インド、数百万匹のバッタで経済が壊滅…コロナ感染者も増加の一途

bizSPA!フレッシュ / 2020年7月6日 15時46分

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多くの国がサバクトビバッタの被害にあっている

 インドの首都ニューデリー近郊では6月27日、中東イエメンで発生したバッタの大群が襲来し、農作物や人々の日常生活に大きな打撃を与えている。インド政府は殺虫剤をフルに使うなどしてバッタの駆除を行っているが、なにせ数が数だけに全く効果は現れていないという。

バッタ

サバクトビバッタは毎日自分の体重と同じ量の緑の植物を食べる。また排泄物は食べ残した食物を腐らせるという

◆数百万匹のサバクトビバッタが…

 西部のラジャスタン州で5月初め、7キロにも渡る、およそ数百万匹のサバクトビバッタの大群が隣国パキスタンから襲来し、農作物を食い荒らすなど現地の経済にも壊滅的な被害を与えた。

 ローマに拠点を置く国連食糧農業機関(FAO)によると、今回のバッタの襲来によって農作物の8割が食い荒らされる恐れもあり、人間の食糧問題に発展する恐れがあると警戒している。

 筆者も仕事でたびたびインドを訪れたことがあるが、インドの住宅は壁や窓が脆弱にできていることも多く、あのバッタの襲来で窓やドアが壊れたりすることも十分にあると感じている。

◆コロナの感染者も増加の一途

マスクのインド人

People bearing face mask to defeat covid 19 in madhubani India.© Suman Kumar Singh

 現在(6月30日)、インドは新型コロナウイルスの累計感染者が国内で56万人を超え、死亡者数が1万6000人を超えている。6月15日には感染者が33万人、死亡者は9500人だったことから凄まじいペースで増加していることがわかる。

 インドではロックダウンが徐々に解除され、ニューデリーでもショッピングモールやレストランなどで賑わいが戻っているが、それによって感染者が再び増加している。

 7月には、感染者数が100万人に達するとも言われており、ムンバイやチェンナイなど含め大都市の病床が大幅に不足する可能性が危惧されている。そして、今回のバッタの襲来によって衛生当局が市民に十分な感染対策を実施できず、バッタの襲来が新型コロナだけでなく、インフラなどにさらなる打撃を与えることが懸念されている。

◆アフリカ、南米でも同様の被害が

バッタ

多くの国がサバクトビバッタの被害にあっている

 バッタの襲来はアフリカでも壊滅的な被害を出している。世界銀行は5月21日、過去70年間で最大規模のバッタの襲来による深刻な被害が発生しているとして、ジブチ、エチオピア、ケニア、ウガンダなど東アフリカ諸国に対して補助金1億6000万ドルを支援すると発表した。

 これによって、東アフリカ地域では2300万人が食糧難に直面しているとも言われる。サバクトビバッタは、パキスタンやイラン南部、イエメン、ソマリア、ケニアなどで繁殖し、それらが周辺諸国に襲来する形で被害が拡大している。

 6月下旬には、バッタの大群数千万匹パラグアイからアルゼンチンを襲い、サトウキビやトウモロコシなど農作物を食い荒らしたという。現在、アルゼンチン北部に襲来し、今後はブラジルやウルグアイを襲来する恐れがあるという。

◆人類の生活を大きく変える地球温暖化

 現在のところ、こういった「蝗害(こうがい)」が収まる気配は見えない。比較することは正しくないかも知れないが、新型コロナウイルスはマスクの着用、ソーシャルディスタンス、テレワークなど自分でできる対策をとることで感染リスクを大幅に下げることはできる。

 しかし、バッタの大群の襲来などは日常生活の根本に影響を与え、なにより人間に必要な「食」に大きなダメージを与えることから、深刻な脅威であることは間違いない。

 そして、大量のバッタ発生は地球温暖化による影響だ。地球温暖化による影響は、究極的には資源を巡る紛争や戦争を招くと言われるが、それは未来の人類の生活を大きく変える恐れがある。

 FAOは以前、世界的な食糧難が進んだ場合、人類は虫を主食にするべきだろうとする報告書を公表したことがあったが、今回のバッタの大量発生は人類に極めて大きな警告を我々に提示しているのかもしれない。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

【イエール佐藤】

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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