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高齢化進む山間の集落で…「僕らがやるべき 次に教えなきゃいけない」新世代の担い手をもたらす『マルチワーク』

BSN新潟放送 / 2024年6月20日 20時30分

BSN

季節によって働く場所を変え、複数の仕事をするという『マルチワーク』をご存知でしょうか?
人口減少が進む新潟県十日町市で取り入れられたこの“新たな働き方”は、地域の担い手確保への鍵となる事が期待されています。

十日町市の山間にさわやかな風が吹き抜け、木々の緑が深みを増す今の時期、十日町ではちょうど田植えのシーズンを迎えていました。

作業に励むメンバーの中で、ひときわ若いのが松本一輝さん(29歳)。
2023年9月に名古屋市から移住し、先輩たちに教わりながら少しずつ農業を学んでいます。

「もともとこういう山の暮らしというか、自然に囲まれた暮らしに僕の中で憧れがあって、住んでみたいなというのもあって、かつ農業にも興味があって…」

毎日が初めての連続でやる気十分の松本さんですが、実は地元の農業法人に勤めているわけではないそうです。

松本さんは、季節によって働く場所を変え複数の仕事をする“マルチワーカー”。
去年の秋は稲刈りの仕事を、冬には除雪の仕事をして、また今年コメ作りに向けてこの春に農業の現場へ戻ってきたのです。

こんな新たな働き方を提供しているのが、十日町市で去年発足した特定地域づくり事業協同組合・『TOMOWORK(トモワーク)』です。

【TOMOWORK理事兼事務局長 大塚眞さん】
「十日町市という地域は“豪雪地”ということもあって、通年の雇用が難しかったり、人手不足という問題がある。そういったところを少しでも緩和して、いわゆる人材の供給源というか、人材バンクというか、“地域全体の人事部”のような立場になれたらいいなと」

TOMOWORKは、地域の事業者が集まって設立した事業協働組合で、TOMOWORKが移住者などを正規職員として雇い、夏には農業や林業、冬には除雪作業…といったように、事業者が人手を必要とする時期に合わせて複数の職場に派遣します。

事業者にとっては、季節の影響を受ける仕事や忙しい時期に波のある仕事でも、それぞれを組み合わせることで、年間を通じた雇用を生み出すことができ、移住者などにとっては、安定した給与に社会保険も備わり、働くことができるしくみです。

この「特定地域づくり事業協同組合」は、人口減少が進む地域で産業の担い手を確保するために総務省が推進していて、事業者が支払う派遣利用料に加え、国や市からの財政支援を活用して運営しています。

発足から1年となる『TOMOWORK』には、現在13の事業者が参加し、これまでに7人を正規職員として雇用しています。
職員全員が県外出身の移住者か、一度は十日町市を離れたUターン者です。

【TOMOWORK理事兼事務局長 大塚眞さん】
「いろいろな職種を経験することで、自分に合った地域の仕事を知ることにもなるほか、新しいキャリアを発見するきっかけにもなるのが一番の強み」
「地域に新しい人を受け入れて行く取り組みやマインドや思い…、そういったものが全国にも広がってくれたら、それこそ、地域活性化や地方への移住者の増加につながるのではないかなと思っている」

名古屋市から去年、移住してきた松本さん。それまで勤めていた工事現場の仕事からがらりと変わり、今は農業に挑戦しています。

【松本一輝さん】
― 農業はかなり体力勝負?
「そうですよね、本当にそう。しかも60歳以上の人がやっているので、負けないように仕事をしないとな、と思うけど、全然かなわない

【職場の先輩】
「松本さんはやる気満々で頑張っていますよ。だからいろいろと教え甲斐がある」
「だんだんこの辺も“限界集落”っていうんですかね。高齢化しているから、貴重な戦力ですよね」

松本さんの派遣先の農業法人『プラウ』では、繁忙期の働き手がなかなか見つからずに人手の確保に困っていた一方で、冬場は農作業自体がなくなってしまうために通年での雇用は難しい、という事情を抱えていました。

「特定地域づくり事業協同組合」として職員を安定した環境で雇用し、必要な時期に派遣してくれる『TOMOWORK』のしくみは、そうした悩みの払しょくにもつながったといいます。

名古屋から“移住”した松本一輝さんは、地域の人たちと交流を深める中で「定住」への思いを強くしたそうです。
マルチワークの縁で未知の世界に飛び込んだことをきっかけに、『大きな目標』も見つけました。

【松本一輝さん】
「せっかくこんなにすごい技術を持っている人がたくさんいるのに、でもその後を継ぐ人がいない。こんなところでなくしていいものなのかな、もったいない。だからこそ、僕みたいな若い人たちがやるべきなんじゃないかなと」

「技術を教えてもらってね、そういうのを積み重ねて、僕らが次、誰かに教えなきゃいけない。そういう“使命感”も出ちゃいますよね、こういうふうに頑張っている人たちを見ていると」

“やってみたい”と“受け入れたい”をつなぐ「特定地域づくり事業協同組合」による新たな働き方『マルチワーク』。
こうした事業協同組合は、新潟県内では十日町市のほかにも上越市や阿賀町など、5つの市町村で認定されていて、佐渡市でも新たに設立の動きが出ています。

仕組みをうまく活用し、地域を元気づけられたら何よりですよね。

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