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「若者の政治離れ」という傲慢な声と“維新”の躍進。衆院選を今さら振り返る

bizSPA!フレッシュ / 2021年11月20日 8時46分

写真

写真は吉村氏の公式ツイッターより

 2021年10月31日に投開票が行われた「第49回衆議院議員選挙」。コロナ禍初の総選挙では、自民・公明の連立政権が与党としての絶対安定多数を確保した。日本維新の会が躍進し、大物政治家が相次いで落選する大きな変化も。少し時間が経ったが、衆議院選をもとに、時代の空気を読む。徒然なるままに語る。

選挙

画像はイメージです(以下同じ)

◆果たして「若者の政治離れ」は本当か?

 今回の選挙では、18~19歳の投票率が43.01%となり、前回の2017年の衆議院選における41.51%をわずかに上回った。とはいえ、必ずしも高いとはいえない。ただ、この手の話で語られる「若者の政治離れ」ではなく、むしろ「政治の若者離れ」が本来の姿ではないか

 若者が新聞はじめ伝統的なメディアとふれる機会が減っているのは事実だ。実際、彼らは有象無象の情報が並ぶスマホを情報源としている。よくSNSが若者の情報源と言うが、それも上の世代とは異なっている。

 Facebookはいまや「ネット老人会」と揶揄されていて、若者は使わない。Instagram、いやいまやTikTokが情報源だ。ただ、政党、政治家の発信方法や、掲げる政策のどれもが10代に寄り添っているわけでもなく、自分ごととして捉えられないのであれば離れていくのは必然だ。

◆「なぜ選挙に行かないのか」は議論するべき

国会議事堂

 筆者自身、大学教員として学生に政治について尋ねる機会がある。よくよく話を聞いてみると学生たちは関心がないわけではない。個別に「選択的夫婦別姓に興味はあるか?」と聞けば、それぞれ意思表示をするし、給付金のように学生をサポートしてくれるものについて聞けば「関心あります」と答えてくれる。

 1年生6人と会話していて「それ、選挙で解決できるかもよ」と伝えたところ、6人中5人が選挙に行った。行かなかった1人は不在者投票のやり方がよくわからず断念した。皆、選挙に行くことを楽しんでいた。調べてみると、面白いと

◆若者向けの政策と、それを届ける努力が必要

スマホ 若者

 若者の政治離れと大上段から言っているばかりでは、本質を見誤る。彼らが「なぜ選挙に行かないのか」は上の世代も含めて議論するべきだ。まずは自分たちの世代のことが気になるのだが、それぞれの世代の課題に応えなくては社会は壊れていくし、その問題は自分たちに振り返ってくる。

 学生たちは忙しい。いまの大学は講義の宿題も多いし、出席管理も厳しい。学生生活を続けるためにアルバイトはマストだし、通学時間が長い学生もいる。

「若者が政治離れしているぞ」と言うのはエゴだ。そして、若者向けの政策と、それを届ける努力が必要である。

◆コロナ禍で問われた「◯◯でないもの」

 今回の選挙のトピックのひとつは、野党共闘だった。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党など野党が289の小選挙区のうち約75%の217の選挙区で候補者を一本化。

 結果はどうだったか。自民党も、立憲民主党も議席を減らした。もっとも、自公の連立与党は絶対安定多数を保った。議席数の減少数は自民党も、立憲民主党もほぼ同数だったが、減少率においては、言うまでもなく、立憲民主党のほうがダメージが大きい。「敗北」の責任をとって枝野幸男氏が代表を辞任した。

 ここまではすでに、何度も報道されており、論じられているところだ。いかにも野党共闘が失敗したかのような報道が散見されるが、結果として議席は減らしたものの、接戦の選挙区が多かったのもまた事実ではある

 衆議院選は政権選択選挙である。特に今回はその色が強かった(少なくとも、共闘した野党はそうアピールしていた)。「国民が自分たちの未来を委ねるための選挙」だった。結果として、自公は絶対安定多数の議席を確保した。議席自体は減らしたのではあるが。

◆関西の友人に「維新の強さ」を聞いてみよう

大阪

 大きく議席を増やしたのは、日本維新の会だった。前回との比較で、議席数は11議席から41議席と約4倍に増え、第三党への躍進を遂げた。関西発の政党でありながら、全国的な存在感をみせた。

 日本維新の会の躍進は、関西、特に大阪と他のエリアで分けて議論しなくてはならない。大阪では地元の政党として、大阪府、大阪市などの首長を務める他、地元に根付いた活動をしていた。このあたりが、全国区には伝わりきっておらず、「なぜ、維新は強いのか?」という声が何度も上がった。

 実際、大阪府などのコロナ対応は十分だと言えるのか疑問にも思った。このあたり、もし、フランクに政治の話をできる友人が関西にいたのなら、「なぜ、維新は強いのか?」と質問してみると、温度差、肌感覚がわかるだろう

◆自民党・東京以外の何かを求める気持ち

 私が関西在住の友人たちに聞いたところ、「逆に、なんで維新以外を選ぶの?」と言われた。前述したとおり、地元に根付き、確実に改革を進めていると支持者は評価している。吉村洋文大阪府知事がコロナ対策で外野からみていると、明らかに失策だと思える部分や、例のイソジン発言など謎の言動もあったが、「吉村さんは頑張っている」と評価されるのだという。

 もっとも、関西、特に大阪では圧勝という状態だったが、地方への広がりはまだまだこれからだ。東京でも比例復活で2議席を獲得したし、投票結果で2位に食い込んだ選挙区もあったが、小選挙区では勝っていない。地方への広がりもこれからだ。とはいえ、第三党に躍進し、来年の参議院選など、今後の広がりを感じる結果となった。

 この躍進を支えていたのは、人びとの間にあった「自民党ではない何か」「東京ではない何か」へと期待する気持ちだったのではないか。メディアを通して吉村大阪府知事がコロナ対応に奮闘する姿などを見て、国の中心地・東京の政治家たちの不祥事に嫌気が差した人びとの票が集まった可能性もある。

◆「唯一の改革政党」が響いた?

吉村氏

写真は吉村氏の公式ツイッターより

 また、今回名乗りを上げていた政党の中で「唯一の改革政党」とうたっていたのも支持者に響いたのではないか。隠れファンが増えつつあった印象で、筆者の周囲でもfacebookでの投稿で、維新支持を表明する人は、関西在住者と、経営者やコンサルタントなどを中心に散見された。「自民党ではないならばどの政党を信じるか」と考えた人たちの選択肢となったのが、今回の結果に繋がったといえる。

 とはいえ、「自民党ではない何か」だけで躍進したと断じるのも雑だろう。実際、「自民党ではない何か」を主張していたのは、共闘した野党である。「利権か人権か」というキャッチフレーズや、「モリカケ」「桜」の問題、さらにはコロナ対応が十分かどうかなどをアピールした。しかし、必ずしも「自民党ではない何か」に選ばれなかった。
 
 その自民党も「共産党と組むような政党」ではない何かをアピールしていたように見える。もちろん、選挙前に総裁選が行われ、新しい顔で望んだ選挙ではあった。しかし、実績をアピールしつつも、むしろ共闘バッシングに見えてしまった

◆ベテラン議員の落選が相次ぐ

 このように「○○ではない何か」選挙だったとも言えないか。結果、「自民党ではない何か」として議席を増やしたのは日本維新の会だった

 立憲民主党の辻元清美や小沢一郎ら、ベテラン議員の落選が相次いで目立ったのも、今回の衆議院選挙では大きなトピックだった。世代交代を象徴していたが、明らかなのは「国民はきちんと見ていた」ということだ。

 自民党の幹事長を辞任した甘利明議員も比例での復活を遂げたものの、「落選運動」が行われたと自らテレビ番組などで訴えていた。幹事長という役職を得ながらも、最後は地元に張り付くという展開だった。

 先述した辻本元議員はよりひっ迫していた。個人的には、国政での答弁は評価できる印象もあった。しかし、日本維新の会が支持を獲得している大阪で戦っていたのも災いして、現実として当選には至らなかった

◆本音はDMでしか話せない

twitter

 個人的に反省したのは、「声なき声に敏感になる」「Twitterを見すぎない」ということである。最近、「Twitterを見なくなった」という声をよく周りで聞く。あまりにも殺伐としていたり、逆に内輪受けになっていないか、何か発言すると叩かれるのではないか……と。

 私は空気読まず投稿しているほうだが、それでもこの1年はむしろDMのやり取りが増えた。本音は、信頼できる友人・知人とのDMでしか話せないのである。

 一見すると、支持を集めていそうな発言は、みんなの本音とは限らない。逆に本音はますます心の中に閉じ込められる。Twitterでの盛り上がりを見ていると、人々の本音とズレてしまう。もちろん、主張することを否定しているわけではないのだが。

 改めて、国民は何に困っているのか。さまざまな人たちがいるが、ネット上の盛り上がりに流されず、冷静にみることが必要だ。

<TEXT/千葉商科大学国際教養学部准教授 常見陽平>

【常見陽平】

働き方評論家。千葉商科大学国際教養学部准教授。1974年、北海道札幌市生まれ。一橋大学商学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。『社畜上等!――会社で楽しく生きるには』など著書多数 ■Twitter:@yoheitsunemi

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