コロナ禍で内定先が音信不通に…月収5万の同人作家になった24歳の悲劇

bizSPA!フレッシュ / 2020年10月23日 8時46分

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同人作家の川瀬崇史さん(仮名・24歳)

 新型コロナウイルスによる未曾有の事態に、事業縮小や倒産を余儀なくされている企業が少なくありません。その結果、内定取り消しや採用見送りも起きており、新社会人や転職予定の若手にとっては他人事ではいられません。

就活

※画像はイメージです(以下、同じ)

◆夢のゲーム会社への内定が出たと思いきや?

 同人作家の川瀬崇史さん(仮名・24歳)もその被害者の一人。2020年4月からゲーム会社に就職予定でしたが、新型コロナによってその予定を大きく狂わされたのだとか。

「専門学校卒業後、3年ほど同人活動をしていましたが、去年、心機一転して就職活動を始めました。本来なら今年の春からゲーム会社で働いている予定でしたが、今はアルバイトをしながら新たな就職先を探しています」

 新卒入社をしなかったのはなぜでしょう。

「僕が通っていたのはアニメやゲーム関連の専門学校で、卒業前にゲーム会社でインターンをしました。そこに就職しようと思っていましたが、インターン中に大規模な解雇があり、新人ができる仕事も、仕事を教えてくれる人もいなくなってしまったので、断念しました。同人活動を始めたのはそのタイミングでした」

◆同人活動と警備バイト。二足のわらじ生活

同人作家

同人作家の川瀬崇史さん(仮名・24歳)

 一口に同人作家と言っても、ガッツリ稼いでいる人から、趣味でやっていてほぼ儲けがない人までさまざま。「人気同人作家は年収1000万円を超える」などとも言われるようですが、崇史さんの就職活動前の収入はどのくらいだったのでしょうか?

「僕の同人誌1冊の売上は15万円ほどで、そのほかにキャラグッズの製作もしています。最大で年に4冊書き下ろし、年に6回ほど販売イベントに参加していました。もちろんそれだけでは生活できないので、警備のアルバイトで月15万円ほど稼いでいます。実家暮らしなので、お金はそんなに使わないんです

 就職前からしっかり稼いでいる崇史さん。そんな生活をするなかで、なぜ就活をしようと思ったのでしょうか?

「安定した生活や収入のためにというよりも、絵を描くことを収入の100%にしたかったからですね。なかでもゲーム会社を第一希望に、クリエイター向けの転職サイトを使って就活を始めました。本業はゲーム制作、サブとして同人活動を続けていこうと思っていました。求人の中でも給与内訳がきちんと書かれていた会社を受け、無事に2019年末に内定をもらいました。書類を年末に渡し、2020年3月に詳細の連絡が来る予定でした」

◆新型コロナのせい? 会社は音信不通に

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「でも、3月に会社から連絡がなく、そのまま連絡がつかなくなってしまいました。近年は『荒野行動』など中国発のゲームも人気ですが、就職予定だった会社の主業務は、中国のゲームを日本版にすることでした。なので、新型コロナで本国がダメージを受けたせい? とも思いましたが、確認もできません。でも、求人サイトからその会社が消えたのだけはわかっています」

 新型コロナで内定取り消しが話題になってはいますが、音信不通になるとは……。崇史さんは現在、どのように生活しているのでしょう?

「警備のアルバイトを続けていますが、5~6月に現場で新型コロナ感染者が出たので、一時期はその仕事もなくなりました。それに、予定されていた同人誌の販売イベントもすべてなくなってしまい、今年はオンラインだけで販売。新型コロナ以前から同人誌専用のWEBサイトに出品していますが、売り上げは昨年比で3分の1程度になっています。

 今の月収は、5万~6万円くらい。貯金を切り崩しながら生活しています。警備のアルバイトもなくなってみて、毎月収入があることの大切さを改めて感じました。今もゲーム会社で転職活動を続けていて、ちょうど選考段階の会社があります」

 新型コロナで人生設計が狂ってしまったものの、崇史さんが夢のゲーム制作に携われる日も近いのかもしれません。

<取材・文/阿形美子>

【阿形美子】

1994年生。大学卒業後、フリーの編集・ライターとして活動中。底抜けの飲んべえゆえ酒ネタが多いが、インタビューやモノ記事、カルチャーネタなどもカバーする。Twitter:@agata_yoshiko

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