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わずか70人の集落にオープンした“土日限定”のレストラン メニューは全ておまかせの『事前予約制』新潟県十日町市

BSN新潟放送 / 2024年7月20日 7時16分

BSN

新潟県十日町市の山間の集落に、一軒のレストランがオープンしました。
オーナーシェフは、東京から移住してきた男性。
目指すのは、地元の人との交流ができるお店です。

十日町市松代地域にある人口70人の蒲生集落に6月下旬オープンした『MURA PUB(ムラパブ)』。土日限定で営業する事前予約制のレストランです。

地元の食材がふんだんに使われた「里山料理」と名付けられたメニューは、全ておまかせ。ランチは2200円、ディナーは3850円です。

オープンしておよそ1か月。
この日もランチのお客さんがいらっしゃいました。
「玄米は何で炊かれるんですか?土鍋?」
「普通に鍋で…」
「ゆでるんです」

小さな集落でレストラン『MURA PUB(ムラパブ)』をオープンさせたのは、富山県出身の料理人・正力俊和さん(42歳)。20代のころはバックパッカーで世界30か国を旅し、日本帰国後は東京の和食の店で料理人として働いていました。

そんな時、友人の紹介で松代地域を知り、3年前の2021年に十日町市の「地域おこし協力隊」としてこの集落での生活を始めました。
このころの主な仕事は、松代地域の宿泊施設・松代棚田ハウスでの調理人でした。

「前の生活を全部リセットして移住するってのは結構覚悟がいるので、3年間の間に生活の基盤を作って、その先の生活につなげるっていうのはすごい魅力的だと思います(当時の正力さん)」

2024年3月いっぱいで協力隊としての任期を終えた正力さん。
今後について考えたとき、四季を通じて食材が豊富なこの地域の食文化や豪雪地帯ならではの生活の知恵にほれ込み、定住することを決めました。

【正力俊和さん】
「世界で雪が4m積もる地域がほかにないってことは、ここに根付いている生活文化、食文化ってのは、ほかの国や県にはないものですよね。だからそこが、僕はすごく特別なところだなと」

定住を考えていた正力俊和さんに集落の知人が、かつて工場(こうば)として使われていた建物を貸してくれることになりました。

しかし、築およそ30年のこの建物は最近まで使われていなかったため、住むにしても、新たにお店をオープンするにしても“改築”が必要です。

そこで、正力さん自ら手を加えることにしました。

「おととしの年末くらいから空き時間にやり始めて、今やっとこんな感じです…」

地域の人から譲ってもらった資材を建物の改築に使うなど、費用を抑える工夫をしながらおよそ1年半かけて改築をすすめました。

人口70人の蒲生集落(新潟県十日町市松代地域)への定住を決めた正力俊和さんは、かつての工場を1年半かけて自ら改築したオープン前のレストランに、集落の人たちを招待しました。

「ありがとう」
「ありがとうございました」
「ゆっくりしていってください…」

オーナーシェフとして正力さんが料理を作るときに大事にしていることは、地元の食材ならではの味を“引き立てる”ことです。

「そもそも食材が美味しいから…」
「僕の使う調味料ってほとんど塩としょう油とみりん、酒くらい」
「それだけで、“地域の野菜のうま味”が十分引き立つ」

レストラン地元の食材がふんだんに使われた「里山料理」を提供する『MURA PUB(ムラパブ)』は事前予約制です。

【正力俊和さん(42歳)】
「基本的には人のいない場所なんで、一週間ずっと店を開けてお客さんを待つというのはなかなか難しい…」

『棚田の風景』が有名なここ新潟県十日町市の松代地域には、週末になると県内外から多くの人が訪れるため、正力さんは土日限定でレストランを営業しています。

一方で、松代地域では料理を提供できる民宿が少なく、周囲の飲食店も限られています。そのため、民宿に泊まる客はほとんどが素泊まり。
そこで正力さんは、平日に依頼のあった民宿に料理の提供もしているそうです。

「野菜を作ってる農家さんと会話をするっていうのが、1つの楽しみで…」

正力俊和さんが東京から集落に移住した理由は、地元の食材や豪雪地にほれ込んだことだけではありません。地元の人たちとの交流も、もう一つの理由です。

「出した瞬間全部無くなったんじゃない?」
「ありがとうございます」
「土日はやっぱりすぐだね」
「連休だしね」

【正力俊和さん】
「野菜買わなくても小一時間くらいなんか喋ってる時もあるんですけど、そこで情報を得たりとかして…。コミュニケーションですよね。僕の楽しみです」

自身が営むレストラン『ムラパブ』を訪れた客に、地元の農家の思いや食材へのこだわりを伝えたいと正力さんは考えています。

「玄米をちょっとサラダ仕立てで食べやすくした料理で…」
「玄米は儀明の棚田の無農薬のお米を使っています」
「あえてここら辺のお母さんたちもしない調理法で、いろいろなお野菜を使っているなと思って…」

これまでの経験を活かし、調理人という視点から地域に貢献しようとする正力俊和さん(42歳)の、さらなるもう一つの夢は、県外から集落を訪れた人たちと地元の人をつなぐ「交流の場」として、このレストランを成長させることです。

「農業体験者がこの地域に入り込んでいるので、そういう人たちと農家さんが繋がるような関係性にもしたい」
「地域の食のハブみたいな感じで考えています」

わずか70人が住む新潟県十日町市松代地域の山間の地で、正力さんはこれからも新たな飲食店の形に挑み続けます。

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