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「接客をする仕事に…」言葉が出にくい吃音の若者が“1日限定カフェ”の店員に挑戦 芽生えた自信と膨らむ夢

BSN新潟放送 / 2024年7月7日 6時0分

BSN

『注文に時間がかかるカフェ』をご存じでしょうか?
言葉がでにくい『吃音(きつおん)』がある若者が接客するカフェで、新潟県内では初めて佐渡でオープンしました。勇気を出して接客に挑戦した生徒に密着しました。

6月22日、佐渡市で一軒のカフェがオープンしました。
一日限定の「注文に時間がかかるカフェ」です。

スタッフを務める3人には『吃音』があります。

「吃音は話し言葉が滑らかに出ない、発話障害の一つです」

音をくりかえしたり、引き伸ばしたり、ことばを出せずに間があいてしまったり…
吃音の症状で注文に時間がかかるときがあるので、『注文に時間がかかるカフェ』と名づけられました。

接客スタッフとして参加した佐渡市の太田さちさんです。


「おしゃべり大好きなので、たくさん話してほしいです」
エプロンには、そんなメッセージが書かれています。

太田さちさん
「接客は本当にしたことがなくて初めてなんですけど、相手も笑顔で接してくれるので気持ちよくできています」

家族は、さちさんが4歳のころに吃音の兆候に気付いたそうです。

太田さちさん
「記憶はないんですけど、ずっと繰り返しちゃう最初の言葉を」

吃音があることで、さちさんは今でも忘れられない辛い思いをしたことがありました。
「小学校の時に学校の校内放送をしたときに言葉が全然出なくなっちゃって、途中で泣いたりとかやめたことがあったので、それが一番トラウマで…」

『注文に時間がかかるカフェ』は2021年から全国25か所で開かれています。
自身も吃音がある奥村安莉沙さんが自らの経験をもとに始めました。

『注文に時間がかかるカフェ』発起人 奥村安莉沙さん
「接客に挑戦を子どものころからしたくて、吃音がすごく重くてあきらめて大人になったんです。ただずっとやりたい気持ちが強くて、吃音があっても安心できるカフェがあったらいいなと思って、このカフェを始めました」

奥村さんは去年11月、佐渡市の小学校で自身の吃音について講演しました。
その際に「注文に時間がかかるカフェを開催してほしい」と声をかけられ、県内で初めて佐渡市で開催することを決めました。

さちさんは、学校の便りでカフェの開催を知り、応募することを決めました。
「応募した理由の中にも、自分に自信がつくようにと。佐渡でやるって聞いて、お母さんと話してやってみようとなって決めました」

この日の営業は1回50分制で3回に分けて行われます。
1回目の営業は、注文を受ける担当だった太田さん。初めての接客で少し緊張した様子です。

注文を受け終わると、吃音についてより知ってもらおうと、お客を回りクイズを出題していきます。

太田さちさん
「吃音がある人が話すのに時間がかかっています。どうしますか?」
「自分の話を始める」「話し終わるの待つ」


「話し終わるのを待ちます」

太田さちさん
「正解です。吃音があっても話を聞いてもらいたいです。代わりに言ってほしい人もいます。本人に聞いてみてください」

1回目の営業が終わり、2回目の営業では、受付を担当。
吃音がある人への接し方についてお客に説明するのが、さちさんの仕事です。

「遮ったり、推測して代わりに言ったりせずに、言い終わるまで待ってください」

2回目の営業で、緊張がほぐれてきたのでしょうか。
さちさんには笑顔が増えていきました。

太田さちさん
「初めて吃音のことを知ったりとかする人もいるのかなと思って、どんどん吃音のことをいろいろな人に知ってもらって、当たり前になってくれると嬉しいなって」

太田さちさん
「自分に自信がつくといいなと。他の人と話すのが好きなので、いろんなと話したいなと思って来ました」


「笑顔が素敵だなと思っていて…」

太田さんと熱心に話をしている女性。このカフェのために津南町から来ました。女性の息子は2年前、富山県でカフェが開催された際、スタッフとして参加していました。

津南町から訪れた女性
「(息子は)そこですごく変わって。そこで私も実際に“注カフェ”(注文に時間がかかるカフェ)がどんなところなのかすごく興味があって、それで来ました」

話しているうちに、涙がこぼれます。

津南町から訪れた女性
「そこですごく人生が変わったので、そのことをちょっと思い出して… 彼女たちもこれがきっかけで、どんどん積極的にいいふうに変わっていってくれたら、なんか嬉しいなって」

太田さちさん
「お客さんと話したときに、すごく共感できる部分が多くて、途中で泣きそうになって。女性の息子が大学に行って、吃音に関わることを勉強する場所に行ったと言われて、すごいなと思ったし、そういう道もあるんだなと思って、新しい発見だったりとかがあって…」

そして、3回目。最後の営業です。
さちさんの両親がカフェを訪れました。

さちさんがカフェでの接客という挑戦を決めたのは、母親の千恵さんの応援があったからでした。

太田さちさん
「一番最初にやろうって決めたんですけど、『リモートで話す』と言われて、そこで一回諦めたんですけど… お母さんと(話し合って)『じゃあ、やってみようか』となって、チャレンジしてみました」

娘の姿を見た母親の千恵さんは…
「泣きそうになるのを必死で抑えました。でも、なんか楽しそうなので良かったです。わが子ながら尊敬するというか、自分のコンプレックスを…凄いなの一言です」

娘の活躍を少し離れたところから優しく見つめていました。

接客にも慣れてきたさちさん。閉店まで、たくさんのお客と大好きな会話を楽しむことができました。

太田さちさん
「1回目と2回目のときよりも、他の人と話すときに笑顔だったりとかできたので良かったです」

大きな挑戦を終えたさちさんには、一つの夢が芽生えていました。
「話してる時に笑顔とか、接客上手だねみたいなことを言ってもらって、それで自信がついたし、このカフェを通して接客をする仕事に挑戦したいなって思って」

自分の可能性を見出したさちさん。
これから、新たな挑戦が始まります。

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