新基準原付に問われるサイズ感ってナニ? 排気量で利用制限するバイク駐車場の時代錯誤
バイクのニュース / 2025年2月3日 18時10分
国土交通省都市局は「都市部を中心に引き続き不足」しているバイク駐車場について環境の確保を都道府県に求めましたが、反応はさまざまです。新基準原付の登場でバイクが肥大化することを理由に、従来の原付駐車場に新基準原付は止められないかもしれない、という心配の声が根強いためです。「原付=50cc」の常識が否定される2025年、改めて原付のサイズ感に注目が集まっています。
■ほとんどのバイクは、原付の規定と同じ大きさで作ることができる
2025年、新基準原付がいよいよ現実となります。国土交通省街路交通施設課は2025年1月16日、都道府県の駐車場政策担当者に、新基準原付の受け入れ促進を要望しました。ただ「新基準の原付」と言えども、サイズ感は排気量125ccクラスのバイクです。「大き過ぎて駐車スペースに入らない車両があるかもしれないので、一律でバイクが駐車できるとは言い切れない」と、一部の地方自治体に根強い懸念があるためです。
「新基準原付2025年問題」はこの表示。50cc原付バイクは販売できなくなる。新基準原付バイクは利用できない(撮影=中島みなみ)
地方自治体が直接・間接的に運営するバイク駐車場は、自転車法に基づき排気量50cc以下のバイクを中心に利用できるスペースとされています。そのため利用規約を「原付」対象とするのではなく、「原付/50cc」として、新基準原付の利用を制限する運用方法が検討されるケースがありました。
その背景には、道路運送車両法の保安基準で定める原付のサイズ規制が寛容過ぎることがあります。
道路運送車両法では、排気量(=出力)と車格(長さ、幅、高さ)の2つの基準に車両区分を定めています。どちらか高いほうの基準を採用します。
排気量125ccの新基準原付は、排気量を基準にすると第2種原付になってしまうため、2024年11月に実施された保安基準改正で、最高出力が4kW以下に抑えられている場合に限って第1種原付にみなす、と定め直す運用を始めました。
この時、原付の大きさが議論にならなかったのは、保安基準に定められた原付の大きさが、ほぼすべてのバイクに当てはまるものだったからです。その基準は「長さ2.5m×幅1.3m×高さ2m」です。
例えば、水冷方式で話題となったハーレーダビッドソン「RH975 ナイトスター」のサイズは長さ2.25m×幅0.83m、シート高0.705mですが、この大型バイクでも、ほぼ原付サイズに収まってしまいます。
大きさ的にはこのサイズを超えるビッグバイクだけが「軽二輪」(二輪の軽自動車)より大きい「小型二輪」(=小型自動車)となるのです。
■バイク1台の駐車マスの大きさも、じつは決まっていない
規制がなければ、バイクの車体が肥大化することを止められないという可能性は否定できませんが、不思議なことにバイク駐車場の大きさにも、決まりはありません。
バイク駐車場の運営者もまた、規制のない駐車スペースのバイク駐車場を作って、サイズ感のある新基準原付を受け入れられないと訴えていることになります。
国交省街路交通施設課は、同省道路局のバイク駐車場設計施工指針を参考に、長さ1.9m×幅0.8mの駐車マス(1台の駐車スペース)を想定しています。ただ、自転車駐輪場の付属として設置されたケースなどでは、そのスペースが確保できていないことがあります。
一方で、クルマ(4輪)はニューモデルが出るたびにボディサイズが大きくなる傾向があります。5ナンバーのクルマには長さ4.7m、幅1.7m、高さ2.0m以下という基準がありますが、3ナンバー車のボディサイズは、この基準を超えるという定めがあるだけです。
車体の大きさに関する規制はバイクと同じですが、新車が大きくなったから門前払い、とは言いません。やむを得ず高さ制限のある立体駐車場で注意を促すだけです。
そもそも、本来スペースを貸し出している駐車場運営で、なぜ排気量や出力を問題にしなければならないのでしょうか。クルマで問題にならないのは、収容可能なスペースであるか否かで、排気量が問題ではないからです。
バイク駐車場で一部の地方自治体が受け入れに問題があることを示す理由は、利用を、排気量や出力で貸し出そうとするためです。
そもそもクルマほど車幅がないバイクは、2006年の道路交通法改正までは、交通の妨げにならない、と駐車場整備はまったくと言っていいほど行われませんでした。
現状でバイク駐車対策が必要な理由は、こうした対策の遅れから、今でも必要とする供給台数が不足しているからです。
2025年、新基準原付が登場する中で、排気量だけに頼った不合理な駐車場対策が浮き彫りになりました。転換が積極的に議論されるべきはないでしょうか。
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