年収差は最大200万円に!「正社員と非正規」の大きな違い

bizSPA!フレッシュ / 2021年1月15日 8時45分

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日本では約4割の人が非正規社員として働いているが、その給与格差は歴然だ。20~50代まで、その差は広がり続け、正社員が50代でピークを迎えるのに対し、正社員以外では横ばいで推移している

 企業は相次いで冬のボーナスカットや給与減を発表するなど、2020年は会社と労働者という関係を露骨に突きつけられた1年となった。しかし、よく考えてみると、給与や会社組織、雇用の仕組みについて意外と知らずに働いていないだろうか

 そこで、「会社へのギモン」ばかりの“社畜太郎さん”とともに「会社の基本」をプロに学んでいきたい。

会社のギモン

コロナ禍で在宅勤務が普及した追い風を受け、ヤフーやライオンなど大手企業が外部からの副業人材を募集したことも話題になった

 共に働く仲間であっても、その雇用形態は千差万別だ。そこで、会社員なら知っておきたい雇用の常識から最新の働き方を専門家に聞いた。

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会社くん…日本生まれ、日本育ち。会社の仕組みを知り尽くす。労働者によりよく働いてもらうため、研鑽(けんさん)を重ねる日々を送っている

社畜太郎…会社の待遇にやや不満がありながらも「転職するほどでは」という意識低い系会社員
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◆正社員と非正規ってどう違うの?

社畜太郎:働き方がたくさんありすぎて全然違いを整理できない……。

坂田岳史(中小企業診断士・以下、坂田):雇用形態には、正規社員と呼ばれる正社員のほか、非正社員である派遣社員、パート、アルバイト、契約社員。それに加えて、雇用関係はありませんが、業務委託契約などがあります。

社畜太郎:一番大きい違いは?

会社くん:まず、給与。厚生労働省の正社員・非正社員別の平均給与の賃金カーブを見ると、全体的に正社員のほうが高いよね。仮に太郎さんが45歳の非正規社員ならば給与は平均20万円。でも、正社員の場合は平均37万円で、単純計算しても年間に200万円ほど正社員が多くなるんだ。これにボーナスや手当などが加わると、もっと差が広がるよ。

会社のギモン

日本では約4割の人が非正規社員として働いているが、その給与格差は歴然だ。20~50代まで、その差は広がり続け、正社員が50代でピークを迎えるのに対し、正社員以外では横ばいで推移している

社畜太郎:それだけを聞くと、いかに正社員が得かがわかるなあ。

◆正社員と非正社員の「格差是正」の動きも

会社くん:差が大きいよね。ただ、政府は雇用の流動化を推進したいという思惑から、正社員と非正社員の格差を是正すべく、2020年からは同じ職場で同じ仕事をする人には同じ賃金を払うという「同一労働同一賃金」を法律に盛り込んだんだ。だから、この差は今後縮まっていくことが期待されてるよ。

社畜太郎:確かに、同じ仕事で給料に差があったら不公平だよね。ほかにも違いってあるのかなあ?

坂田:契約期間も大きく違いますね。正社員は労働契約期間が決まっていませんが、契約社員や派遣社員は一定期間を経ると企業側が契約を更新しないこともできます。

社畜太郎:会社次第なんですね……。企業側は、なんで非正規のような働き方の導入を進めるんですか?

坂田:会社に忠誠心を持って働く人材を一定数確保する点で、正社員採用は重要です。ただ、正社員には雇用期限がないので、簡単にはクビにできません。一方、期限がある非正規雇用は業績や仕事量次第で人数を調整できる。経営者としてはありがたいんです。

会社のギモン

残業代や有給休暇、社会保険などの制度は正社員以外にも適用される。ただ、社会保険は①週30時間以上の労働時間、もしくは②労働時間が週20時間以上/月額賃金8.8万円以上/勤務期間1年以上/従業員501人以上(以下は労使合意に基づく)/学生ではない、という条件がある。派遣社員のボーナスは、派遣先との雇用契約による

◆リスクとリターンを選択できる時代に

社畜太郎:大手広告代理店の電通で、一部の社員を業務委託に切り替えて個人事業主化するってニュースが話題になったけど、あれは?

坂田:成果報酬なので、優秀な人には理想的な働き方です。また、自発的に取り組んでもらえるので、企業の収益にもプラスになります。でも、納税を自ら行うのはもちろん、能力がないと仕事が回ってこないので収入が減るなど、すべてが自己責任になります。リスクとリターンを天秤にかけて、選択できる時代になったということですね。

安藤広大(組織マネジメント専門家):会社の立場からすると、個人事業主化が広がっていく代わりに、所属意識が薄れる可能性があります。結果、その会社の成長を支える人が減ることも考えられるので、必ずしもプラスばかりとは言えないでしょう。

会社のギモン

キャリアアップなどの積極的な理由で副業を許可する企業がわずかながら増えつつあるが、現状は「社員の収入増に繋がる」「特に禁止する理由がない」などの消極的なものが多い

社畜太郎:最近は副業OKの企業も多い気がする。普通は社員に他社で働いてほしくないと思うんだけど、違うんですか?

坂田:新型コロナなどの影響で業績が悪化しているため、減った給与分を自分で補塡してもらうために副業を推進する会社も少なくありません。ただ大手企業でも、人材育成や人脈形成の意図から、進めている場合もあります。不安定な時代だからこそ、副業で見聞を深めておくのは、会社にとっても、社員にとっても、悪い話ではないんですよ。

<取材・文/栗林 篤 藤村はるな イラスト/今井ヨージ 図版/松崎芳則>

【坂田岳史】
中小企業診断士。1961年、京都府生まれ。18年間コンピュータ業界で活躍し、現在はIT経営コンサルタントとして活動。会社の仕組みにまつわる著書を多数執筆している

【安藤広大】
組織マネジメント専門家。1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモに入社。転職を経て’15年に識学を設立。コンサルティング実績は1600社超。著書に『リーダーの仮面』

【週刊SPA!編集部】

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