて供給し、クランク軸やピストン類を潤滑します。そして潤滑後のエンジンオイルは混合ガスと一緒に燃えて排出されます。

 イメージ的には、4ストロークエンジンの「オイル上り」に近いものがありますが、もちろん意図的に行なっているのでトラブルではありません。とはいえその分エンジンオイルを消費するので、切らさないように補充する必要があります。

 このため2ストロークエンジンは、トランスミッション(変速機)の部分は専用のオイルで潤滑し(規定量を入れて走行距離で管理)、エンジンには2ストロークオイルを使用します。

■4ストと2ストでは、「オイル警告灯」の意味が異なる?

 4ストロークと2ストローク、いずれの場合もエンジンオイルは重要なので、メーター内にオイル警告灯を設けていますが、それぞれのエンジンで少々意味合いが変わります。

4ストロークエンジンのオイル警告灯は「油圧」が低下すると点灯する。画像はホンダ「CB1300 SUPER FOUR」のメーター4ストロークエンジンのオイル警告灯は「油圧」が低下すると点灯する。画像はホンダ「CB1300 SUPER FOUR」のメーター

 4ストロークのオイル警告灯は、エンジンオイルの「油圧」が低下した時に点灯します。油圧が低下する主たる原因は、何らかの理由でエンジンオイルの量が減ってしまったために、オイルポンプで吸い上げられなくなった場合が多いです。そこまでエンジンオイルの量が減るのは前述したようなトラブルですし、またオイルの量が適正でもポンプの故障など潤滑系のトラブルも考えられるので、速やかに専門店で診てもらう必要があります。

 ちなみに、近年の小~中排気量車だと、オイル警告灯を装備しない車両もあります。また1990年代後半から2000年代頃に流行したビッグスクター(排気量250~400ccの4ストロークエンジン)の中には、エンジンオイルの交換時期(走行距離)になったことを知らせるためのオイル警告灯を装備したモデルもありました。

 対する2ストロークのオイル警告灯は、エンジンオイルのタンク内の残量が少なくなった時に点灯し、エンジンオイルの補充を促します。そのためスポーツモデルに限らず、原付スクーターなど装備が簡素なモデルでも、メーター内に必ずオイル警告灯を装備していました。

 車種によってオイル警告灯が点灯してから完全にエンジンオイルが無くなるまでの走行距離は異なりますが、これは2ストロークエンジンオイルを補充すれば問題ありません。

 というワケで、いまどきの4ストロークエンジンのエンジンオイルはほとんど減らないし、補充する必要もありません……が、油断は禁物。愛車を快調に維持するために、エンジンオイル量のチェックは忘れずに行ないましょう!

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