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50周年のラーメン「天下一品」。こってり誕生秘話と、意外な「あっさり注文率」を聞いた

bizSPA!フレッシュ / 2021年12月3日 8時47分

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株式会社天一食品 商事常務取締役・出路正弘氏

 昼食に夜食、飲み会のシメなど日本人にとって愛すべき国民食・ラーメン。嫌いな人は存在しないのではないかというくらい、みんな大好きだ。

天下一品

天下一品中野店外観

 強烈なインパクトの「こってりラーメン」で知られる人気ラーメンチェーン・天下一品が、2021年11月10日に50周年を迎えた。今回は天下一品中野店(東京中野区)にて、株式会社天一食品商事の常務取締役・出路(でじ)正弘氏にこれまでの苦労した点などを取材した。

◆50周年コラボスニーカーは10分で完売

天下一品

株式会社天一食品商事常務取締役・出路正弘氏

 天下一品は50周年を記念して、1杯無料券を配布するなどのイベントも行なったが、なんといってもコラボスニーカーはSNSでも話題となった。

「11月10日が天下一品の創立記念日で、その日の午前0時から170足ほど用意していたのですが、販売から10分も経たずに売り切れてしまいました」

 そう語る出路氏に、ラーメンとスニーカーという異色のコラボの経緯を聞いた。

50周年記念日のイベントのために、2020年の11月から1年かけて準備していたんです。しかし、コロナが広まってしまい、イベントが規制されるなかで何かできることはないかと、各企業様に一緒に取り組みをしませんか? と投げかけていました」

◆“鶏つながり”で面白いとふたつ返事

天下一品

デサントジャパンとのコラボスニーカー。中野店には若い夫婦が実際に履いて、ラーメンを食べに来てくれたようだ

 そんな折、デサントジャパンからスポーツブランド「le coq sportif(ルコックスポルティフ)」のことで問い合わせがあったのは、2020年11月のことだった。

「同ブランドのLCS Rシリーズが30周年を迎えるということで、担当者さんと話して、コラボスニーカーを作りたいと具体的な提案がありました。そして“鶏つながり”で面白いということになり、ふたつ返事でやりましょうとなったのです」

 そうして完成したスニーカーは、赤がどんぶり、ベージュがスープ、茶色がチャーシュー、黄土色がメンマ、緑がねぎ、靴紐は麺を表している。天下一品では現在もTOKYO SHIRTSとコラボして、15種類のネクタイなどのグッズも販売。これからもさまざまなコラボを予定しているという。

天下一品

後ろはルコックスポルティフを象徴する雄鶏が鶏がらになっている

 また、コロナ禍でも家で作って食べられる“家麺”も販売。そして天下一品から初の“カップラーメン”や“鍋スープ”も販売するなど、家でもお店の味が楽しめる試みを行っている。

◆怖い人に絡まれ、殴られた創業時代

天下一品

 CMなどでおなじみの創業者・木村勉氏(現会長)が1971年にひとりで立ち上げた天下一品。出路氏も会長から苦労話は聞いているようで、このように答えてくれた。

「創業時は会長が1人で屋台を引いていたので、そのときの苦労は会長しかわからないのですが、話を聞くと『地元の怖い人たちに絡まれたり、殴られたりすることは日常茶飯事だった』ようです。また、当時は食材を買うお金もないので、『家財道具や服など売れるものはなんでも売って食材に替えていた』と聞いています。それもあって、現在も物や人の気持ちを大切にしていますね」

 出路氏は1995年に株式会社天下一品に入社。当時は創業エリアである関西中心のラーメンチェーンだった。

「現在(2021年11月)は直営店とフランチャイズを含めて全国に230店舗ほどありますが、私が入社したときは100店舗ほどでした。東京は池尻と江古田にあり、当時から1日800人は来店がありました。今、北は秋田県から南は沖縄県まで展開していますが、木村会長の方針で300店舗になったらそれ以上増やさないようにしています

◆海外にも通用するこってりラーメン

 2018年には会長の息子、木村一仁氏が社長に就任。現在、海外はハワイのホノルル店のみだが、今後3~5年でアメリカにも出店していく予定だという。アメリカ人がこってりラーメンを味わったら驚きそうだが。

「外国の人はこってりが結構好きみたいです。ヨーロッパや東南アジアの現地の日本人からもお店をやらしてくださいとオファーがあります。自分が食べたいというのも含め、『現地の食生活を比べてもこれならいけます』という感覚を持たれています」

天下一品

こってりだからこそアメリカでも通用する

「実際に木村社長もアメリカに住んでいました。海外でもラーメン屋で成功している人もいらっしゃるので、そこでやり方さえ間違えなければ成功すると思います。そのような計画で動いています」

天下一品

中野店はじめ店舗限定のメニューもある

「今はSNSなどで情報がすぐわかる時代なので、視察しなくてもネット上で評価されたり、いろいろなことが見えたりしてきます。関西と関東では餃子の個数とか麺の量が少し変わっているのですが、そういう違いをこれから同じようにしていく動きもあります」

◆あっさりを食べる割合はなんと…

天下一品

筆者も久々にあっさりラーメンを食べたが、普通に勝負できるくらい美味しいと思った

 時代とともに人の味覚は変化するものだが、創業から50年経っても味やレシピは変えていないという天下一品。こってりラーメンばかりスポットライトが当たるが、“あっさり”も忘れてはならない。

意外かもしれませんが、3割ほどのお客様があっさりを食べられています。都心の店舗だと1人様のお客様が多いですが、郊外ならご家族で来てくださるので、お孫さんとか年配の人、子供さんはあっさりが多いです。昔はこってりを食べていたけど、最近はあっさりしたラーメンが食べたいという方もいます」

 店舗限定の裏メニューはあるのか聞いてみたら「オーナー様から、地域の食材を使ってアイデアでこういうのをやりたいなどいただきます」ということで、地域限定のメニューがあるという。

◆納豆にチーズパン…変わり種メニューも

 入社時はスタッフも経験し、その後、神楽坂店や高円寺店などの店長も務めたことがある出路氏。メニュー開発も行ったという彼に、おすすめの商品を聞いてみた。

「私はこってりチーズパンラーメン、納豆ラーメンなどのメニュー開発にも携わらせてもらいました。納豆を入れると、こってりラーメンの濃度が増して美味しくなるんですよ。あと、ラーメンではありませんが、チャーハンに豚キムチを乗せたメニュー(豚キムチのせチャーハン定食)もおすすめです」

天下一品

限定商品のこってりチーズパンラーメン。ちょうどよい焼き加減のフランスパンにチーズがトッピングされている

あとは明太子ご飯定食のスープライスセットも人気でした。麺を食べきったあとにご飯をスープの中に入れたりするお客様がとても多いのですが、女性の場合は人目が気になってできないこともありますよね。そういう方に『ご飯にスープをかけて食べてください』というメニューを作ったんです。通常のラーメンよりもスープを少し多めに設定しています」

◆内装や動線にもこだわりが

天下一品

奥にカウンター席があるレイアウト。「あっさりでも良いので食べてくださいというコンセプト」で、出路氏が色合いやデザインを決めたらしい

 ちなみに今回、取材に訪れた中野店は、一般的な天下一品と違った内装や動線にもこだわりがあるという。

「中野は食べ物屋さんや飲み屋さんが多く、住みたい街のランキングにも入るような居心地のいい街ですよね。店舗を作るなら、女性やご家族でも入れるようなお店にしたかったんです。入り口はカウンターで奥にテーブル席というのが一般的な飲食店の内装と動線なのですが、中野店はあえてそれを逆にして、家族連れでも入りやすい造りになっています」

 ほかにもテーブルを少し大きめに変えて、子供連れでもゆったり座れるようにしたといい、実際に週末は家族連れが多くなったそうだ

天下一品

入口付近はカウンターになっている店舗がほとんどだが、外から見たときにテーブルが見えるようになっている

◆お客様に恩返ししたい木村会長の想い

 また、天下一品には2000年代から事業の多角化を行い、スパリゾートやホテルを運営するグループ会社もある。それがスパリゾート雄琴「あがりゃんせ」と、天然源泉の宿「ことゆう」だ。

「いつも会長は『お客様がいたからこそ、こうして大きく少しずつやけどこれた。最終的にはお客様のお陰やし感謝しなあかん』といっていました。そこで、今まで支えてくれたお客様がくつろげるスパリゾートやホテルを展開しました。もともと会長がサウナやお風呂が好きで、琵琶湖沿いに湖が一望できる場所があったというのもあります」

 移動自粛や時短営業が叫ばれたコロナ禍での経営は大変だったようだが、今は少しずつ客足も戻ってきている。

◆この先50年もこってりラーメンを守り続ける

天下一品

取材後にどんぶり を口につけて麺とスープを一緒に食べる、ビズスパ編集長。木村会長が実践する、こってりラーメンを美味しく食べる方法だ

 そして最後に50周年を迎えて、これからどのような展開を目指しているのか聞いた。

「これからの50年は木村一仁社長が、これまで苦労して作ってきた木村勉会長のこってりラーメンをいかに守りながらチャレンジしていくことです。まだこってりを食べていない人や、未開の海外でも天下一品を広めていきたいです。私もこれまで木村会長に怒られてきましたが、正しいことがいっぱいあったからこそ今も天下一品で働いています。時代に取り残されないために、味だけでなく、SNSでもいろいろなことを発信して、頭を使った仕事をしていきたいと思います」

ラーメンは愛される食べ物と、世界共通で広がればいい」と語る出路氏。この先もレシピがずっとわからないまま、私たちはまた繰り返しこってりラーメンを食べることになるのかもしれない。

<取材・文・撮影/大川藍>

【大川 藍】

ライター。スイスで滞在中にフリーランスとして目覚める。おつまみ系や占い、インテリア系も執筆中。興味のあるものならなんでも記事にしてしまう遅咲き主婦

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