『伝統』と『継承』! カワサキの『MEGURO S1』に試乗するよ〜高梨はづきのきおくきろく。〜
バイクのニュース / 2025年1月18日 12時10分
毎月の8日がつく日は『高梨はづきのきおくきろく。』。目黒製作所創業100周年に登場したカワサキの『MEGURO S1』をお届けするよ。
■カワサキ『MEGURO S1』に試乗するよ!
皆さんこんにちは、高梨はづきです。
2024年は、1924年創業の日本初のスポーツバイクメーカーのひとつである目黒製作所が出来てから、100周年を迎えた節目の年だったけど、それにあやかって『MEGURO S1(メグロ エスワン)』をお届けしていくよ!
目黒製作所が出来て節目の100年に登場した『MEGURO S1』に試乗するよ
そんなメグロ100周年のアニバーサリーイヤーの終わりかけ、2024年11月にカワサキの試乗会が開かれたので、W230/メグロS1の乗り味を試させてもらったよ。2023年のジャパンモビリティショーでメグロS1は参考出品車両として世界初公開。わたしもプレスデー当日、足早にカワサキブースへ足を運んだのだけど、その時はまだスペックの情報が何もなくて、発売日もわからずだったんだよね。だから、ブースで一際存在感を放っているのをこの目で確認しただけだったんだ。そのメグロS1に、ついに試乗できる日がきたぞ〜!やった〜!
いくつか前の記事でも試乗したメグロW230と、このメグロS1は、エンジン、シャシーともに同じスペックなんだよね。そのため兄弟車みたいなもので乗り味も大きくは変わらないということみたい。
W230は「W(ダブル)」から、S1は「メグロ」からカワサキの伝統を受け継いでいるんだって。W230は既にコラム記事を出しているので、このコラム記事では試乗記とせず、メグロS1についてを少し掘り下げてお届けしていくね!
W230の乗り味が気になる人は「高梨はづきのきおくきろく。」の検索一覧から読んでみてね!
さて、みんなはメグロの歴史は知ってる?
カワサキ『500メグロK2(1965)』
今から100年も前の1924年に創業した目黒製作所は、1960年に川崎重工と業務提携したのち、1964年に250メグロSG、1965年にメグロK1スタミナ、500メグロK2が登場したものの、それ以降、メグロシリーズは新車を出さなかったんだよね。それから半世紀以上の時を経て、2021年に大型バイクのメグロK3が復活。
そして今回紹介するメグロS1は、250メグロSGの正統なモーターサイクルの後継モデルとして100周年という節目のタイミングで満を持して発売されたんだ。この排気量帯のクラシカルラインナップには、エストレヤが生産終了してから新型が出ていなかったので、とても話題になったよ!
メグロS1を開発、発売するにあたっては『伝統』と『継承』をコンセプトに作られたから、当時のバイクを知る人たちは、ディティールに懐かしさを感じる人も多いんじゃないかな。
■ではまたがってみよう!
シート高740mmはわたしの身長(158cm)で両足しっかり着地するよ。
シート高740mmはわたしの身長(158cm)で両足しっかり着地する
車重143kgと、このクラス帯のバイクにしては軽いのでハンドルを切っても軽く左右にフリフリできる。またがった瞬間から、とにかく車体が軽いのを実感できるので、小柄な女性や免許取り立てのビギナーの人でも安心して取り回しができちゃうね。
あと、メグロのシートはフラットシートなので、高身長の方が乗ってもお尻を後ろにずらせばちょうどいい姿勢を探れるので、体型に関わらず乗れるのもポイント高い!
メグロS1のタンクには、ピアノの鍵盤に使われる黒檀の木の色と近いエボニーカラーとクロームメッキによって渋くあしらわれていて、バイク全体に施されたメッキとのバランスもいい。
メッキで輝くタンクには、手作業で色付けされたというアルミ製のメグロエンブレムが光っている
タンクのロゴは、手作業で色付けされたというアルミ製のメグロエンブレムが光っているよ。もうね、とにかくわたしの大好きなメッキパーツが多用されていて、クラシカルでおしゃれで可愛いく仕上がってるから、メグロシリーズはお気に入り!
ちなみに「メグロ」というロゴは、目黒製作所時代からあったのだけど、なんと、これまで商標登録していなかったんだって!
新車が出てなかったから当たり前なのかもしれないけど、この復活を機に2020年に登録したみたい。タンク横に施されたエンブレムだけでなく、サイドカバーの「メグロ」のロゴもメグロブランドにとって間違いなく特徴的なロゴになるのでこの先もアクセントとなり、かなり重要なロゴになっていくはず!
■では発進していこう!
さて、冒頭にも触れたのだけど、エンジンはW230とメグロS1ともに、同社KLX230のエンジンを使っているよ。メグロは伝統と継承をブランドコンセプトにしているけど、さらに『良く走るバイク』『初心者でもずっと乗っていられる乗車姿勢の調整』『クラス最軽量』の3本柱を立てて作っていきたいということで、それらの条件に全て当てはまったエンジンが燃焼効率のいいKLX230のエンジンだったんだって。
エンジンはW230とメグロS1ともに、同社KLX230のエンジンを使っている
しかも、KLX230の元々のエンジンはスポーティな造形をしているんだけど、メグロS1とW230に合うようにエンジンのデザインを設計変更しているよ。KLX230のエンジン周りと比べて、クランクケースカバーとヘッドカバーのフィンのところが少し大きくなっているのを見ると、メグロブランドが一番大事にしたいデザイン周りに関してこだわりの仕上がりになってるよね。
実際に乗るまでは「230ccのエンジンってどうなの?」って、車検制度ギリギリの250ccまで足りていない数字上のもったいなさに疑問や不安はあったけど、試乗してみたらそんなの関係なし!笑
スピードを上げてカーブに進入しても、曲がりたいラインに綺麗に乗れる
低速から中速のトルクをしっかりと感じながらも、軽やかに元気なライディングを楽しめるバイクだったよ。スピードを上げてカーブに進入しても、曲がりたいラインに綺麗に乗れるので、わたしのようなレベルアップ途中のライダーにも優しいバイクなんだね。疑ってすみませんでした!
わたしが所有しているカワサキ エストレヤも、実はWの系譜を継ぐ一台なんだよね。あまり知られていないみたいだけど、エストレヤの国内販売が終わった後には「W250」と名前を変えて海外で販売されてたようだし、W230はもとより、このS1とも兄弟といっていいバイク。それで、いつもの乗り慣れた感覚でS1にも乗ってみたけど、かなりサクサク動いてくれるし最高だった。エストレヤより排気量は少し落ちるものの、パワーも申し分ないしね。
排気量230ccのエンジンでもパワーは申し分ない
S1はキャプトンマフラーが採用されていて、途中から太くなり、最後は細くなる形状のマフラーでかっこいいよね。エキパイの部分は前からシューっと伸びるように綺麗な造形になっているのだけど、よく見るとステップのところでパーツが分かれているのがわかるかな?
下を覗くとレースモデルによくある、キャンバーみたいな弁当箱のようなものが付いていたりするけど、それをつけるとデザインが崩れてしまうので、排ガス規制クリアとデザインを両立させるために、奥で一回折り返して通常の長さよりも延長して付いているんだ。
直線で繋いでしまうと排ガスが上手く排出されないから、奥に折り返し延長することで問題をクリアし、なおかつクラシカルなイメージを崩さないように、曲線で滑らかなボディとのバランスに合うよう造形美を意識して造ったんだって。細部まで気を配る職人魂がビシビシと伝わってくるなぁ。100周年の気合いが凄まじい!
メグロS1とW230は、デザイナー、開発リーダー、取引先の方、そしてさらにたくさんの方が100周年を記念して協力してできたモデルなんだ。エンジン担当やマフラー担当など、みんなが同じゴールに向けて足並みを揃えて作ったモデルだから、メーカーの担当者さんたちも「愛着が湧くモデル」と漏らしつつ「たくさんの人に乗って欲しい」と熱望していたよ。
既にたくさんの受注があり、W230もメグロS1もどちらも同じくらいの人気なんだとか。特にメグロS1に関しては、若い男女に人気のモデルで、それは意外だとカワサキのスタッフさんはおっしゃっていたけど、わたしは全然納得!
メグロS1のコンセプト「継承」のストーリーやブランディングが上手く周知され、ちゃんと100年系譜を繋いでいる
100周年のメグロS1が、次世代にも人気なのは、コンセプトである「継承」のストーリーやブランディングが上手く周知されたからではないかと思う! クラシックっぽいバイクはたくさんあれど、ちゃんと100年、系譜を繋いでいるバイクだもんね、メグロ。気になる人は近くの店舗に問い合わせてみよう!
…ということで本日はここまで。
また8の付く日にお会いしましまう~♪
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