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岸田文雄首相に早くも「期待はずれ」の声。10月末の衆院選が“正念場”か

bizSPA!フレッシュ / 2021年10月7日 8時46分

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岸田文雄首相に早くも「期待はずれ」の声。10月末の衆院選が“正念場”か

 10月4日に衆参両議院の首班指名を受け、正式に岸田文雄首相が誕生しました総裁選中から岸田首相は、「生まれ変わった自民党」をアピール。新総裁に就任してからも、岸田首相は「日本は民主主義の危機にある」と繰り返し口にしています。

岸田文雄

10月4日の官邸記者会見より(画像は筆者撮影、以下同じ)

 本記事では、首相官邸取材歴が10年超で、岸田文雄首相の新任会見を現場で取材したフリーランスカメラマン小川裕夫@ogawahiro)が「岸田内閣」について解説します。

◆早くも「期待はずれ」の声が上がっているが…

 新しいリーダーが誕生するたびに、私たち有権者は新しい内閣に期待を寄せ、支持率は大きく跳ね上がります。岸田内閣にも期待が寄せられることが予測されますが、党役員人事を見ると新鮮さや独自色が感じられず、早くも「期待はずれになるのでは?」という予測もSNSでは飛び交っています。

 事実、毎日新聞と社会調査研究センターが10月4、5日に実施した全国世論調査では、内閣支持率は49%と5割に届かず、昨年9月の菅義偉内閣発足時の64%を大きく下回る結果となりました。

◆安倍・菅内閣とは異なるスタンス

岸田文雄

 2012年に民主党から政権を奪還した自民党は、連立を組む公明党とともに選挙で勝利を重ねてきました。安倍一強ともいわれる時代が長く続き、後を受けた菅内閣でも安倍内閣の路線を踏襲しました。

 そうした流れの中で岸田内閣が発足したわけですが、総裁選のときから岸田首相が強調してきたのが「聞く力」です。圧倒的な人気を誇った安倍内閣、発足時に高支持率だった菅内閣は民意を得たとばかりに首相中心の政治を推し進めました。

 強引とも受け取れる政治手法は、時に頼もしくも映りますが、政権が長期にわたると弊害も生まれます。そして、その弊害は無視できるものではありません。

 一国の宰相が国民の声を無視し続ければ、国民の心が離れていくのは当然です。岸田内閣が打ち出したのは、安倍・菅内閣とは異なる、国民に寄り添う姿勢だったといえるでしょう

◆やりたいことがわかりづらいとの指摘も

岸田文雄

 しかし、党役員人事を見ると、安倍・菅内閣で活躍した議員が重職に就いています。また、閣僚人事は初入閣が13人で、一見するとフレッシュに見えます。しかし、度肝を抜くようなサプライズを感じさせる人事とまではいえません

 よくも悪くも新内閣の閣僚人事は大きな関心事です。それにもかかわらず、サプライズがないのは、今回の閣僚人事が腰掛け的な意味合いが強く感じられるからです。

 10月4日に首相官邸で開かれた新任会見で、岸田首相は新型コロナ対策を最優先で取り組むとしながらも、経済政策として自民党総裁選のときから繰り返し触れていた“新しい資本主義”の実現を強調しました。岸田首相が口にする新しい資本主義では、「令和版所得倍増計画」に取り組むことで中間層の拡大を目指すことに力を入れているようです

◆核廃絶への思い入れは強い?

 岸田首相が掲げる、ほかの政策も見ておきましょう。岸田首相の選挙区は広島1区です。言うまでもなく、広島は原爆が投下された地でもあるため、岸田首相は歴代の首相以上に核廃絶への思い入れがあるようです。新任会見でも、核廃絶に触れました。アメリカ・中国といった核保有国と、どのように対話をしていくのかが課題です

 岸田内閣の政策は、いろいろなところに手を出していて一番やりたいことが何なのかわかりづらくなっています。記者たちも同じ思いを抱いているようで、新任会見では「総花的ではないか?」という質問も飛びました。

 発足したばかり岸田内閣ですが、衆議院の任期は10月21日に満了します。任期が切れるにしろ、衆議院を解散するにしろ、いずれにしても近いうちに選挙を実施しなければならない状態でした。衆院選の結果にもよりますが、このまま順当なら選挙後に第2次岸田内閣が発足する可能性が高く、その際には再び組閣することになります。

◆現状維持でも自民党単独で過半数

 岸田首相は臨時国会で衆議院を解散することを明言。これを受け、衆議院議員選挙は10月19日に公示、31日に投開票することを会見での予定で準備が進められています

 2012年に政権を奪還して以降、自民党は選挙で圧勝を続けてきました。岸田総裁は生まれ変わった自民党を強調し、これまでの安倍・菅路線からの方向転換を示唆しています。そうした方向転換ができるか否かは、衆院選の結果にかかっていると言っても過言ではありません。岸田自民党にとって、今回の衆院選は政権の今後を占う正念場です。

 総裁選直後、岸田総裁はきたる衆院選の勝敗ラインを「自民・公明両党で過半数」と発言しています。衆議院の定数は465名。つまり、過半数は233名です。自民党の現有議席は275名ですから、現状維持でも自民党単独で過半数となります。これに連立を組む公明党の議席が加わるわけですが、公明党の現有議席は29名。岸田総裁が口にした勝敗ラインは、かなり控え目といえるかもしれません。

◆日本維新の会はどう動く?

岸田文雄

 同じく野党連合から一定の距離を置くのが、日本維新の会です。日本維新の会は与党として連立政権に加わるわけでもなく、野党と協力することもありませんでした。そうしたスタンスから、日本維新の会は与党でも野党でもない“ゆ党”と形容されてきました。

 日本維新の会は国政政党ですが、主力は大阪府の吉村洋文知事と大阪市の松井一郎市長を中心とする大阪の政治家です。これまで吉村知事・松井市長ともに安倍・菅両首相と昵懇の間柄だったこともあり、おおむね自民党といい関係を築いていました。

 他党にも目を向けてみましょう。野党第一党の立憲民主党は共産党、社民党、れいわ新選組に呼びかけて野党連合として衆院選に臨みます。もともと同じ民主党だった国民民主党は、野党連合に加わっていません。

 他方、大阪府市において維新の会と自民党は対立する関係にありました。そのため、国政の自民党と自民党大阪府連の関係がギクシャクしていていました。そうしたねじれ現象は、岸田総裁誕生時に吉村知事が否定的な意見を口にしたことから解消に向かう可能性があります。

◆都民ファーストの会は「ファーストの会」に

東京都庁

※イメージです

 とはいえ、選挙は権力闘争です。ガチンコで戦うことも考えられますが、勝つためには敵対勢力と手を握ることも珍しくありません。日本維新の会が自民党に対してどんなスタンスで臨むのかが注目されています

 もうひとつ気になる動きがあります。それが、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党の都民ファーストの会です。都民ファーストの会は31名もの都議会議員を抱える都議会第2党です。小池人気の高かった2017年10月には、小池都知事が旗揚げした希望の党で衆議院議員選挙に臨みました。しかし、結果は惨敗。

 今回の衆院選でも、その動向が注目されていました。そして、10月3日に都民ファーストの会代表を務める荒木千陽都議会議員が衆院選に候補者を送り出すこと、党名を「ファーストの会」にすることだけを発表しています

 にわかに永田町は騒がしくなってきていますが、2017年の衆院選は投票率が53.68%でした。有権者のうち、2人に1人しか投票に行っていません。政治家がどう動くのか? どう考えているのかは大事です。しかし、もっとも肝心なのは、私たち有権者の一票です。

<TEXT/フリーランスカメラマン 小川裕夫>

【小川裕夫】

フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある @ogawahiro

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