2000万円をカルチャー界に還元するバドワイザー、日本代表に聞いたその理由

bizSPA!フレッシュ / 2020年7月9日 8時47分

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2000万円をカルチャー界に還元するバドワイザー、日本代表に聞いたその理由

 新型コロナウイルスの流行により、苦境を強いられるビール業界。生命線ともいえる飲食業界が軒並み経済的打撃を受け、ビール自体の販売量が減少している中、新たな活路を見出していかなければならない局面に来ている。それは、世界的なビールブランドとして名高い「Budweiser(バドワイザー)」もまた然りである。

バドワイザー

バドワイザーを販売するABインベブ日本法人社長、ロドリゴ・モンテイロ氏

 バドワイザーやコロナビールなどのブランドを展開するアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABI)は、2020年1月から3月期にかけての最終損益が約2400億円の赤字になる見通しを発表。

 ポストコロナの時代に、巻き返しを図る戦略や取り組みはあるのだろうか。同社日本法人のロドリゴ・モンテイロ社長に話を聞いた

◆コロナ禍に喘ぐ販売パートナーの支援

 ロドリゴ社長は2002年にブラジルでABIへ入社し、営業やロジスティクス、トレードマーケティングなど様々な職務を経験後、NYへと転勤し、プロジェクトをこなす。中国ではトレードマーケティング部門のジェネラルマネージャーへ昇格。東京へ来日した現在では、日本とニュージーランドの市場を統括するジェネラルマネージャーとしてビジネスを行う立場にある。

「グローバルを渡り歩いてきた中で、日本はブラジルやアメリカと違う、独特なカルチャーを持っていると感じています。外国人として日本に住んでいる以上、日本の文化や礼節なども学ばなければなりません。その際に意識していることが2つあります。まず1つはオープンマインドであること。2つ目は、疑問に感じたことは些細なことでも聞くようにすることです」

 長きに渡って、着実にキャリアを積んできたロドリゴ社長は、今回の新型コロナによる経済的危機をどのように捉えているのだろうか。

「バドワイザーのみならず、ビール業界全体が新型コロナで大きな影響を受けている」とロドリゴ社長は切り出しつつ、グローバルでも飲食店全体が苦しい状況の中で「お客様が戻ってきたときに、どう盛り上げられるかが鍵」だと語る。

「当たり前の日常が、新型コロナで一変しました。飲食店や我々のようなビール製造会社は、ポストコロナ社会に向けて新たに価値提供や顧客とのコミュニケーションのあり方を考える必要があります。バドワイザーは海外のビールブランドなので、国内の販売パートナーをどうサポートしていくか、考えていく必要があると思っています」

◆キリンとの契約終了して日本法人に移管

バドワイザー

 プレミアムラガービールブランドとして世界6大陸・約85カ国で愛飲されるバドワイザーだが、日本では1980年代からサントリー、1993年以降はキリンビールがライセンス生産・販売を行ってきた。海外発のラガービールとして売り出し、バドワイザーキャンペーンガール(バドガール)による宣伝効果で知名度を高めてきたが、2018年末にキリンビールとのライセンス契約を終了。

 翌2019年からは、オーナー企業であるABIの日本法人に移管したことが、大きな転機となっている。

「キリンビールとはこれまで、国内の製造・販売パートナーとして二人三脚でやってきました。昨年からABIジャパンに引き継いだことで、新たに“若者のライフスタイル”に寄り添う形で、ブランド訴求を行っていく方針を打ち出しました。

 今まではグローバルで決めたマーケティング戦略をキリンビールに下ろし、そこからさらにローカライズした上、国内で実施していましたが、これだとタイムラグが生じてしまう。時代の流れが早く、次々と消費者ニーズや趣味嗜好が変わる中、戦略策定後の意思決定の速さと実行力が求められるため、ABIジャパンが直接マーケティング活動を行えるようになったのは大きい」

◆オペレーション構築からブランド訴求へ

バドワイザー

 初年度である2019年は、「国内での流通や消費者の手元に届くまでの販路を強化した時期だ」とロドリゴ社長は話す。

 一方で、グローバルではバドワイザーの「BE A KING」を体現し、カルチャーシーンを牽引するクリエイターやアーティストらの才能を開花させるため、様々な取り組みを行なってきたことから、「日本でも『カルチャー』との結びつきを強化し、バドワイザーを楽しむライフスタイルを伝えたい」とし、新たなブランドイメージの構築にも努めるという。

「キリンビールとのライセンスが切れたことで、海外バドワイザーの生産工場からの直輸入に変わりました。それに伴うロジスティクスや在庫管理の面で、懸念点がないか確認をしながら初年度はビジネスを行なってきましたが、2020年からはブランド訴求に力を入れていきたい。

 音楽やファッション、アート、サブカルチャーなど、日本には様々な“カルチャー”が根付いているので、カルチャーシーンに携わるアーティストや若者にバドワイザーの世界観が伝わるような施策を行っていく予定です。直近では、新型コロナで未曾有の危機に苦しむアーティストや、クラブやライブハウスといったエンタテインメント施設などを支援するプロジェクト『RE:CONNECT』を発足しました

◆2000万円をカルチャーシーンに還元

 相次ぐイベントや興行の中止は、アーティストの表現の場やファンとの交流機会が減少する要因となり、ライブエンターテイメント業界は苦しい状況下に置かれている。バドワイザーは、業界を下支えしてきたアーティストやクリエイターの支援をするため、新たにReconnect(紡ぎなおし)し、未来のシーン発展へと繋げるべく「RE:CONNECT」を立ち上げた。

 もともと“KING OF BEERS”をキャッチコピーとして掲げているが、ここでいうKINGは、エネルギーを持って頑張る全ての人々を指すという。

「2018年から、世界の主要都市で開催しているイベント『BUDX』を今春に開催予定でしたが、新型コロナでキャンセルを余儀なくされた。そこで、広告費としてプールしてあった予算の一部である約2000万円を、カルチャーシーンに還元することを決めました。ポッドキャスト配信やオンラインイベントなど、集まれる場所が限られる今だからこそ、オンラインを中心としたコンテンツに注力していきます」

◆あらゆる「イノベーション」を起こしたい

バドワイザー

 カルチャーシーンの底上げに力を入れるバドワイザーが、今後の日本市場ではどのような展開をしていくのだろうか。最後にロドリゴ社長は「日本は常に進化しているマーケット」と位置づけ、次のように締めくくった。

「日本は、ABIでも重要な市場として捉えています。私は、バドワイザーを通して新しい顧客体験を創れないかと、常に『イノベーション』を考えています。ここで言うイノベーションは、ビールの新商品開発だけではなく、人と人を繋ぐことやカルチャー発信の新しい場の提供、若者のライフスタイルとの接点を創ることなど、あらゆる面でのイノベーションを起こしていければと思っています

 そして、コロナ禍で苦しむ飲食店の一助となるような施策も企画しているので、バドワイザーブランドとして最善を尽くしていく予定です」

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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