商社を辞めて海外に出た私が見つけた「年収600万円、ムリしない働き方」

bizSPA!フレッシュ / 2021年3月2日 8時46分

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海外でサイに遭遇したことも

 あなたはどんな時に「自分らしさ」を感じますか。新型コロナで制限された生活の中で、自分らしい生き方が分からなくなってしまった人、興味あることを見つけづらくなってしまった人も多いのではないでしょうか。

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小林エリナさん

 今回話を聞いたのは「まずはやってみる精神」で特殊なキャリアを積み重ね、キャリアアップ転職を成功させた小林エリナさん(28歳)。「やりたいことをやってみる」ことを、仕事に結びつける方法を聞きました

◆専門商社を退職して海外旅へ

 地方国立大の工学部を卒業し、現在2社目のIT企業で人事として働いている小林さん。実は、周りからびっくりされるキャリアを持っているといいます。

「大学卒業後、専門商社に入社しました。情報系の工学部だったので、周りは理系メーカーやIT企業に就職する人が多かったけど、海外で働けたらかっこいいなと思って。人事部の配属だったので、海外で働く夢はあっけなく消えましたが……。ただ、人事として人と向き合うことも、思った以上に自分に向いていました」

 しかし、4年務めて1社目を退職。その後、野望を叶えるため、ニート状態で半年間、海外を放浪したそうです。

「アジア〜中東〜アフリカというルートで24か国。イラストが得意だったので、iPadと絵の具で描き溜めて、SNSで発信していたら、描く仕事を細々と受注できるようになったんです。帰国してからは複業イラストレーターとして活動するようになりました」

◆「自分らしくいられる環境」には貪欲

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北海道で育てていた牛

「帰国してすぐに就職するのもなんだかなあと、ずっと興味があった酪農を体験するために数か月、北海道で牛を育てて過ごしました。現在は再就職して、IT企業の人事職でも働いています」

 工学部を卒業して商社入社、そして地球ぶらり旅、帰国して酪農……関連性がないように見える経歴に意表を突かれます。

「1社目もすごくいい会社だったんですけど、会社員として働くなかで、自分の信念を曲げなきゃいけない場面にぶつかることもあって。いつからか、会社員なら誰でもぶち当たるような、ささいな不条理が目につくようになっていました。

 もやもやを抱えながら、“同じ時間に、同じ場所に向かう日々”に、生きている価値が見出せなくなってしまったんです。採用担当者として、学生から『仕事は楽しいですか?』『将来の夢は何ですか?』と聞かれるたびに、昔は胸を張って言えていたはずの言葉が出なくなって」

◆「サラリーマンに向いていないかも」

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酪農生活のワンシーン

 周りには、苦手な相手でも上手に根回しできたり、おべっかを使えたりする人もいたけれど、小林さんは「自分はハートでぶつかってしまうタイプ」だと語ります。

「商社では年次も重要視されるので、新卒の自分の言葉は上層に届かない。でも裏を返せば、自分の実力が足りていないということなんだなと思って。それなら、一度離れて実力をつけてから、『また戻ってきてほしい』と言ってもらえるように、がんばろうと思いました。自分らしくいることを何より大事にするためにもそうしました」

 そもそも、「うるさい上司が一人いるくらいで、こんなにも仕事に対するモチベーションが下がっちゃうなんて、サラリーマンに向いていないかも」と考えたといいます。

「高校の時からイラストを描くのが好きで、芸大に行こうか悩んだこともあったし、フリーランスで芸術の仕事をすることにも憧れがありました。まずは自分の気になることを全部やってみようと、数年間ニートになることを決意しました」

◆やってみて分かった「夢の叶え方」

 学生の頃に憧れた「海外での暮らし」と「イラストで生活する」という夢を、一時的に疑似体験した小林さん。しかし、どちらも本業に繋げることはなく、再就職。その理由はなんだったのでしょうか。

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海外でサイに遭遇したことも

「海外での暮らしは素敵だった反面、自分の本拠地は日本だと再確認できたんです。イラストレーターの仕事をもらえて嬉しかったけれど、いざフリーランスとしてやってみると、誰にも頼れず、1人でやることに孤独感を覚える自分もいた。結局やってみたら、どっちも本業にするほど向いてないかもと思えたんですよね」
 
 小林さんには、酪農、海外、イラスト……と、“ちょっと興味ある”ことがたくさんありましたが、体験してみたからこそ、仕事にするほどではないとわかったのでしょう。

「やってみたら本業にはできない、向いてないこともたくさんあった。やりたいことを仕事にすることだけが自己実現の方法ではないと、身をもって実感しました。私には、自由な時間を持ちやすい企業に就職して、アフターファイブに趣味として楽しむほうが向いているかも…と、再就職を決意しました」

◆年600万円以上は稼がなくていい

 現在は、東京の会社に勤めながら、住んでいるのは地元の茨城県です。

「やりたいことはたくさんありました。でも、適性がわかっている仕事を選んだほうが時間を無駄にしないで済むと思い、2社目でも人事職を志望しました。IT企業を選んだのも、リモートで働きやすかったり、服装をかっちりする必要がなかったりと、カジュアルだからです。

 今はフルリモートで働いているので、茨城県で実家暮らしをしています。落ち着いた環境のなかで、自分の好きなことに時間を使っているので毎日が楽しい。趣味のマンガをたくさん読んだり、気になる資格の勉強をしたり……。もちろん、イラストの仕事も続けています」

 物価が安い地元で、光熱費もかからない実家暮らしは、「やっぱり金銭的な余裕を持ちやすい」と痛感するそう。

「当たり前ですが、心置きなく趣味にお金を使えます。2社目ではなんだかんだ年収も上がって、今は600万円くらい稼いでいます。でも、これ以上、稼ぐには、より忙しく働くことになると思うので、今くらいの年収で固定費がかからない場所で暮らすことが、自分には向いている気がしています」

◆人事として、働く若者に伝えたいこと

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 人事として働いている小林さんは、これから就職する学生や若いビジネスパーソンに、伝えたいことがあるのだそう。

「新卒の採用面接の時によく思うことなんですけど、自己PRを話す時、ストーリーの奇抜さって別に重要じゃないんですよ。どんなに小さなことでもいいから、その出来事であなたが何を考えたのかが知りたいんです。サークル長もバイトリーダーもしてなくて大丈夫だし、“〇〇してた”は重要じゃないんです。

 私は自分がやりたいことを実現させるために海外や北海道に行ったけど、行くことは誰でもできる。そこで多くのことを感じて、その熱意が伝わったことが、キャリアアップ転職できたきっかけだったと思います」

 2022年卒の就活生は、リモート面接、オンライン説明会の可能性が高く、企業への自己アピールが難しくなると予想されます。

「奇抜なエピソードを“盛る”と、企業はあなたらしさを見抜きづらくなります。2021年以降の就活は、自主的な業界研究と、自己分析が大切になると思います。オンラインだからこそ気軽にできることもあるので、自分のペースで挑戦を続けて、自分らしく生きていける企業とマッチングするために頑張ってほしいです」

 やってみたいことが見つからないうちは、まず行動してみることが大切。コロナ禍ではできることの幅は狭まっていますが、試行錯誤してみてもいいかもしれません。

<取材・文/ミクニシオリ 写真/小林エリカ>

【ミクニシオリ】

1992年生まれ・フリーライター。広告業界で絵に書いたような体育会系営業を経験後、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を中心に寄稿。Twitterでは恋愛・人生相談にも回答していま Twitter:@oohrin

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