社外取締役と「顧問」の違いは?意外と知らない会社の組織の話

bizSPA!フレッシュ / 2021年1月5日 8時46分

写真

「会社法で”代表取締役”や”取締役””監査役”などは定められていますが、社長や常務・専務などの役職は、すべて勝手に名前がついているだけ。だから取締役であることもあるし、ないときもあります」(坂田氏)、「顧問には人脈の広い方や、技術顧問のように専門性に優れている方が就くことが多いです」(安藤氏)

 企業は相次いで冬のボーナスカットや給与減を発表するなど、2020年は会社と労働者という関係を露骨に突きつけられた1年となった。

 しかし、よく考えてみると、給与や会社組織、雇用の仕組みについて意外と知らずに働いていないだろうか? そこで、若いビジネスマンのため、「会社へのギモン」ばかりの“社畜太郎さん”とともに「会社の基本」をプロに学んでいきたい!

仕事

※イメージです(以下、同じ)

会社くん…日本生まれ、日本育ち。会社の仕組みを知り尽くす。労働者によりよく働いてもらうため、研鑽(けんさん)を重ねる日々を送っている

社畜太郎…会社の待遇にやや不満がありながらも「転職するほどでは」という意識低い系会社員

◆会社って誰のモノなの?意外と知らない組織の話

 財務体質が良い会社には「内部留保」(前回記事参照)と呼ばれる蓄えがあるが、内部留保という会社の埋蔵金、一番偉い社長なら自由に使えるのかというと、実はそうではない。

太郎:会社って結局のところ、誰のモノなの?

坂田岳史(中小企業診断士・以下、坂田):会社は基本的に株主のものです。阪神タイガースで例えると、監督=経営者と思いがちですが、阪神タイガースの運営会社の大株主は阪神電気鉄道です。ですから阪神タイガースは、阪神電鉄が所有していると言えます。

太郎:タイガースはファンのものというのは建前なんですね。

会社のギモン

株式会社と言ってもさまざまだが、上場するには株主数や流通している株式数や時価総額、比率など多くの条件を厳しく審査される。非上場企業は株式を売却する際、特定の相手を見つける必要がある※東京証券取引所「上場審査基準」より

◆そもそも取締役会って何をしてるの?

会社のギモン

証券取引所による厳しい審査基準を通過した上場企業は約3700社。その割合はなんと日本にある企業の約0.1%だ

会社:ちなみに重要な決議事項は取締役会で決めるから、仮に太郎が社長になっても会社を私物化できるわけじゃないよ。

太郎:元日産自動車CEOカルロス・ゴーンのように告発されるのか。そもそも取締役会って何をしてるんですか?

安藤広大(組織マネジメント専門家・以下。安藤):会社の運営方針や経営戦略について決める場ですね。業績の報告や共有、取締役会でしか決められない決議事項を扱います。例えば、私が代表取締役を務める組織コンサルティング会社「識学」では、多額の予算を使う施策の賛否やM&Aの決議など、取締役会でしか決められないことを取締役5人で決議を取っています。社内の取締役は3人で、残りの2人は社外取締役です。

◆社外取締役って“社外”なのはなんで?

太郎:“社外”取締役って外部の人なのに何で経営に口出ししてくるんだろう?

坂田:取締役は基本的に株主総会で選出されます。社外取締役には公認会計士や弁護士のような専門性のある人が就くこともあります。

安藤:社内の意見だけでは偏ることもあるので、社外の視点から取締役としてリスク判断や意見をもらうのは重要です。

太郎:たまに会議に出るだけで、高給もらえるのってズルいですね。

安藤:東証一部上場とかはさておき、マザーズ上場クラスだと月額数十万円が相場かと思います。それで専門家の意見がもらえて経営判断の精度が上がれば、費用対効果で考えて高くはありません。

◆社外取締役と顧問の違いは?

会社のギモン

「会社法で”代表取締役”や”取締役””監査役”などは定められていますが、社長や常務・専務などの役職は、すべて勝手に名前がついているだけ。だから取締役であることもあるし、ないときもあります」(坂田氏)、「顧問には人脈の広い方や、技術顧問のように専門性に優れている方が就くことが多いです」(安藤氏)

太郎:顧問との違いは何ですか?

安藤:全然違います。社外取締役は決議に票を投じて取締役としての責任を伴いますが、顧問に経営責任は発生しません。あくまで経験や知見を活用したアドバイスや、顧客の紹介をする存在です。

会社:株主が任命する「取締役」が会社の方針を決めてるのはわかったと思うけど、株主の利益のために経営を監督する立場で、取締役会での決定事項を「執行」するのが「執行役員」の役割なんだ。

太郎:取締役と執行役員って明確に違うものだったのか……。

会社:執行役員は会社法で定める役員ではなく社内に任意に設けられる「役職」。しかし日本企業では取締役が事業部門の責任者を兼任する例もあるので、太郎が混乱するのも仕方ないかな。

太郎:混乱なら、COOも偉い人なのだろうけど、よくわからない。

坂田:CEO(Chief Executive Officer)は「最高経営責任者」、COO(Chief Operating Officer)は「最高執行責任者」ですね。会社法に定められているわけではないため、役員でないケースもありますが、経営上の権限を持ちながら、仕事をする人たちのことです。代表取締役や取締役を兼務していなければ、執行役員くらいのイメージ。それ以外のC○○は日本でいえば事業部門長みたいなものです。

【坂田岳史】
中小企業診断士。’61年、京都府生まれ。18年間コンピュータ業界で活躍し、現在はIT経営コンサルタントとして活動。会社の仕組みにまつわる著書を多数執筆している

【安藤広大】
組織マネジメント専門家。’79年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモに入社。転職を経て’15年に識学を設立。コンサルティング実績は1600社超。著書に『リーダーの仮面』

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/今井ヨージ 図版/松崎芳則>

【週刊SPA!編集部】

×

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング