29歳商社マン、初のアフリカ出張。意外な日本製品がワイロ代わりに

bizSPA!フレッシュ / 2021年1月27日 15時45分

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29歳商社マン、初のアフリカ出張。意外な日本製品がワイロ代わりに

 企業のグローバル化が進んだ現在は、出張先が海外であることも珍しくありません。いかにもバリバリ働いているエリートのイメージがある海外出張ですが、渡航先によって環境は全然違います。特に途上国だと治安や衛生面も不十分でかなり過酷とか

空港

画像はイメージです(以下、同じ)

 2019年に出張でアフリカ某国を訪れた専門商社に勤める関根敦史さん(仮名・29歳)も、あまりのカルチャーショックで「到着1日目にしてもう日本に帰りたくなった(苦笑)」といいます。

◆入国審査でまさかの…

「初めての国で日本人もほぼいないと聞いていたので不安でしたが、日本からは乗り継ぎの飛行機も含めてずっとビジネスクラス。機内ではシャンパンを飲みながら映画を見たりして快適な時間を過ごしていたんです。

 でも現地の空港は埃っぽくて建物も古いし、一国の首都なのに日本の地方空港ほどの規模しかない。これは覚悟しなければならないと思い、酔いもすっかり醒めてしまいました」

 そんな彼に早くも試練が訪れます。空港での入国審査の際、ビザや黄熱病ワクチンなどの予防接種証明書など必要な書類は持っていましたが、恰幅のいい中年の男性職員から「入国できない」と告げられてしまったんです

◆ひたすら頼み込んでことなきを得るが…

ワイロ

「けど、その後に続けて『特別に入国を認めてあげてもいい』と言われ、賄賂の要求だと気づきました。私は親が駐在員で子供のころはアメリカに住んでいて、旅行や出張でこれまでに10数か国に訪れたことがありますが、賄賂はこれが初めて。

 ただ、上司からは聞いていましたし、体験者が投稿したと思わるネットの情報などもチェックしていたため、『本当にあるんだ』って思う程度でそこまでの驚きはありませんでした」

 会社からは「対応は任せる」と個人の裁量に委ねられていたそうですが、相手に言われるまま賄賂を払うのは癪(しゃく)にさわったので交渉。最初は入国できないの一点張りでしたが、相手も面倒臭いと感じたのか途中で「わかった。行っていい」とスタンプを押してもらい入国を認められたそうです。

◆現地コーディネーターが活躍?

アフリカ 街並み

「出発前に先輩から、文句を言ったり非難するのは相手の面子を潰して面倒事になる可能性もあるから言い方を気をつけるようにアドバイスを受けていました。そこであくまでお願いという形にしてひたすら頼み込んだんです」

 無事に入国してホッとしたのも束の間。関根さんの目的地はそこから数百キロ先の地方都市でした。その間には複数の検問があり、ここでも職員たちが同じように賄賂を要求してきたのです

「手配した現地コーディネーターの車で向かい、彼から話は聞いていましたが本当にタチが悪った。露骨に『マネー』と言われましたし、入国審査のときのように粘れば引き下がってくれる感じではありませんでした」

 ただし、対応はコーディネーターに任せており、事前の取り決めで少額であれば賄賂を渡すことも容認。ところが、彼はなかなか賄賂を渡そうとしませんでした。

「真意を確認したわけじゃないですが、賄賂の支払いを抑えられたら自分の報酬が増えると思ったのかもしれません。最終的には賄賂を渡すことになったのですが、ドヤ顔で『最初100ドルと言ってきたが、20ドルにまけさせた』って。ただ、地元の人は簡単なチェックで通過できるのに、こっちは日本人の私がいたせいか20分近く足止めを食らうし、あれはさすがに参りました(苦笑)」

◆日本製のボールペンが賄賂代わりに

 だが、ここで効果を発揮したのは日本製のボールペン。現地でのバラマキ用にあらかじめ準備していたもので、賄賂を求められたらそれを渡すように指示。すると、次の検問からはほとんど待たされずに通れるようになったとか。

「仕事関係の方に配ろうと思ったもので1本1000円くらいするちょっと見栄えのいいやつでした。それをコーディネーターが『1本100ドルの日本製高級ボールペン』と話を盛りまくって渡していました。相手は喜んでいたからよかったですが、私は小心者なのでハッタリがバレたらどうしようって気が気じゃなかったですけどね」

 それでもこのハードすぎる出張が自身にとって大きな経験になったのは事実。しかし、当の本人は「役人や警官が賄賂をせびってくる国にはもう行きたくない」とうんざりした様子で話します。

「早くコロナは沈静化してほしいけど、そうなれば今はストップしているアフリカなど途上国への出張も再開されます。そう思うと素直に喜べないので複雑ですが……」

 20代で海外出張なんていかにも勝ち組っぽく見えますが、彼のような苦労を味わっている人も少なくないのかもしれませんね。

<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中

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