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フード配達員の“つまみ食い”、米国で問題になっている驚きの実態とは

bizSPA!フレッシュ / 2021年7月24日 8時46分

写真

フード配達員の“つまみ食い”、米国で問題になっている驚きの実態とは

 コロナ禍でなかなか外食できない状況でも、「レストランの美味しい料理が食べたい」と望む人は多い。米国では、週に少なくとも2~3回外食している人が56%、毎日外食している人は6%いる(ホスピタリティソリューション提供会社「Fourth(フォース)」が2019年に1000人へ調査)。

ステーキ

※画像はイメージです(以下同じ)

 特にミレニアル世代(20代後半~30代後半)の男性は、ほとんど毎日のように外食やテイクアウトの料理で食事を済ませている。現在、米国ではワクチン接種が順調に進んでおり、レストランの営業もほぼ通常通りに戻っているが、数か月前まではレストランが閉まっていたり、テイクアウトやデリバリーサービスに限定したりするレストランがほとんどで、外食することが難しかった。

 そんななか、「レストランの美味しい料理が食べたい」という望みを叶えてくれているのがフードデリバリーサービスの配達員だ。フード配達員はコロナ感染の危険を冒して、自転車やバイクや車でレストランの料理を客たちの自宅へ届けてくれる。天使のような存在だ。

◆2019年の調査では、フード配達員の28%がつまみ食い

 だが、この「天使」たちの4人に1人が「悪魔」かもしれない。「食べ物の恨みは怖ろしい」のだ。自分が注文したフレンチフライ(フライドポテト)の量がいつもより少なくて「配達員につまみ食いされたかもしれない」と思ったら、30%の確率でその直感は当たっている。

 一昨年2019年の夏、米国内で激震が走った。「フード配達員の4人に1人は客が注文した料理をつまみ食いしたことがある」というニュースが全米を駆け巡り、フード配達員が客へ料理を配達中にその料理をつまみ食いしている様子を捉えた動画がテレビやネットで次々と暴露されたのだ。

 このニュースの発信源は、米国の大手食品卸売会「US Foods(ユーエス・フーズ)」のアンケート調査だ。

 同社が大手デリバリーアプリで人気の「UberEats(ウーバーイーツ)」「Grubhub(グラブハブ)」「DoorDash(ドアダッシュ)」「Postmates(ポストメイツ)」のいずれかで働いたことのあるフード配達員497人(21~63歳。中央値は30歳)とフードデリバリーサービスを利用した客の1518人(18~77歳。中央値は31歳)にアンケートを実施(2019年5月9日~13日)したところ、フード配達員の28%が「配達中に客の料理をつまみ食いしたことがある」と回答したことが判明したのだ。

 ちなみに、同アンケートに回答したフード配達員の54%は、「自分が配達している料理のにおいに誘惑されたことはあるが、つまみ食いはしていない」と答えている。アンケートに答えた客は「2つのフードデリバリーサービスを利用し、月に3回、料理を注文する」というのが平均。その客のうち21%は「フード配達員がつまみ食いしたと思ったことがある」と回答している

◆「お腹が空いていたんだ」と配達員

食事

 自己主張がはっきりしているアメリカ人(米国に住んでいるさまざまな国籍の人たちも含む)。日本の「お客様は神様」という過剰なサービス精神に慣れていると、客に対等に意見を言うアメリカ人には驚くことがある。

 フード配達員も然りだ。自宅に設置した防犯カメラで配達員のつまみ食いを見ていた客が面と向かってその配達員にクレームすると、「お腹が空いていたんだ」と開き直ったというエピソードもある

 このつまみ食いの決定的な瞬間を捉えた映像が、テレビニュース番組で報道された。このエピソードは、まさにコロナ禍の昨夏(2020年7月29日テキサス州オースティンにて)に起きた。

 ウーバーイーツのフード配達員は、配達中に客のバファロチキンウイングの袋に何度も手を入れて食べている。客は防犯カメラでこの様子を見ていたため、つまみ食いされた料理の受け取りを拒否し、ウーバーイーツから料理の代金を返金してもらったという。

◆「客のドリンクはよく飲んでいるよ」と告白する配達員も

 カリフォルニア州ロサンゼルスでも、隠しカメラで複数のフード配達員がつまみ食いをしている様子を撮影し、つまみ食いしたフード配達員2人に直撃インタビューをした映像が2019年10月31日にテレビニュース番組で報道された。

 テレビのレポーターがフレンチフライ(フライドポテト)をつまみ食いしたフード配達員たち2人に、「さっき、客のフレンチフライを食べていただろう」と追及しても、「食べていない」と配達員たちは答え、「証拠のビデオ映像がある」とレポーターが彼らに伝えても、「食べていない」と配達員たちは言い張りながら去って行った

 番組の覆面インタビューでは、フード配達員の1人が「客のドリンクはよく飲んでいるよ」「フレンチフライ(フライドポテト)もよくつまみ食いする。1、2本だったら大したことないでしょ」と告白している。

 ロサンゼルスでは、車で配達するフード配達員が多いため、人目に触れず車の中でこっそりつまみ食いすることが簡単にできてしまう環境があり、大きな問題となっている。

 フード配達員の不満も前出のアンケートで明らかになっている。「客のチップが少ない」(60%)、「レストランで配達する料理が出てくるのが遅い」(52%)、「客とのコミュニケーションが欠如している」(39%)などが主な不満だ。この不満がつまみ食いの原因のひとつになっているのかもしれないが、「つまみ食いは止めてほしい」と願うのは客としては当然だろう。

◆米国のフードデリバリー市場は成長

ウーバーイーツ

 コロナ禍で米国のフードデリバリーサービス市場の収益は増えている。2019年の収益は220億ドルだったが、コロナ禍の2020年の収益は265億ドルと増加(市場調査会社「IMARC」調べ)。

 米国で2019年にフードデリバリーサービスを利用した人の数は9500万人だが、2020年に利用した人は1億1100万人と増えている(市場調査会社「スタティスタ」調べ)。コロナ禍で「初めてフードデリバリーサービスを利用した」という人は数百万人というわけだ。

 今年(2021年)のフードデリバリーサービス市場の収益は280億ドルと予測されており、今後さらに成長していくだろう。そのため、「フード配達員のつまみ食い」の問題を早く解決することは必要だ。

不正開封防止シール(Tamper-Evident Label)」を料理が入った袋やパッケージに貼ることを望む客は多い。前出のアンケートに回答した客の85%がこのシールを望んでいるという。

 2020年9月10日放送のロサンゼルスのテレビニュースでは、不正開封の跡がすぐ分かるシールを貼り、さらにホチキスで袋を留めるレストランを紹介していた。

◆つまみ食いの対策はあるのか?

UberEats

 その一方で、不正開封防止シールを剥がしてつまみ食いする不届き者も登場している。そのエピソードは2021年7月13日放送のラジオ番組で紹介された。

 ファストフード「タコベル」で注文した客が、配達された袋のシールが剥がれていることに気づいたという。配達したのはドアダッシュのフード配達員。注文した「Doritos Locos Taco(ドリトス・ロコス・タコ)」1個が袋に入っていなかったのを客が確認した際、客は「店で入れ忘れたのだろう」と考えたが、ドアダッシュでは客の玄関先に配達した袋を置いた証拠にスマートフォンでその袋の写真を撮る規則があるため、配達員のつまみ食いが発覚した

 なんと、その写真に写っていた配達員の2本の指にはオレンジ色のタコスの粉が付着していたのだ。袋に入っていなかったタコスの色はまさにそのオレンジ色。「つまみ食いの証拠写真」をフード配達員は自分で残してしまったというわけだ。この客はこの証拠写真をソーシャルメディア「TikTok」に笑いながら掲載しているところがなんともユーモアあふれる米国らしい。

 朗報もある。2021年4月2日放送のロサンゼルスのテレビニュースでは、2017年に登場した配達ロボットスタートアップ「Kiwibot(キウイボット)」とフードデリバリーサービス「MealMe(ミールミー)」のビジネス提携ニュースを紹介していたが、「今後、フードデリバリーサービスはラグジュアリーなサービスではなく、必要不可欠なビジネスになっていくだろう」と「Kiwibot」のCEO(最高経営責任者)Diego Varela Prada(ディエゴ・ヴァレラ・プラダ)氏はインタビューで強調。

 ロボットによるフード配達は、つまみ食いされる可能性のある人間による配達に比べてサービス料金を50%抑えることができるという。

 コロナ禍が収束したとしても、消費者は「レストランの美味しい料理が簡単に自宅で堪能できる」ことを一度味わってしまうと、今後もフードデリバリーサービスを多用していくだろう。「フード配達員のつまみ食い」問題がさまざまな方法で解決されることを期待したい。

<TEXT/藤本庸子 Yoko Fujimoto>

【藤本庸子】

米国カリフォルニア州ロサンゼルス32年在住のフリーランスライター。雑誌「アンアン(anan)」「メンズクラブ(MEN'S CLUB)」などのライターを経て、米国へ移住。米国起業家向け雑誌トップの「Entrepreneur Magazine」にてスタッフライター、NHKラジオ第一放送「ラジオ深夜便」ワールドネットワークにてリポーターの経験も。現在、新聞、雑誌、ウエブサイト、ラジオ、テレビなど、さまざまな分野および媒体をこなす

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