残業がプラスから「マイナス評価」に転じるのは何歳から?

bizSPA!フレッシュ / 2020年9月14日 8時47分

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残業がプラスから「マイナス評価」に転じるのは何歳から?

 政府主導で始まった働き方改革はすでに3年以上が経過し、2020年は関連法が施行されたこともあり、企業の残業削減が進んでいるように思えます。

 当初は「長時間労働の是正」が主たる目的でしたが、今回のコロナ禍を契機に在宅ワークの導入などが進み、本当の働き方が問われる時代となっています

東京駅 夜 残業

※イメージです(以下同じ)

 とはいえ、あなたの会社・職場・上司は「残業」をどう捉えているでしょうか。

◆会社は「残業減らせ!」と言うが…

 会社単位で考えると、労働生産性の向上と残業(コスト)削減は、利益創出を目指して終わりのない追求が行われるため「(無駄な)残業減らせ!」と経営者が号令を出すのは当然のことです

 ところで、あなたの上司は残業というものをどう捉えているでしょうか。業務の効率化を推進するのは当たり前ですが、会社からはより大きな量としての成果が求められているので、多少効率が悪くても成果創出に重点が置かれています。

 上司の仕事は、組織目標を達成するために部下に役割や職務をアサインし、最適な業務目標を設定させ、マネジメントしていくことなので、目標達成が厳しくなると、さらに労働時間を投入しなければならないという実情があります。

◆上司は「目標を達成しろ」と言ってくる

残業

 また、近年は目標管理の考えを取り入れた評価が主流になっていますが、総合的な人事評価をする場合は、部下がいかに上司の役に立っているかという見えない評価が存在します。

 それは一般的に「能力評価」と言われるものですが、能力を厳密に評価するのは容易なことではなく「遅くまで頑張って上司の役に立っているな」という印象があれば、それに当てはまる能力評価項目を探して評価するようなイメージです。

 上司は部下の働きぶりを見て評価するのが原則ですが、四六時中、部下と対面で仕事しているケースは少ないために、分かりやすい指標である労働時間が注目されるのです。

◆「残業」といっても多様な側面がある

 もちろん残業の多い少ないがそのまま評価に反映されるわけではありません。残業にも次のような種類があるからです。

① 仕事量が多過ぎることによる残業
 仕事が多くて残業になるのは当たり前です。欧米ですと業務の繁閑は新規採用と解雇で雇用調整するのが一般的ですが、日本の場合は法律的に容易に解雇ができない事情があり、人員の調整はせずに労働時間量の調整を行ってきました。こういう背景もあり、忙しい時に上司の残業要請に快く応える部下は印象がよくなるのも当然と言えます。

② 無駄と思える仕事が多い
 労働量の調整と言いましたが、閑散期だからといって1日8時間労働を7時間にするなどのフレキシブルな運用ではなく、ちょっと優先順位の低い仕事に手を付け出すことがあります。

 それが慣習となって、今となっては無駄な仕事になっている可能性があっても、「前任者もやっていたから」という理由で続けていることが多いものです。こういう仕事は上司も意外と把握していないので、削減(改善)提案をするとあなたの株が上がるかもしれません。

◆「できるまで帰らない」的な発想も必要

残業 ビジネスマン

③ 生活給としての残業代稼ぎ
 報酬を上げるためには、人事評価で良い成績を取り昇給、賞与アップを狙うのが王道ですが、残業を多くする方が最も手っ取り早く稼げます。
 もし、月例給与が高い状況が続き、その前提で生活が成り立っているとすれば、この状態から脱するのが難しくなり、いつのまにか賞金稼ぎならぬ、残業代稼ぎというレッテルを貼られることになるので気を付けましょう。

④ 本人の能力不足、段取りの悪さ
 さすがに能力不足や段取りの悪さで多くの労働時間を費やさないといけない状況だと、上司としては指導したくなりますが、実態を把握することは困難です。
 ただ、能力不足・段取りの悪さを労働時間で何とかカバーしようとする努力の姿勢は「あいつ頑張っている」という評価になる可能性も高いので、段取りが悪いという自覚のある人は「できるまで帰らない」的な発想も必要ではないでしょうか。

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 このように残業と言ってもさまざまな側面があるので、良い悪いと決められるものではないのですが、少なくともこれまでは労働時間の長さが間接的に評価されてきたのは事実です。

 それに30代前半くらいまでは実力を高めるために果敢にチャレンジして、結果的に非効率な長時間労働になるのはむしろ(上司からは言いにくいが)褒められることと言えます。

◆残業の多さは35歳でマイナス評価に

マイナスのビジネスイメージ

 ところが、そういう評価は35歳を超えたあたりから真逆になります。若手・中堅の間は「よく頑張っているな」と見なされますが、ベテランになってくると、「いつまでやっているんだ。何年この仕事をしているんだ」「生産性が低いやつだ」という評価になるのです。

 しかし、これは決して理不尽な話ではなく、多くの日本企業は現在でも経験年数とともに給与が上昇していく人事制度運用をしています。

 会社が「成果主義」を標榜しようが、「実力主義」と言おうが、真面目にコツコツ働いていれば毎年昇給があり、一定期間を経て昇格していく年功制で、それなりの高さの給与になっていきます(お断りしておきたいのは、「年功」というのは、毎年功績がある人には処遇を上げていこうという意味なので、大した働きじゃないのに給与がドンドン上がっていくという訳ではありません)。

 本人が20代の間は能力不足・経験不足を残業でカバーして帳尻を合わせてきたつもりでいても、会社は30代後半あたりから給与に見合う採算の合う人材かどうかという見方をするようになります

 若くて単価の安い伸び代のある人材には、残業代を投資と考えますが、ベテランとなり単価の高い社員の残業代はコストと捉える傾向が出てくるのです。という訳で、出世が止まったからと言って若い頃と同じようなマインドでいると、これから本格化してくるであろう大リストラ時代をサバイバルしていくのは難しくなります。30歳を超えたあたりから、世間の動向に左右されない働き方を考える必要がありそうです。

<TEXT/人事コンサルタント 麻野進>

【麻野 進】

株式会社パルトネール代表。企業の大きさ、業種を問わず「マネジメント」「出世」「働き方改革」といった様々な問題を解決する組織・人事コンサルタント。人事制度構築の実績は100社を超え、年間1000人超の管理職に組織マネジメントの方法論を指導

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