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ホンダの「CB」シリーズはここから。元祖スポーツバイク「ベンリイCB92スーパースポーツ」

バイクのニュース / 2025年1月28日 21時10分

高度経済成長とレースブームの到来で登場したホンダ「ベンリイCB92スーパースポーツ」は、浅間火山レースでGPマシンを抑えて優勝を獲得した伝説的なマシンであり、その後60年以上続く「CB」シリーズの元祖です。

■初めて「CB」の名を冠した市販スポーツバイク

 ホンダの「CB」シリーズは、長い歴史の中で排気量50ccクラスから1300ccまで、多くの車種がラインナップされたポピュラーなバイクブランドのひとつです。その元祖となる「ベンリイCB92スーパースポーツ」は1959年に発売され、初めて車名に「CB」がつけられたバイクとしても有名です。

初めて「CB」の車名を使用した1959年型のホンダ「ベンリイCB92スーパースポーツ」初めて「CB」の車名を使用した1959年型のホンダ「ベンリイCB92スーパースポーツ」

 元祖「CB」となると、そのネーミングの由来が気になるところですが、「諸説あり」としながらも「C」は「MOTOR CYCLE」から、「B」は「for CLUB MAN RACER」の意味だと伝えられています。

 クラブマンとはバイクを購入してレースに参加するアマチュアライダー達のことです。メーカーと契約するプロと区別する言葉ですが、バイク愛好家へのリスペクトも込められています。

 数字の「92」は排気量ではなく軽量クラスであることと、その型番を示しています。「ベンリイCB92スーパースポーツ」は排気量125ccクラスで、兄弟車の「CB95」は155ccでした。

「ベンリイCB92スーパースポーツ」はその名の通り、当時最先端のスポーツバイクですが、そのベースは「ベンリイC92」です。量産としては世界初の空冷4ストローク並列2気筒SOHCエンジンを搭載し、兄貴分「ドリームC70」(250cc)同様ホンダ独自の「神社仏閣スタイル」という外観が特徴でした。

フロントフォークが鋼板パネルなので、幅が狭く、燃料タンクと合わせて独特の眺めフロントフォークが鋼板パネルなので、幅が狭く、燃料タンクと合わせて独特の眺め

 高度経済成長期の1950年代終盤には、趣味性の高いバイクが求められるようになります。125ccクラスを中心に使用されていた「ベンリイ」という車名は、仕事や生活の足として便利に使えるという洒落の効いたものですが「ベンリイC92」は便利を超えて、上級車と同様の堂々とした佇まいと高性能なバイクでした。

 一方、レースの本場であるイギリスのマン島TTへのホンダの参加宣言や、浅間火山レースなどバイクレースへの機運が高まり、全国的にバイククラブの活動は一段と盛り上がります。アマチュアレーサーが増えたり、公道走行だけのライダーからも性能が高いバイクを求める声は、メーカーにも届いていたことでしょう。

 これはバイクメーカーにとって技術レベルの向上、あるいは会社名の宣伝だったレース活動が、本業である市販車販売にも直結し、やがて高性能なバイクがよく売れるという好循環を生み出していきます。その初期に誕生したのが「ベンリイCB92スーパースポーツ」です。

並列2気筒エンジンにシングルキャブレターながら15psを発揮。カムカバーにはタコメーターケーブルの取り出しも見られる並列2気筒エンジンにシングルキャブレターながら15psを発揮。カムカバーにはタコメーターケーブルの取り出しも見られる

 フレームは、ベースとなった「ベンリイC90」と同様のプレス式鋼板ですが、外観は大きく異りスマートになっています。フロントサスペンションはボトムリンク式で、リアショックは四角いカバーが外されて現代的な形状となっています。

 ドクロタンクと呼ばれた独特な形状の燃料タンク、前後フェンダーをはじめ各部の軽量化、短めのバーハンドル、小さなシールドなど、現代のスポーツ車にも似た改良が施されています。

 ベースとなった「ベンリイC92」のエンジンは、当時クラス最高のパワーとなる11.5psでしたが「ベンリイCB92スーパースポーツ」ではさらに15ps/10500rpmまでパワーアップしています。

 同年にマン島TTに出場した「RC142」の最高出力が18ps/13000rpm、2024年型の「CB125R」が15ps/10000rpmです。それを考えると60年以上前の公道用スポーツ車としてはかなりの高性能と言えるでしょう。

 さて、バイクメーカーの技術研鑽の場として1955年に始まった浅間火山レースですが、1959年にはアマチュアライダーが大挙して参加するクラブマンレースと併催されました。

「ベンリイCB92スーパースポーツ」に乗った北野元選手はクラブマンレースの125ccクラスで優勝し、挑戦権を得てメーカー対抗の耐久レースにも参加しました。

 そのレースにはマン島TTに出場した「RC142」とGP参戦ライダーも出場していましたが、クラブマンレーサーである北野選手は彼らを抑え、下剋上優勝を果たします。

簡素なランプ類と短いフェンダー、さらに水平にして空気抵抗の少ないフラップがスパルタンなイメージ簡素なランプ類と短いフェンダー、さらに水平にして空気抵抗の少ないフラップがスパルタンなイメージ

 このレースで「ベンリイCB92スーパースポーツ」はポテンシャルの高さを証明し、伝説的なストーリーと共に「CB」の車名がファンの心に刻まれることになりました。

「ベンリイCB92スーパースポーツ」から始まったホンダの「CB」シリーズは、スポーツ走行からツーリングまで楽しめるスタンダードロードスポーツ車として、現在でも世界中の多くのライダーから愛されています。

 ホンダ「ベンリイCB92スーパースポーツ」(1959年型)の当時の販売価格は15万5000円です。

■ホンダ「BENLY CB92 SUPER SPORT」(1959年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク並列2筒SOHC4バルブ(1気筒当たり2バルブ)
総排気量:124.6cc
最高出力:15.2PS/10500rpm
車両重量:110kg(乾燥)
フレーム形式:バックボーンプレススチール

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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