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コロナ就活で面接官はどこを見ている?“ガクチカ”問題の本質/常見陽平

bizSPA!フレッシュ / 2021年7月14日 8時46分

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コロナ就活で面接官はどこを見ている?“ガクチカ”問題の本質/常見陽平

 コロナ禍は大卒者の就活にも影響を与えた。変化してきたのは、就活全体の流れと手段だ。2021年卒はオンライン化を急務とされた企業が手探りを続けてきたが、今年は改善され、会社説明会や面接でオンラインとリアルを組み合わせる形が浸透してきた。

 ただ、課題も浮き彫りになってきた。学生が企業へどのように自分自身の能力・資質をアピールするべきか。外出自粛などの影響が、就活の現場にも生じている

オンライン 面接

画像はイメージです(以下同じ)

◆コロナ禍で変化しつつある就活

 筆者は、千葉商科大学で教鞭をとりながら、学部のキャリア委員長も担当している。学生の進路をどう応援するか。大学全体を通して、学生たちの強みを活かし、どの業界や企業に卒業生を送り込むか、就活についての施策を大学側と連携しながら考えている。

 就活生と向き合う機会も多いのだが、コロナ禍になってからは就活に迷う学生も増えてきた。

 理由のひとつは、必ずしもキャンパスに来なくなったので他の学生の動きが見えづらくなったからだ。これまでは、金髪の学生が黒髪に戻し、リクルートスーツを着る様子などをみて「そろそろ就活の時期か」と実感した。一緒に走っている仲間がいた。この体験を、この1年で学生たちは味わいづらくなってしまった。

 一方で、彼らの就活の情報収集方法にも変化が生まれてきている。就活系YouTuberの動画を参考にする学生がいたり、ツイッターなどで就活系アカウントを積極的に閲覧する学生などもいるが、ここ最近では、インターンシップがサークル化してきた。実際、同じ大学に通う学生たちと交流しづらくなったために、企業のインターンシップで就活の仲間を見つける学生たちも少なくない。

◆筆者と知り合うために参加する学生も

インターンイメージ

 閑話休題。じつは、この「bizSPA!フレッシュ」の運営元である扶桑社のインターンシップにも思い出がある。扶桑社のインターンシップはメディア業界への登竜門と位置づけられていて、過去には筆者も何度も講師として登壇した。

 いわゆるワンデーインターンシップで、セミナーに近い形式ではあったが、扶桑社の現役社員による企画ワークショップや、ここだけの話を連発する私の講演などで構成され、毎回、百数十名の学生たちが参加してくれて、参加者が扶桑社をはじめあらゆる出版社の内定を勝ち取っていた

 過去には「常見さんと知り合いたいから参加したかったんです」と話しかけてくれた学生もいて、面白かった。

◆いわゆる“ガクチカ”問題の本質

 就活のオンライン化が進み、企業側も学生たちも“移動”の手間が省けたことで可能性が広がった。しかし、メリットばかりではない。学生たちが“個性”を出しづらくなったと感じているのは顕著な変化だ。

 目立つのは「学生時代に力を入れたこと」、すなわち“ガクチカ”の問題だ。コロナ禍の影響で、彼らの大学生活が画一化されつつある。外出自粛や移動の制限により、サークルをはじめ、さまざまな体験をしづらくなってしまった

 ただ、この問題については誤解がある。筆者も過去に企業で面接を担当したことがあるが、実際に面接官が見ているのは「何をやったのか」よりも物事に対して、「どう取り組んだのか」という姿勢だ

◆ネット上では白黒をつけたがる論調もあるが…

履歴書 就活

 例えば、こうしたメディア関係の会社で「アルバイトをしていた」と、経験をアピールする学生もいる。しかし、たまたまOB・OGとのツテで入り込んだならば「自分から何もやってないよね」と面接官は評価するし、彼らが真に知りたいのは「どんな仕事をしていたのか」「何を大切にしていたのか」「困難をどう乗り越えたのか」などであり、取り組み方などをみている。

 また、珍しいとされるエピソードでいえば「サークルを立ち上げた」といった話もよく聞く。ただ、これについても「新しいく何かを起こした」という点においては評価されても、見方によっては「OB・OGのしがらみもないし、かえって楽だよね」と指摘することもできる。

 就活に対するネット上の論調では「この体験は◯で、この体験は×だ」と白黒付けるようなものも目立つ。ただ、企業側があくまでも見たいのは、個人の価値観や行動特性、思考回路だ

 つまり、「何をやった」かだけでなく「どうやったか」「誰とやったか」「何を大切にしたか」である。それされふまえれば、オンライン化した時代の経験であっても、他の学生たちとの差別化は十分に可能だ。

◆企業側は学生に完璧を求めてはいけない

マスコミ就活に向いていない人の戦い方

 コロナ禍では、学生を採りたい企業が新卒エージェントに頼る機会も増えてきた。

 新卒エージェントは、企業側に代わって素質ある学生を見出して人材を提案する立場だが、面接が苦手な学生と隠れた優良企業をマッチングするなどのメリットもある。しかし、リクルートサイトと異なるのは、彼らが紹介料で儲けている点で、そのため学生に「早く決めろ」と執拗に迫るケースもある

 今後、就活自体の意義が変わってくるのも考えられる。働き方において、いまだに同じ会社で長く勤めたいという人がいる一方で、あくまで「最初の1社」として捉える若者もいる。

 新卒の1年目でも、年収が初年度から1000万円を超えることもありうるという企業も現れている。いかにも即戦力を求める動きのように見えてしまうが、若者に完璧であることを求めてもいけない。未経験、未完成の若者の可能性にかけるという、新卒一括採用の特徴は大事にしたい。

 社会が急激に変化している今。試されているのは、就活生ばかりではない。企業側もまた、未来の人材に対する意識を変化させる必要があるのだ。

<TEXT/千葉商科大学国際教養学部准教授 常見陽平>

【常見陽平】

働き方評論家。千葉商科大学国際教養学部准教授。1974年、北海道札幌市生まれ。一橋大学商学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。『社畜上等!――会社で楽しく生きるには』など著書多数 ■Twitter:@yoheitsunemi

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