バイデン次期大統領の対韓政策を予想。冷え込んだ関係は改善されるか

bizSPA!フレッシュ / 2020年11月19日 8時46分

写真

写真はバイデン氏の公式ツイッターより

 次期大統領のジョー・バイデン氏は11月12日、韓国の文在寅大統領と電話会談を行った。バイデン氏は韓国を防衛する意志とともに、北朝鮮の核問題を解決するため緊密に協力する考えを文大統領に伝え、大統領就任後早期に米韓首脳会談を開催する方針を確認した。

アメリカ 韓国

画像はイメージです(以下同じ)

 またバイデン氏は、文大統領にインド太平洋構想に向けて韓国が緊密に協力することを期待すると述べ、韓国の新型コロナ対策を評価したという。

 では、バイデン政権が誕生したら、具体的にどのような韓国政策を進めていくのだろうか。

◆これまでになく冷え込む米韓関係

 まず、トランプ政権下で冷え込んだ米韓関係が両者によってどう改善されるかがポイントとなる。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、香港国家安全維持法や中印国境での衝突なども影響し、インドとオーストラリアがこれまでになく反中感情を露にするなか、日米豪印の「クアッド安全保障協力」が加速化している。

 文政権は中国や北朝鮮を配慮し、クアッド協力に積極的に関与する姿勢を示さない。10月にペンタゴンで行われた第52回米韓安保協議会で、両国は防衛費分担金問題などを巡って激しく衝突。共同声明から「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も中止される事態となった。

 また、韓国が悪化する日韓関係を問題に挙げ、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせたことから、トランプ政権下で米韓関係はこれまでになく冷え込んでいた

◆バイデン・文の関係性でも摩擦が

文在寅

文在寅 photo by Korea.net CC BY 2.0

 冒頭で述べたように、バイデン氏は文大統領にインド太平洋構想における「米国の同盟国である韓国の役割」に期待を示した。

 しかし、これを巡って「バイデン・文の関係性でも摩擦が生じてくる可能性が高い。

 バイデン政権の基軸となるのは“非介入主義”と“国際協調主義・多国間協力”であることから、インド太平洋構想という多国間構想の中で同盟国に役割を求めてくることは想像に難くない。しかし文大統領がインド太平洋構想にどこまで積極姿勢を示すかは分からず、懸念事項のひとつになる可能性がある。

◆日韓関係の改善を要求するかも?

バイデン

写真はバイデン氏の公式ツイッターより

 韓国に日韓関係の改善を求める可能性も否めない。これは日本にも要求する可能性も高いが、オバマ政権下の2012年に発表された「第3次アーミテージレポート」の中でもこの件に関する言及があった。

 オバマ政権同様、バイデン政権が具体的に求めるのは“安全保障における日韓協力”であり、日韓間の政治や歴史に関する問題に介入することはないだろう。とはいえ文大統領がバイデン政権の要求に素直に応じる可能性は低い

 バイデン政権で大きく変化するのは北朝鮮への対応だろう。2017年に米国と北朝鮮との間で緊張が走ったが、それ以降、トランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と3回も会談し、北朝鮮の指導者と会った最初の米国大統領となった

◆現状、米朝トップ会談の実現は難しい

 現在、米朝交渉は停滞しているが、金正恩氏にとって「会ってくれる米国大統領」の存在は大きかった。だが、バイデン氏はオバマ政権の戦略的忍耐を継承するとみられ、北朝鮮が核・ミサイルで進展を見せない限り、トップ会談の実現は難しいはずだ。

 よって、バイデン政権になると、北朝鮮が再び瀬戸際外交(譲歩を引き出す狙いで、あえて緊張を高める挑発的な外交)や核実験、ミサイル発射などを仕掛けてくる恐れがある。

 文大統領の基本スタンスは北への宥和政策であるので、戦略的忍耐を継承するバイデン氏とどこまで北朝鮮政策で共同歩調を取れるかは未知数。トランプ政権で冷え込んだ米韓関係は、バイデン政権になっても摩擦が生じ、改善する可能性は低いと思われる。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

【イエール佐藤】

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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