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30代、最年少で上場した社長が「キャリアアップを目指す必要はない」と語るワケ

bizSPA!フレッシュ / 2021年8月26日 8時46分

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30代、最年少で上場した社長が「キャリアアップを目指す必要はない」と語るワケ

 昨年から続くコロナ禍は社会を一変させた。ステイホームやテレワークが当たり前となり、あらゆる業界の商慣習を根本から見直す動きが起きている。先が読めない社会情勢のなか、将来を担う20代の若手ビジネスパーソンは、何を指針にしてキャリアを築いていけばいいのだろうか。

リブセンス

株式会社リブセンス 代表取締役社長の村上太一氏

 19歳で起業し、わずか6年で東証一部上場を果たした株式会社リブセンスの代表取締役社長を務める村上太一氏(34歳、@m_tai1)に、起業家人生を歩んできた理由や、激動の社会のなかで求められる生き抜く術について話を聞いた。

◆小学校から起業家を目指していた

 村上氏は両祖父が経営者だったこともあり、小学生時代から起業家になると考えていたそうだ。

「両祖父が経営者で、その生き生きとした仕事ぶりを見て憧れ、物心ついたときから『将来は起業したい』と考えていました。サッカー好きの少年がプロのサッカー選手になる道を決めるのと同じような感覚です。また、幼いころから『人は何のために生きるのか』と考えたり、自分がしたことを多くの人に喜んでもらえることを、いつも嬉しく思ったりしました。

 そこから『生きる上で幸せや喜びを感じるタイミングは何なのか』『生きる意味とは幸せになること。幸せになるとは人を幸せにすること』と考えるようになり、この想いを実現するためには会社を経営することが、自身のできうる選択肢の中で、最も良いのではないかと考えるようになりました。今の社名である『リブセンス(生きる意味)』はそんな幼い頃の自分への問いかけが由来になっています」

◆アルバイト探しから得たアイデア

リブセンス

2017年にジョブセンスからマッハバイトへサービス名称を変更したという

 そんな村上氏だが、高校生の時にアルバイト探しに不便さを感じたのがきっかけで、起業のアイデアが浮かんだという。

「当時はタウンワークやanなど、求人雑誌が全盛の時代でした。私自身、アルバイトを探す際に疑問に思ったのは、求人雑誌には載っていないアルバイト情報がお店の張り紙に書かれていること。つまり、アルバイトを募集したいのに求人雑誌への掲載にはお金がかかるので、張り紙で募集している状況だったんです。ここに着目し、掲載料無料で求人を出せる仕組みを思いついたんですね」

 そのアイデアをブラッシュアップし、進学先である早稲田大学のビジネスコンテストに挑戦。見事優勝を果たしたことから、村上氏は大学1年の19歳で起業を決意し、学生起業家としての道を選んだのだ。

◆創業メンバーに給与を払えない時期も

 しかし、社会人経験のない学生ゆえに、右も左もわからない状態からのスタートだったため、ビジネスを軌道に乗せるのには苦労したと振り返る。

「これまでの常識だった掲載課金型ではなく、成功報酬型のビジネスモデルが本当に成り立つのか。そう思いながら事業をつくることに必死になっていました。半年間は創業メンバーに給与を出せないくらいのどん底でしたね。そうしてできたのが『ジョブセンス(現マッハバイト)』です。転機になったのは、アルバイトに採用された求職者に『お祝い金』という形で売上の一部を還元する制度を導入したところ、徐々に認知度が広まって先が見通せるようになったんです」

 こうして「アルバイト探しはジョブセンス」という形で世の中に浸透していったのだ。また、正社員向けへの転職サイト「ジョブセンスリンク(現転職ナビ)」を2008年から開始したことで、まさに求人サイト業界に新風を巻き起こす存在となった。

◆頑張るよりも大事なことがある

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 結果として、リブセンスは2011年に東証マザーズ市場、翌年には東証一部へ上場を果たす。史上最年少の25歳で東証一部上場を達成した村上氏は、多くのメディアから注目を集める若手経営者となった。そんな華々しい20代を過ごしてきた同氏にとって、困難や苦難を乗り越えるために意識してきたのはどんなことなのか。

実は、あまりモチベーションを意識したことはないんです。私は世の中の常識に疑問を持って、新たな事業を創ることが好きなので、苦労よりも努力を積み重ねてきたと思っています。世の中に付加価値を生み出すサービスを提供できれば、多くの人に幸せを感じてもらうきっかけになる。

 それこそ、私が夢中で仕事に没頭できる原動力になっています。頑張るとか、苦難に耐えるとかよく言いますが、自分が本当にやりたいことや好きなことであれば、歯を食いしばる必要もないんですね。ネガティブに捉えてしまうのではなく、ポジティブに考えられるものを見つけられるかが肝になってくるでしょう」

◆人生は自分次第だからこそ「気の向くままに」

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 20代の若手ビジネスパーソンが心がける点として、「自分が目指す目標を明確にしておくことが大切」だと村上氏は言う。

「人は生きている以上、何かしらのゴールに向けて日々行動しています。ただ漠然と毎日を過ごすだけでは、望んだ結果は得られないかもしれません。自分の望む結果やゴールに向かうためには、『将来をしっかりと考え、目標を決めましょう』という教科書的な答えもありますが、私は『自分がやりたいことや好きなことが何なのか、自分で分かっていることが大事』だと思います

 人生は選択の連続ですが、『自分で選んでいるのか、やらされているのか』によって、人生の捉え方に違いが出てきます。もし自分で選んだ道であれば、ゴールまでの道のりがたとえ困難でも、『苦労ではなく努力』だとポジティブに捉えられます。今やっていることの先にある、自分で決めたゴールに向かっている状態が健全だと思います」

 さらに、自分のやりたいことや好きなことの見つけ方について、次のように説明する。

「誰しも、他人より得意なことや秀でていることはあるはずです。そしてそれは、探そうと意気込んで見つかるのではなく、意外にも自分にとっては普通のことだったり、嫌にならずに長くやっていることだったりします。まだ、自分のやりたいことや好きなことが見つかっていなければ、興味関心の湧くものや知的好奇心が刺激されるものに、ぜひ積極的に触れてみてください。仕事でもプライベートでも、人生の選択権は自分にあることを胸に刻み、まずは気の向くままに色々と動いてみるのが先決だと思っています

◆情熱だけでなく、冷静さを保つ気構えも

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 自分の進む道や目標を決める上で、村上氏は「感情に左右されず、自問自答する期間を設けるのが良い」と語る。

「『やりたい!』『ワクワクする!』といった感情は瞬発的なパワーが強い一方、湧き出る情熱に寄りすぎてしまうと、ときに判断を誤る可能性もあります。熱い情熱はもとより、冷静さを保つことも大事で、一度寝かせてみて、『本当に心踊るような気持ちが続くかどうか』を確かめることが、真にやりたいことを見極める審美眼になるでしょう

 とはいえ、やりたいことがどうしても見つからない場合は、選択肢の多い道を進むことが迷子にならない鉄則だと思います」

◆必ずしもキャリアアップを目指す必要はない

 昨今はコロナ禍によって、先行き不透明な社会情勢が続いている。旧来とは一線を画す、オンライン前提のビジネス慣習が常態化しつつある状況のなか、若手ビジネスパーソンがキャリアを積んでいくために必要なことは何なのか。

「個人差はあるものの、大事なことは成し遂げたいゴールを決め、達成までの道筋を逆算することだと思います。ただ、ゴールを目指す過程で、必ず理想とのギャップが生じるわけですが、それをネガティブに捉えるのではなく、ゴールに近づくためのヒントやチャンスと捉えることで建設的な解決策が見つかる可能性が高まると思います

 それからゴールを目指す際は、努力の仕方を創意工夫することがとても大事です。また『どこの土俵でやるか、努力する対象は何か』を理解しておくことも必要です。どんなに努力しても、報われないフィールドであればいつまでも結果に恵まれないので、時には方向転換する決断も大事になってきます」

 また、コロナ禍が生じたことで、「やみくもにキャリアを積む時代」から「どう生きたいかを考える個の時代」へとシフトしてきているという

「ひと昔前なら、大企業に入って出世を目指したり、キャリアアップのためにビジネススキルを磨いたりと、比較競争のなかで生きるのが一般的でした。でも今の時代は、『そもそもキャリアを積んで東京で勝負し続ける必要があるかどうか』を一考することも何らおかしくはないと思います。地方へ移住し、自給自足しながら生計を立てる道もありますし、必ずしもキャリア武装する必要もないわけです

◆新しい「あたりまえ」を作る発想から

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2021年4月にリリースした提案型マッチングサービス「knew(ニュー)」

「一番大切なことは『何をやっているときが幸せを得られるか』であり、どう自分の人生を生きたいかに帰結します。キャリアを考える上で、まずは自分の最適な居場所を考え、幸せを感じられるような環境をつくっていくことを意識してみるといいのではないでしょうか

 これからも村上氏は、アフターコロナを見据えながら、新しい「あたりまえ」を発想し、世の中を変えていく事業を展開していくという。最後に今後の展望について聞いた。

直近では新しいマッチングアプリのあり方を提案する『knew』という新規事業を始めました。“マッチングアプリ疲れ”が叫ばれるなか、絞り込みをするような切り捨て思考の検索型ではなく、まるで親友から紹介されるような提案型のサービスになっています。既存のアプリではどうしても、行動量が多い人が成就する構図でしたが、そうではない新しい『しっくりくる出会い』を提供できるようにサービスを進化させていこうと思います」

 驚異的なスピードで会社を上場させた村上氏の考え方や仕事に対する取り組み方は、とても参考になるのではないだろうか。

<取材・文・撮影/古田島大介>

【古田島大介】

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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