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プロリンクサスペンション爆誕!! ホンダ「RC250M」はモトクロスバイクの開発競争で劇的な躍進を遂げる

バイクのニュース / 2025年2月4日 21時10分

1980年に杉尾良文選手のライディングで全日本モトクロス選手権250ccクラスのチャンピオンに輝いたホンダ「RC250M」は、開発競争に勝利したホンダにとって初の全日本タイトルでした。

■ホンダ初の全日本チャンピオンマシン、現代モトクロスのルーツに

 1980年に活躍したホンダのモトクロスレース用マシンが「RC250M」です。車名の「RC」は、ホンダがレース用に特別に数台だけ制作するバイクで、ファクトリーマシンとも呼ばれています。「250M」は250ccクラスのモトクロスバイクであることを示しています。

ホンダに初の全日本モトクロス選手権のタイトルをもたらした「RC250M」(1980年型)ホンダに初の全日本モトクロス選手権のタイトルをもたらした「RC250M」(1980年型)

 年式や仕様(全日本/世界GP/AMA)が違っても、250ccクラスのホンダのファクトリーマシンは「RC250M」ですが、その中でもこの1980年型は特別な1台です。

 1980年は、全日本モトクロス選手権においてホンダが初のチャンピオンを獲得した記念すべきシーズンです。しかし別の側面では、この1980年型の「RC250M」が「その後のオフロードバイクの形態を決定づけた」とも言える注目すべきメカニズムを搭載していました。

 さて、車両の説明の前にモトクロスについて少し触れておきます。

 モトクロスを「バイクで野山を走行する」と捉えている人も多いかと思いますが、同じオフロードでも走り切ることが困難な「エンデューロ」などとは別の競技です。

 競技としてのモトクロスは「舗装していないサーキットでのスピード競争」というイメージです。横一列から一斉スタートでコースを周回し、ゴールまでの速さを競います。モトクロスの国際レースは1940年代から、世界選手権(GP)は1957年に始まっています。

 1960年代からロードレースでGPチャンピオンを獲得していたスズキとヤマハは、モトクロスGPにも参戦します。1970年にスズキが250ccクラスのチャンピオンを獲得したことを皮切りに、1970年代前半から国産メーカーがタイトル獲得を連発します。

真っ黒に塗られているの分かりにくいが、多くのエンジン部品が超軽量で超高価なマグネシウム素材を使っている真っ黒に塗られているの分かりにくいが、多くのエンジン部品が超軽量で超高価なマグネシウム素材を使っている

 この2メーカーが牽引役となり、1970年代はモトクロスバイクの構造が著しく発展します。エンジンの性能向上によりスピードアップし、デコボコをスムーズに通過できるようにサスペンションも大きく進化しました。

 それまでロードバイクに近かったサスペンションはドンドン伸びて足がつかないくらいシート高は上昇しました(ストロークは300mm超え)。

 さらに性能向上したくても2本のリアサスペンションでは構造上限界に来ており、ヤマハは1973年から、カワサキとホンダは1979年にリア1本タイプのサスペンションを装備したファクトリーマシンを走らせています。

 2ストロークエンジンの開発では遅れをとっていたホンダですが、この時期に一気にモトクロスバイクでもトップメーカーへと躍り出ます。その舞台は開発合戦の最前線である全日本モトクロス選手権でした。

 エンジンも車体も、世界で初めてのシステムが毎戦の様に投入されるほど加熱していました。この時期に考案されたメカニズムの中にはモトクロスのみならず、ロードバイクも含めたその後のバイクの定番システムとなっていくものもありました。

 その代表が、この1980年型のホンダ「RC250M」に投入された、リアの「プロリンクサスペンション」です。リンク式のサスペンションは、伸びている時には柔らかく細かいデコボコも吸収し、ジャンプの着地など深く沈むと硬くなってしっかり安定するという理想的な特性でした。

注目の「プロリンクサスペンション」は、車体中央、エンジン後部に1本のサスペンションがマウントされている注目の「プロリンクサスペンション」は、車体中央、エンジン後部に1本のサスペンションがマウントされている

 さらに、リアショックユニットはエンジンのすぐ後ろ、リンクシステムはスインアーム下(ボトムリンク式)にコンパクトに配置され、これにより重量部品を車体中心に集中させる構成を一段と追求することができました。

 そのポテンシャルもあって、1980年型「RC250M」は杉尾良文選手が250ccクラスのチャンピオンを獲得、同じく「RC250M」に乗る福本敏夫選手がランキング2位に入り、ホンダの2台が上位を独占しました。

 またリンク式サスペンションだけでなく、エンジンの水冷化と左右分割ラジエター、さらに高剛性なセミダブルクレードルフレームなど、後年にモトクロスバイクの定番となっていく構造が含まれています。

 リア1本ショックが標準になったことで、各車バラバラだった車体サイズは固定され、それ以後の250ccクラスの市販モトクロッサーのホイールベースは、外車も含めて概ね1480mm前後で横並びとなっています。

 1990年代後半にフレームがツインスパー型に変っても、40年以上経った現在の4ストローク450cc車も概ね同じです。

当時は2枚に分割したラジエターに対して冷却用ポンプも2系統用意された(その後はポンプ1つに変更)当時は2枚に分割したラジエターに対して冷却用ポンプも2系統用意された(その後はポンプ1つに変更)

 また、ボトムリンク式のリア1本ショックは、公道用市販車に排気量やオン/オフ問わず広く採用されています。

 1980年型の「RC250M」はホンダのオフロードの栄光のスタートであり、メカニズム的にも記念碑的なバイクでもあるのです。

■ホンダ「RC250M」(1980年型)主要諸元
エンジン種類:水冷2ストローク単気筒ピストンリードバルブ
総排気量:248cc
最高出力:38.8PS/7500rpm
フレーム形式:セミダブルクレードル

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
※2023年12月以前に撮影

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