学費70万が水の泡に…「プログラミングスクール」の現実をキャリアのプロが明かす

bizSPA!フレッシュ / 2020年10月19日 15時46分

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学費70万が水の泡に…「プログラミングスクール」の現実をキャリアのプロが明かす

 突然ですが、プログラミングスクールをご存知ですか? 最近だとSNSや動画サイトの宣伝広告などで見かけることが多いのですが、実際に通った人にお話を聞いてみるとこんな声をよく聞きます。

有料のプログラミングスクールを卒業したのにエンジニアになれない……

プログラミング

※イメージです(以下同じ)

 僕は元お笑い芸人で、現在は20代に特化した転職エージェント「UZUZ」でキャリアアドバイザーをしています。プログラミングスクールを利用してスキルの習得や就職/転職に成功している人がいる一方、デメリットを知らずに入会し「事前にしっかり調べれば良かった」と後悔している冒頭のような人にお会いすることもあります。

 そこで今回は有料のプログラミングスクールのデメリットについて体験談をもとにお伝えしていきます。

◆プログラミングスクールとは

 プログラミングスクールとは、IT業界に必要なスキルやプログラミング言語に関する講座を受講できるスクールのことで、主にプログラマーへの就職や転職を希望する人が通っています。某プログラミングスクール代表が自ら積極的にSNSや動画配信サイトを使って発信しているので知ってる人も多いかと思います。

 運営会社によって受講するプログラミング言語が変わります。たとえばWebサイトを作りたいならPHP、業務系のシステムを開発したいならJava、あるいはPythonを扱うスクールも増えてきてると聞きます。プログラミングスクールを選ぶときは、まずどのような目的でプログラミングを学ぶのかを考え、適切なプログラミング言語を学習することをおすすめします。

 学習の期間については1~6か月間となっており、運営会社によって異なります。また、受講料金についても10万〜70万円と幅が広いので興味がある人は調べてみてください

◆デメリット1:受講費用が高いカラクリ

プログラミング

 プログラミングスクールに通うのは、専門講師の指導のもとで、効率的にプログラミングの学習できるというメリットがある一方、デメリットもあります。というか、むしろこちらのほうが厄介です。

 SNSやネット上では「費用が高い」という書き込みが多くあります。高額なプランの場合、分割払いもできます。ただ、私が過去に転職サポートした人は、限度一杯まで分割をしていていたため、スクール卒業後、2年間も費用を払い続けていました。加えて、大学の奨学金も一緒に払っていたので、金銭面でかなり苦労したそうです。

 一般的に「立派なカリキュラムを受講することができるのだから、高くても割に合っている」と思う人もいますが、一概にそうだとは言えません。

 プログラミングスクールはコロナ禍の世論を上手く使って一気に集客をしようと動いています。

 その1つが、SNSでの広告です。YouTubeなどで動画を視聴すると、プログラミングスクールの広告が頻繁に流れてきます(転職業界にいる私の視聴履歴や行動ログがそうさせるのかもしれませんが)。他のSNSにも多くの広告が流れていることを考えると、集客のためガンガンにプロモーションをしていることがわかります。

 そういった宣伝の広告費があるから授業料が高いのだと思います。プログラミングの勉強であれば、もっと費用が安くて、コスパの高い教材はたくさんあります

◆デメリット2:紹介される企業の質が読めない

プログラミング

 こちらも過去に私が転職サポートした人のケースになるのですが、この方はプログラミングスクールに半年間通って、約70万円ほど払ったそうです

 カリキュラム受講後に転職サポートを受けることになるのですが、スクール側が提示してきたのは、いわゆる「客先常駐型」のエンジニア求人だったようです。他にもプログラミングスクールの卒業生で、私が転職を担当した6人ほどが、同じように客先常駐型を勧められるか、自分で探すかの2択だったようです。

 もちろん、全ての常駐型の企業が悪い――なんてことはないのですが、世論的には常駐型が下で自社開発が上というような考えがあると思います。そのため、スクールに通う人の多くが常駐型の企業に行きたくないから大金を払ってでも通うといっても過言ではないと思います。

 しかし、実態としては今の市場感によってスクール側も求人の確保に苦戦をしており、某スクールのHPを覗いてみるとがっつりSES(客先常駐型)企業の求人募集が書かれていたりします。自社開発と常駐型を比較すると、後者のほうが未経験対応の求人が多く、スクールに行かなくても独習くらいのスキルで入れる企業が多いです。つまり、人によっては”スクールに通わなくても入れるような企業”を紹介されるケースがあるということです。

◆転職市場の変化が紹介求人に影響

 なぜ、スクールの紹介求人に常駐型の企業が増えたかと言うと、転職市場の変化による影響が大きいです。転職する時は当然ながら「自分の希望する企業」と「採用企業の希望する人物」が一致した時に内定が出ます

 私の勤める転職エージェントでも開発系のエンジニア求人は一時期9割ほど減りました。現在は求人数も戻りつつありますが、採用要件は以前と比べるとかなり上がりました。未経験歓迎という文字は消えて「実務経験1年ほど」「社会人経験2年以上」など完全未経験で応募するにはかなりハードルが上がりました。

 プログラミングスクールでは学習経験は積めても、実務ではありません。そのため、高額な費用を払って勉強したのにも関わらず書類選考すら通過できないという人が増えています。どんなに高度な学習をしても採用要件を満たさないと転職はできないので今の市場感というのをしっかりとリサーチしておく必要があります。

◆「キラキラした開発会社」にはいけない

UZUZ森川画像

UZUZの森川剛

 プログラミングスクール側としても、「卒業生がエンジニアになれない」ということは避けたいので必死に戦略を練っています。例えば、スクールと提携してるIT企業に卒業生を無料で紹介をしたり、従来の紹介手数料よりも値段を下げて紹介を行なっているところもあります。

 素晴らしい戦略ではありますが、裏を返すと、そうでもしないと未経験エンジニアは斡旋できないという事実でもあります。お金払ってプログラミングスクールに通ったことで、どれだけ面接に落ちても「プログラマーになれるまで転職活動を続けます!」という人がいますが、結果として入社した企業はスクールに行かなくても入れるような企業だったなんてこともあります

 スクールが出している広告をみると、あたかも全員が「WEB系のキラキラした開発会社」にいけるような打ち出し方をしていますが、現在の転職市場において実務経験もなく、数か月勉強をした程度でWEB系の企業にいけると思っているとITリテラシーの低い、情弱な人だと思われます。

 プログラミングスクールに行こうとしてる人は、よく相談をした上で今の転職市場におけるリスクも考慮して通うことをおすすめします。

<TEXT/キャリアアドバイザー 森川 剛>

【森川剛】

元お笑い芸人。現在はキャリアアドバイザーとして自身の経験を活かし、高卒就活、夢追い人のキャリアについて20代のビジネスパーソンへ発信中 ■twitter:@a54689 ■YouTube「高卒のもりかわ【高卒日本代表】

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