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体操日本代表、23歳・内山由綺がコロナ禍で知った「新しいスポーツ支援の文化」

bizSPA!フレッシュ / 2021年4月17日 8時47分

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体操日本代表、23歳・内山由綺がコロナ禍で知った「新しいスポーツ支援の文化」

 長引くコロナ禍の影響で1年延期となった東京オリンピック。開催の可否はまだはっきりとしていないが、日本オリンピック委員会(JOC)の公式スケジュールによれば、開会式は7月23日に新設されたオリンピックスタジアムで行われる予定だ。

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内山由綺選手。インタビューはオンラインで行われた

 そうした中、2016年のリオオリンピックに出場し、体操女子団体で4位入賞を果たした内山由綺選手(23歳・@aae847c5cb9540d)がいる。内山選手は特定のクラブチームに所属はせず、母親と二人三脚で険しい体操人生を歩んできた。

 反抗期は体操を巡って衝突もあったという親子関係から、意外な趣味のことまで。そしてアスリートを応援する新たなギフティングサービスに参加したこと。さらに東京オリンピックに賭ける熱い想いを語ってもらった。

◆本格的に体操を始めたのは6歳

――内山選手が体操競技を始めたきっかけを教えてください。

内山由綺(以下、内山):私がまだ幼少のころ、すでに体操コーチとして活動していた母(内山玲子さん)に、体操の練習場がある体育館へ連れて行かれることがよくありました。

 そこで練習風景を眺めていたら、トランポリンがすごく楽しそうに見えて。あれで遊びたいから使わせてと母にお願いしたのですが、「体操選手しか使っちゃダメ!」と言われました(笑)。

 だったら私も、あの面白そうなトランポリンを自由に使える体操の選手になりたいと思うようになって。それで6歳から本格的に体操を始めました。

――子ども心に刺さったトランポリンが体操の道につながったのですね。

内山:母はコーチの他に体操の国際審判もやっていました。その関係もあって、私が体操選手を目指すようになってから、プロのアスリートやオリンピックに出場経験のある選手のみなさんと触れ合う機会に恵まれたと思います。

 まだ子どもでしたが、そうした一流の方々からたくさんの良い刺激をいただけました。おかげさまで、体操選手としての将来に不安を感じたことはほとんどありません。むしろポジティブというか「私なら大丈夫!」という気持ちのほうが強かったです。

◆体操で築き上げた親子の絆

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©wasedasports.com

――現在は母親の内山玲子さんと、二人三脚で練習されているとお聞きしました。

内山:そうです。ただ、早稲田大学への進学を機に、一旦は母の元を離れて練習環境を変えてみようと思っていました。それで、ずっとお世話になっていた体操クラブの菅原寛先生(戸田市スポーツセンターコーチ)に相談したのですが、私が母と離れることに賛成しないと言われて。

 実は菅原寛先生も親子で体操競技を教えていて、自分のお子さんである菅原リサ選手をアトランタ五輪日本代表選手にまで育て上げた方でした。

 先生は、他のクラブでやれば単純に強くはなれるかもしれないけど、これまで体操で築き上げた親子の絆も大事。もし少しでも迷いがあるなら、最後までお母さんといっしょに練習したほうがいいとおっしゃいました。

 それとこの先、インターカレッジ(全日本学生体操競技選手権大会)や、東京オリンピックで母と二人三脚の努力が結実すれば、その喜びは何ものにも代え難いことだと。実際にインカレ女子2部で個人総合4連覇を達成できたのは、母との練習の賜物だと思いますし、喜ぶ母の姿を見ていると師事を仰いで本当に良かったと思いました。

◆練習から逃げようとした反抗期も

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――なるほど。とても奥の深いアドバイスでしたね。それでお母さんと体操の練習をすることで、どのようなメリットがありましたか。

内山:やはり母には、これまでの豊富な人脈と経験があるので、クラブや所属などに限定されることなく、さまざまな体操の技術をたくさん学ぶことができました。

 というのも、普段はお互い協力しあう関係にあるクラブチームですが、団体戦のような試合になれば一転してライバル関係となります。すべてのクラブと先生方には独自の技術やノウハウがあるので、そうしたものをライバルになるかもしれない相手にオープンすることはまずありません。

 私は個人でやっている選手なので、他のクラブのコーチの人であっても、ありがたいことにしがらみなく技術を教えてもらえたりすることもありました。

――体操のことで親子間の衝突というか、ギクシャクした時期はありました?

内山:私が反抗期のときなんかは、もうしんどくなって体操の練習から逃げようとしていました。それを知った母が体育館の壁のちょっとした隙間に隠れて、帰ろうとする私のことを待ち伏せしていたりとか(笑)。

 それこそ殴り合いのケンカになったこともありますし。あの当時は結構やり合ってます。もちろん今はとても良好な親子関係ですけど。

◆SNSには他人を元気づける力が

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※画像は「Unlim 内山由綺」ページより

――コロナ禍の今、ファンがアスリートフラッグ財団を通じて、選手やチームに応援という名の寄付を贈ることができる アスリート専門のスポーツギフティングサービス「Unlim(アンリム)」に、最近になって参加したそうですね。

内山:リオオリンピックで団体戦のチームメイトだった宮川紗江選手が、アンリムさんに参加しているのは知っていました。

 それまで、Twitterを通じてファンの方から「内山さんのことを応援したいけど、どうやっていいかわかりません」というDMを寄せられることがあって。だから初めてそうした新しいカタチの応援サービスがあると聞いたときは、時代にマッチしているというか、すごくいいアイデアだなと思いました。

 実は高校生くらいまで「SNSは怖い」という認識が私の中にあって。でも始めてみたら、人を元気にしたり、勇気づけたりするきっかけを与える力がSNSにはあると感じました。今は8年くらいお世話になっているスポンサーさんが1社だけ付いていただいていますが、コロナ禍の影響でそれ以外の収入はありません。

 でもアンリムさんに参加してから、応援してくれるファンの方々がTwitterにたくさん「いいね」をしていただけて。とても元気づけられました。コロナ収束後に、この画期的なギフティングサービスを通じて、多くのスポーツ選手を直接支える文化が世の中に広まれば、とても喜ばしいことですし、私は体操競技でしっかり恩返しをしたいと思っています。

――現在、スポーツギフティングサービスを通して、今後、さらに実現していきたいこととはどんなことでしょうか?

内山:日々練習に励んでいる中で、ギフティングサービスでの資金では環境設備に活用させていただきます。いつも応援してくださるファンの方々に、これからも皆様に心奮わせる演技をできるように頑張ります!

◆何度も見てしまうお笑い芸人の動画は…

――まだ若いのに頼もしい限りです。国内外の選手でライバル的な存在はいますか。

内山:うーん。ライバルというのはあまり意識していません。というか私、小柄な選手が多い女子体操の世界で身長が163cmと大きいんです。はっきり言っちゃうと巨人の部類です(笑)。体操は小回りの効く小柄な人のほうが有利と言われていて、大きい人は不利という定説があるのですが、それを覆したい。この背丈でも他の選手には負けたくないという気持ちはあります。

――今は自宅で過ごすことも多いと思います。体操以外でなにか趣味のようなものは?

内山:お笑いが大好きです。気に入った芸人さんのネタは全部見るようにしています。いろいろメディアで騒がれたこともありましたが、少し前までアンジャッシュさんのネタがお気に入りでした(笑)。

 他にはNON STYLEさんとかぺこぱさん、かまいたちさんも好き。あとジャルジャルさんのコントで「仕上げにオールバックする美容師の1日」っていう動画がYouTubeにあって。もうおもしろくて何度も見ちゃっています(笑)。

◆気持ちがブレることはありません

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――お笑いフリークの領域ですね(笑)。1年延期となった東京オリンピックが7月23日に開催予定です。内山選手の意気込みを聞かせてください。

内山:母をはじめ、本当にたくさんの方々に支えてもらいながら、この体操という競技をやらせてもらっています。前回のリオオリンピックのときは、開催の2カ月くらい前から緊張で吐き気が収まらないほどでした。

 あの大舞台に出場する選手は、誰もがそれくらいのプレッシャーを感じていると思います。私は幸い直前になって冷静さを取り戻せましたけど。リオで得られた経験を生かして、東京オリンピックではしっかりと結果を出したいです。そして、お世話になっている方々に恩返しをしたい。

 万が一、開催されなくても、今年は全日本体操個人総合選手権とNHK杯体操の種目別があります。体操選手である私がやるべきことに変わりはないですし、何があっても気持ちがブレることはありません。

<取材・文/永田明輝>

【内山由綺】
1998年東京都生まれ。幼少期より母の影響で体操を始める。2016年、リオデジャネイロ五輪で48年ぶりの快挙となる体操女子団体総合4位入賞。2019年、全日本学生選手権大会2部個人総合優勝。twitter:@aae847c5cb9540d

【永田明輝】

気候変動が進む地球の環境問題どうにかして。そんな雑食系ライター

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