1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

経済効果300億円の人気アニメ「おそ松さん」ヒットの理由。監督と構成作家が語る

bizSPA!フレッシュ / 2021年3月22日 18時45分

写真

©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

 伝説的なギャグマンガ家・赤塚不二夫の生誕80周年記念作品として放送されたTVアニメ『おそ松さん』。伝説に恥じることのない衝撃的なギャグが話題を呼び、Blu-ray&DVD第1巻は合計約12万枚を売り上げたほか、各種タイアップや関連グッズも盛り上がり、その市場規模は300億円とも言われる

おそ松さん

監督の藤田陽一氏(左)とシリーズ構成の松原秀氏

 その後、テレビアニメの第2期に劇場版『えいがのおそ松さん』(’19年)の公開と人気爆発。現在放映中の第3期について、監督の藤田陽一氏シリーズ構成の松原秀氏に話をうかがった。

◆シナリオは常に“新ネタ作り”の感覚!?

――今期はコロナ禍でアニメ業界的にも大変な時期に製作が始まったのでは、と思います。世間の常識や、表現に対するアリ・ナシといった感覚もこの一年でガラッと変わり、新キャラAIロボットの「オムスビ」はそういった社会のルールに切り込んでいるようにも感じましたが、お話を作るにあたり気をつけられたことはありますか?

藤田陽一(以下、藤田):特別にコロナだから話し合ったといったことはなかったと思います。ただ、年々そういうルールは厳しくなっていると感じているので、ネタによってバランスは気をつけていますね。

松原秀(以下、松原):シナリオは優先順位をつけながら作っていて、『おそ松さん』の場合、まずは「ネタ」や「コント」を優先しています。自分がお笑い畑出身だからというのもあるんですが、常に「新ネタ作り」の感覚なんです。

 オムスビで言うと、最初に新キャラでロボットでAIという縦軸の紹介を1クール目でやっつけようとネタを作っていました。“今の流行りに焦点を当てる”みたいな部分については、観る人によって捉え方は本当にそれぞれなので「2番目とか3番目とかに拾ってもらえればいいや」くらいのあんばいでしたね。

藤田:見え方によってはそう見えるかもしれないくらいのバランスで、特別に主張しているわけではないけれど、「今」をベースにしている分、人によって切り取るところが違うのかもしれないです。

◆「神宮球場で野球を見ながらネタ出し(笑)」

おそ松さん

――ネタ作りでは、引っ張る役、ブレーキ役などに分かれているんですか?

松原:どちらが引っ張るとかはないですね。持ち寄って「これ使えるから広げてみよう」って感じで。前は神宮球場で野球を見ながらよくネタ出ししてました(笑)。ちょっと特殊なネタ出しかもしれないんですが、阪神がどうの、ヤクルトがどうのと全然違う話しながら、急に「じゃあ、トド松が……」って会議が始まるんです。

藤田:確かに。ずっと考えてはいるんですが、そればっかりだと煮詰まるので、そういうほうがやりやすいんですけどね。違う視点も生まれますし。

松原:でも、はたから見たらいつ会議が始まっているのかわからないので、「早く会議始めてくれませんかね」って空気がどんどん醸し出されて。

◆女性人気は予想外。“生っぽさ”がウケた?

藤田:その点、今期はストイックでしたよー。

松原:なるべく毎回環境を変えていただけないかプロデューサーにはお願いしていましたが、ずっと会議室でしたからね(笑)。

――『おそ松さん』といえば、女性人気が凄まじいですが、女性に受け入れられている理由はなんでしょうか?

松原:絵がかわいい。これはあると思います。あとは、たまたまじゃないですかね(笑)。

藤田:理由はわかんないですね。もともと赤塚さんのキャラクターはポップでアイコン的ですけど、さっきと一緒で「あそこが楽しかった」「キュンキュンした」「腹が立った」と視聴者の観る角度は本当にバラバラなので。男のコが売れるアニメはもっとキラキラしたイメージがあったけど、生っぽさが受け入れられたんですかね?

松原:そうだったら嬉しいですね。それこそ1期の頃、F6という6つ子のイケメンバージョンのほうをやったとき、「こっちのほうが人気出たらどうしよう」と思ったんですが、当時からアニメに詳しいスタッフは「そうならないと思いますよ」と言ってましたし。

◆気軽に観てもらえる作品を意識している

おそ松さん

――松原さんが『週刊SPA!』(2016年4月5日号)の「エッジな人々」にご登場された際、「サイレントマジョリティを大事にしよう」と藤田監督はよく口にされているとのお話がありましたが、3期でもその点は意識されましたか?

藤田:サイレントマジョリティを意識するというよりは、コアなファンの人たちだけに向けて作品を作ると、作品やギャグの幅がおそらく非常に狭まってしまう。キャラ人気だけになってしまうのは、赤塚不二夫という冠を背負っている限り避けたいという意識ですね。

 深夜適当にテレビつけて「今週は面白かった」「今回は合わなかった」って観られるようなアニメは少ないので、途中からでも気軽に観てもらえるような、そういう作品があってもいいんじゃないの、というのは常々意識しているところではあります。

松原:「そういう作品があってもいいんじゃない?」は『おそ松さん』を作る上で結構大きいですね。「こんなタイトルがいいでしょ」「こんなネタがあってもいいんじゃないかな」とかいつも頭に置きながら作っています。

おそ松さん

◆『おそ松さん』のココを観ろ!3選

【14話「キラキラファントムストリーム」】
三男のチョロ松がキラキラしようと試みるエピソード。「『人がうらやましいけど、努力はなしでうまくやりてぇ』という皆がもっている気持ちをよく表現できたと思います」(藤田)

おそ松さん

©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

【15話「コスプレ松」】
さまざまな職業になった6つ子たちのショートショート。「7話と合わせて『おそ松さん』要素が詰まった入り口に最適な回かな。これを観てダメだったら我々は戦えません(笑)」(松原)

おそ松さん

©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

【22話「やりたい刑事」】
伝説の刑事ドラマをリスペクトした22話。「『誰向けなんだ』という作品なんですが、『おそ松さん』だからこそできる、作品なんじゃないかなと思います」(松原)

おそ松さん

©赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

<取材・文/久保内信行 撮影/恵原祐二>

【藤田陽一】
1978年、兵庫県生まれ。アニメーションの演出家、監督。’01年にサンライズに入社し、制作進行、演出助手を経て『陰陽大戦記』で演出デビュー。現在はフリーに。松原とともに『銀魂』にも関わる

【松原 秀】
1981年、滋賀県生まれ。脚本家、放送作家。『ナインティナインのオールナイトニッポン』のハガキ職人として頭角を現し、放送作家に。過去の担当番組構成に『エンタの神様』などがある

【週刊SPA!編集部】

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング