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声優 井上和彦(70)が被災地支援を続ける理由 声援団が伝える「どこかで心配してくれる人が絶対いる」

BSN新潟放送 / 2024年6月23日 12時0分

BSN

いよいよ今週末の6月29日と30日に、新潟県胎内市で被災地支援のため、声優が朗読劇などを演じるイベントが行われます。イベントに出演するのは声優の井上和彦さん(70)が立ち上げたグループの「声援団」です。

美味しんぼの山岡士郎やNARUTOのはたけカカシ、夏目友人帳のにゃんこ先生などを演じてきたベテラン声優の井上和彦さんが声援団に込めた思いとは…

震災から3日後に会議室で生まれた「声援団」

「震災の3日後の3月14日に、声援団(せいえんだん)は結成したんです」
井上和彦さんはそう話し始めました。

2011年3月11日に東日本大震災が発生。
井上さんたち多くの声優は仕事がキャンセルになりました。
余震も続き、被災地の様子が映像で流れる中、どうしようか…と不安に思っているとき、「自分たち声優に何かできることはないか」と思い立ったといいます。


3月14日、声優仲間たちと会議室に集まって結成されたのが「声援団」でした。

「その後は陸前高田や石巻、女川などの被災地を回って焼きそばの炊き出しを行ったり、子どもたちと遊んだり…様々な活動を行った」と井上さんは振り返ります。

声援団の中心メンバーは井上さんのほか、かないみかさん、勝杏里さん、檜山修之さん、伊藤健太郎さん、甲斐田裕子さんら実力派声優たちが名を連ね、気が付けば、結成から13年となりました。

「もう13年なんですよね。あっという間ですよね…」

被災地であらためて誓った「みんなに笑顔を届けたい」

声援団の活動のコンセプトは「みんなに笑顔を届けたい」。
井上さんたち声援団は被災地以外でも、チャリティーライブで募金を呼びかけるなど精力的に活動してきました。

井上さんは「被災地で、肌で感じたものが強烈だったからこそ、伝えたいものがあった」と振り返ります。

井上和彦さん
「石巻に友人がいるんですが、彼の実家が女川にあって20m以上の津波が押し寄せ、全て流されてしまったというのです。それなのに、陸前高田に行って炊き出しのボランティアをしていました。

私はどうしてなんだろうと疑問に感じて、彼に話を聞いてみました。
すると、彼は『僕はまだ元気だけど、もっと困っている人がいるから…』と、こともなげに話すんです。なんていうんでしょうね、すごい衝撃を受けましたね。彼の家は無くなっちゃっているのに、そこで悲しむのではなく、困っている人のために助けに行く…そういう人が被災地にいるということが衝撃的で。

もっと僕らにもできることがあるだろうと。
自分たちにできることを、そのときやれることを続けていこうと思っています」

全国で災害が相次ぐ中、声優として、俳優として演じることで「笑顔を届けたい」。その想いを強くしたそうです。

ホテルマンとの“二刀流”脚本家との出会い

今回、6月末に新潟県胎内市で2日間のチャリティーイベントを行う声援団。
そのきっかけは、会場のホテルで働く池田真一さんとの出会いでした。

池田さんはかつて東京の劇団で俳優や脚本家として活動し、10年前、地元・胎内市に戻ってきました。現在はホテルマンをやりながら、脚本家や演出家として活動しています。

井上和彦さん
「全国各地でイベントを行ってきましたが、声援団のメンバー・かないみかさんが出演するラジオドラマの台本を書かれていたのが池田さんでした。その池田さんから『新潟でもイベントができないか』と相談を受けて2017年に一度、胎内市でイベントを行いました。今回はそれ以来となります」

脚本や演出を手掛けるホテルマンの池田真一さんは、地元の人たちにプロの声優の芝居を生で体感してほしいと意気込んでいます。

「2017年の舞台では地元に特化した物語や“中条弁講座”をやりまして、来てくださったお客さんから泣いて笑ってもらって…『最高でした』とたくさんの方に言っていただきました。今回も声優の皆さんに朗読劇などを披露してほしいと思っています」

胎内市など新潟県の北部では1967年(昭和42年)の「羽越水害(8.28水害)」や2022年の新潟県北部豪雨など大きな災害に見舞われています。池田さんは地元を見つめなおすことで、被災地への思いも深くなるのではないかと考えています。

「地元の出来事を題材にしているので、地元でも大きな災害があったんだよと、他人事じゃないんだよと知ってもらいたい。そして、せっかく目の前で本物の演技が見られるチャンスなので、多くの人に体感していただきたいですね」

「笑ってもらって、ちょっぴり泣いて…」被災した人に心を寄せる機会を

6月29日と30日に開かれるイベントは必要経費を除いた全額を被災地に寄付する予定となっています。出演する声優も出演料を受け取らず、被災地に送るそうです。

「いろいろなところで苦しんでいる人がいる中で、なかなか目にすることがない声優の演技を間近で見られるイベントを通じて、被災地に目を向けるきっかけにしてほしい」と井上さんは話します。

井上和彦さん
「僕たちに会うことで、日本は全部つながっているんだというのを感じてほしいと思います。遠く離れていたとしても、いつもどこかで心配してくれる人が絶対いるんだよというのを感じていただければうれしいなと思います」

胎内市の中条グランドホテルで6月29日と30日に行われるイベントには井上和彦さん、かないみかさん、勝杏里さん、檜山修之さん、伊藤健太郎さん、甲斐田裕子さんの“声援団”中心メンバーに加えて、永井真里子さんと地元・胎内市出身の長谷川玲奈さんの若手2人も参加します。

地元・胎内市の話など、ここでしか見ることができない完全オリジナルの脚本の朗読劇となりそうです。

来た人から笑ってもらって、ちょっぴり泣いて
それで被災地への思いをはせてもらえれば…
井上さんたち“声援団”の思いはひとつです。
 

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