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『ローマの休日』だけじゃない。ベスパの故郷「MUSEO PIAGGIO」にはトンデモ車両がいっぱい!!

バイクのニュース / 2025年2月2日 11時10分

2024年6月上旬、MotoGPイタリアGP取材のためにフィレンツェに滞在していたわたし(筆者:伊藤英里)は、フィレンツェ観光の時間は無く、泣く泣く断念することに……。しかし、ピアッジオ・ミュージアムに行ったことに後悔はありません。それほど面白いミュージアムでした。

■「花の都」観光は諦め……「ピアッジオ・ミュージアム」へ!

「MUSEO PIAGGIO」(=ピアッジオ・ミュージアム)を訪れたのは、2024年シーズンのMotoGPイタリアGP後のことでした。当時、MotoGPを取材するためにヨーロッパを転々としていたわたし(筆者:伊藤英里)は、トスカーナ州フィレンツェの郊外に滞在していたのです。

「MUSEO PIAGGIO」(ピアッジオ・ミュージアム)のエントランス。列車が突き抜けている「MUSEO PIAGGIO」(ピアッジオ・ミュージアム)のエントランス。列車が突き抜けている

 イタリアGPの原稿を書いているうちに、気が付けば翌日にはフィレンツェを発つ日になっていました。少し悩みましたが、「花の都」フィレンツェの観光は断念することに……。

 そのかわり、宿から電車で1時間くらいの場所にある、ポンテデーラのピアッジオ・ミュージアムに行くことにしたのです。

 そんなわけで、わたしは10日間もフィレンツェ郊外に滞在していたというのに、フィレンツェ自体の観光がこれっぽっちもできませんでした。行ったところと言えば、宿の近くのリストランテ(美味なパスタがある)と、スーパーマーケットだけ。取材しながらの旅は、こんなものです。

 しかし、ピアッジオ・ミュージアムに行くことができたので、最終的には「良し」とします。

 余談ですが……わたしも当時まで知らなかったのですが、「フィレンツェ(Firenze)」はイタリア語で、英語では「フローレンス(Florence)」と言うそうです。

 連日の原稿書きですっかり寝不足だったので、少しゆっくりと宿を出発しました。しかし、ミュージアムに着いてみると、閉まっているではありませんか! 営業時間を確認すると「お昼休み」でした。

 慣れたつもりでもうっかり忘れてしまうのですが、イタリアなどではお昼休みをしっかりとるので、その時間帯は店や施設が閉まっていることがあるのです……今回のように。

 少し待って、午後の開館時間に中に入れてもらうことができました。訪館にはピアッジオ・ミュージアムのホームページから事前予約が必要です。ガイド付きツアーの場合は5ユーロ(英語またはイタリア語)ですが、ガイドなしなら無料で入れます。

■多種多様なベスパに出会える

 ピアッジオ(Piaggio)は、1884年から始まったバイクと軽商用車のメーカーです。リナルド・ピアッジオが設立した当時の事業は船舶用資材の供給と鉄道で、その後、1916年に航空機製造が開始されました。第2次世界大戦後の1945年、イタリアで復興が始まった時、最初のベスパ(Vespa)のプロトタイプのプロジェクトがスタートしたそうです。

不思議なカタチの「ベスパ・アルファ」は、イタリア映画『Dick Smart 2.007』に登場した架空の乗りもの。作中ではヘリコプターのように空を飛び、海を渡り、潜水も可能だったそう不思議なカタチの「ベスパ・アルファ」は、イタリア映画『Dick Smart 2.007』に登場した架空の乗りもの。作中ではヘリコプターのように空を飛び、海を渡り、潜水も可能だったそう

 現在、ピアッジオ・グループは「ペスパ」、「アプリリア」。「モトグッツィ」、「デルビ」、「ジレラ」といったブランドを抱えていますが、ピアッジオ・グループの中でも「ベスパ」が特別な存在であることは、ミュージアムの多くのスペースがベスパの展示で占められていることからも分かりました。

 ちなみに、仕事柄、個人的に気になるのはMotoGPに参戦している「アプリリア」です。MotoGPのライダーなどはよく「ノアーレでは……」と言及しています。ノアーレはイタリアの北部に位置する街で、アプリリア・レーシングの拠点なのです。

 後日、ノアーレにも行きましたが、ファクトリーなのでミュージアムはなく、小さな展示室のようなスペースにバイクが展示されていました。

 さて、ピアッジオ・ミュージアムに戻りましょう。ベスパは1946年に誕生しました。敗戦後に製造が開始されたベスパの目的は「シンプル、低コスト、誰もが利用できる車両によって、国全体の移動を助けること」だったそうです。

 ベスパには、それまでにない機能が備わっていました。「フラットフロア」もそのひとつで、スカートを履いた女性でも乗り降りが楽にできるデザインになっていました。また、当時のベスパには「スペアタイヤ」が備わっていたそうです。

 そしてもっとも特徴的なのが「スチール製モノコックフレーム」です。1枚のスチール板をプレスして車体を形成するもので、ピアッジオが持っていた航空工学の専門知識と設備が生かされたということです。それまで航空機を製造していたピアッジオだからベスパが生まれた、と言えるのでしょう。

 このように、ミュージアムではピアッジオにまつわる、そしてベスパにまつわる歴史がしっかりとつづられています。

 たくさんのベスパが展示されているスペースでは、あまりにも様々なベスパが存在したことと、その挑戦の歴史に圧倒されました。

 展示を堪能しきってミュージアムを出るころ、団体客がやってきました。歳は50~60代(に見える)くらいの男性たちです。わいわいとミュージアムに入って行く様子を横目に外へ出ると、たくさんのベスパが停まっていました。なるほど、彼らはベスパ仲間で、ベスパに乗ってミュージアムのベスパを見に来たのでしょう。

 それに気付いて、思わずニンマリしてしまいました。わたしもバイク乗りの1人です。好きなバイクで好きなバイクを見に来るなんて、とても素敵だと思ったのです。

 停まっていたベスパは、それぞれのライダーのキャラクターを表すように、少しずつ違う表情をしていました。

 フィレンツェに観光に行くことがあったら、ぜひピアッジオ・ミュージアムのことも思い出してください。バイク好きなら、行って後悔することはまずないと思いますよ!

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