ハスクバーナ「スヴァルトピレン401」はフルモデルチェンジで抜群の扱いやすさを獲得 兄弟モデルとの違いは?
バイクのニュース / 2025年1月31日 11時10分
スウェーデン発祥のバイクブランド「ハスクバーナ・モーターサイクルズ」がラインナップする、単気筒エンジンを搭載する「SVARTPILEN 401(スヴァルトピレン401)」は、中免(普通2輪免許)で乗れるスクランブラースタイルのストリートモデルです。2024年型で全面刷新され、あらためて試乗しました。
■従来型との共通部品は、ほぼ皆無
2018年から発売が始まったハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、ハスクバーナ)の「ヴィットピレン401」と「スヴァルトピレン401」は、同じグループに所属するKTM「390デューク」と主要部品の多くを共有する、いわば兄弟車です。その兄弟車と歩調を合わせる形で、2024年型で全面刷新を敢行しました。
ハスクバーナ「SVARTPILEN 401」(2024年型)に試乗する筆者(中村友彦)
もっとも、このシリーズに興味がない人は、従来型との違いが判別しづらいかもしれません。とはいえ、外装の一新で各社各様の独創性が増した新型「390デューク」とハスクバーナの「401」2機種は、ほぼすべてのパーツが従来型とは別物になっているのです。
まずは車体に関する概要を記すと、スチール製トレリスフレームやオープンラティス構造のアルミ製スイングアームは剛性バランスを見直した新作で、従来型ではメインフレームと同様の構成だったシートレールは、アルミ鋳造製に変更されています。
また、リアショックやエアボックスを車体中央から右に移設した効果でシートが低くなり(KTMは830mmから820mm、ハスクバーナは835mmから820nn)、マフラーの超ショートを図ったことなども、2024年型の3兄弟に通じる特徴です。
一方で、エンジンに関しては排気量を373.2ccから398.7ccに拡大しているのですが、最高出力と最大トルクは従来型の44ps/9000rpm、37Nm/7000rpmと大差がない、45ps/8500rpm、39Nm/7000rpmです。
運動性や安全性の向上に貢献する電子デバイスは充実化が図られ、3兄弟すべてがライディングモード(ハスクバーナはストリート/レインの2種、KTMはトラックを加えた3種)やリアタイヤの滑りを抑制するトラクションコントロール、バンク角に応じて効き方が変化するコーナリングABSなどを導入しました。
さらには各社各様の電子デバイスとして、2台のハスクバーナはクラッチ操作不要でギアチェンジが行えるクイックシフター、KTMはゼロ発進時の最大加速を適正化するローンチコントロールを採用しています。
■意外に少ない、2機種の相違点
続いて、「ヴィットピレン401」と「スヴァルトピレン401」の特徴を見ると、最大の相違点は足まわりでしょう。フロント3.00×17、リア4.50×17のホイールサイズ、110/70ZR17、150/60ZR17のタイヤサイズは共通でも、ロードスポーツの「ヴィットピレン401」はアルミ製キャストホイール+ハイグリップ志向のミシュラン「パワー6」を、スクランブラーテイストの「スヴァルトピレン401」はワイヤースポークホイール+ブロックパターンのピレリ「スコーピオンラリーSTR」を選択しています。
同じくハスクバーナの兄弟モデル「VITPILEN 401」(2024年型)にも試乗。2機種の相違点は意外と少ない
そして前後輪以外の相違点は意外に少なく、ハンドル(グリップ位置の高さ)、シート(前後一体式と分割式。座面に差異は感じない)、フロントフェンダー、サイドカバー、フライスクリーンとグラブバーの有無くらいです。
その事実をどう感じるかは各人各様ですが、個人的(筆者:中村友彦)に「スヴァルトピレン401」に関しては、19インチの前輪や、もっとワイド&アップなハンドルバー、ストロークを延長した前後サスペンション(前後150mmのストローク量は2機種とも同じ)などを採用して、スクランブラーとしての資質を強調しても良いような気がします。
まあでも、あえてほぼ同様の構成を採用し、価格差を設けないことはハスクバーナのこだわりなのかもしれません。
ちなみに、国内導入時(2024年3月)の価格(消費税10%込み)はいずれも79万9000円でしたが、2025年1月現在は「スヴァルトピレン401」が84万7000円、「ヴィットピレン401」が83万1000円となっています。
■イージーで穏やかな特性
ここまでを読んでいただければお分かりのように、2台のハスクバーナ製400cc単気筒の構成に大差はありません。とはいえ、今回の試乗で「スヴァルトピレン401」を体験した私は、2台の乗り味の差異を認識しました。
2024年型で全面刷新されたハスクバーナ「SVARTPILEN 401」
「ヴィットピレン401」と比較するなら、「スヴァルトピレン401」は市街地走行がイージーで、峠道で感じるコーナー進入時の挙動が穏やかで、オフロードが苦も無く……ではなくても、なかなか走りやすかったのです。
言うまでもなく、それらは「ヴィットピレン401」よりもグリップ位置がやや高いハンドルバー、ブロックパターンタイヤの恩恵でしょう。
そして厳密に言うなら、動的なキャスター角とトレールが多く、安定志向のディメンションになっていることも、兄弟車との差異を生み出す要因になっているはずです。
ただしこのバイクを単体で乗っていたら、「ヴィットピレン401」と同じように軽快な走りが満喫できるシングルロードスポーツ……という印象を抱いたような気がします。
ワイヤースポークホイールとブロックパターンのタイヤ、燃料タンクに装備されたラゲッジラック、リアシートのグラブバーなど、独創的な車体デザインはハスクバーナならでは
もちろんそれはまったく悪いことではなくて、ハスクバーナとしては安定性や快適性や汎用性よりも、やっぱり運動性を大事にしているのでしょう。
余談ですが、ハスクバーナの「401」と基本設計を共有するもうひとつの兄弟車、KTM「390デューク」はどんな乗り味かと言うと、前後サスペンションの動きにスーパーモタード的なところがあり、着座位置が前方に設定されているためか、スロットルとブレーキの操作による姿勢変化が大きく、2台のハスクバーナよりアグレッシブな印象です。
逆に「390デューク」を基準にするなら、2台の「401」の乗り味はオーソドックスと言って良いのかもしれません。
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