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「山里の暮らしを未来へつなぐ」45人が暮らす山間の集落に移住した40歳 夫婦で営む農家民宿から描く“ブナの里”の行く末

BSN新潟放送 / 2024年8月19日 12時18分

BSN

新潟県上越市で農家民宿を営む40歳の男性がいます。「山里の暮らしを大切にし未来につなぐ」その思いを取材しました。

上越市の山あいに位置する大島区。45世帯が暮らす田麦集落に農家民宿があります。

「いらっしゃいませ~うしだ屋の牛田です」
農家民宿「うしだ屋」を営む牛田光則さん(40)は、2016年に移住してきました。

「1日1組限定でお客様を受け入れているんですけども、僕らがこの古民家を買い取った後、改装して天井の“張り”を出したりとか、本当に田舎の“おじいちゃん、おばあちゃんちに泊まりに来た”みたいな。そのぐらいの気軽なスタンスで泊まっていただいてる、そんな宿ですね」

気軽に訪れてもらえるよう、時にはこんなイベントも!

うしだ屋・牛田光則さん
「うちにお泊りのお客さんが劇団の関係者の方々で、パペット劇とミニコンサートをやってくださるっていうんで」

劇団 ほんわかシアター
「そのうち目が慣れてきます。それまでのご辛抱…」

観客
「ワハハ」

老若男女、さまざまな人が「うしだ屋」でともに時間を過ごします。

宿泊客
「どうぞ、どなたでも…というのがいいなあと思って」
「いろんな関係の仲間が、ぎゅっと集まれるのはなかなかないと思います」

目指しているのは、“人の輪が広がる”そんな農家民宿です。

うしだ屋 牛田光則さん
「新潟の面白さというか暮らしの楽しさみたいなのを、ちょっと体験してもらえるような場所。こういう場所で人が集うみたいなことが、もっともっとできていくといいなとすごく思っていて」

この日の夜。宿泊客に炊きたてのごはんがふるまわれました。

宿泊客
「ごはん、おいしい」
「本当だ。うまっ!」

牛田さん自慢のお米!山の上の“天水田”で作られています。

うしだ屋 牛田光則さん
「今ぐるっと見渡してみて、割と明るい緑色してるのが大体みんなブナの森で、このブナの森があるから、この田んぼに入れる水が生まれて、田んぼを作ることができる」

貯水力のあるブナが、山里に生きる人たちの暮らしを支えてきました。

うしだ屋 牛田光則さん
「自然の恵みと上手に付き合う暮らしというのを何百年も続けてきている地域なので、それはやっぱりすごく大きな魅力ですよね」

旅好きで全国各地を転々していた牛田さんが米農家として歩みを始めたのは7年前。「農家になりたい」という妻・詩歩(しほ)さん(36)の夢を2人で叶えました。

妻の詩歩さん
「山の中での暮らしというか、自然豊かなこの田麦での暮らしというのは、やりたかったことですね。だから、そこで暮らし続けるためにあらゆることを…」

自然に寄り添い、“手作り”の暮らしを求めて…
元々宿泊業に携わっていた牛田さんの独立する夢が重なり、農家民宿『うしだ屋』が誕生しました。

牛田光則さん
「なんで水が抜けないんだ?」

牛田詩歩さん
「2~3年さぼってたツケっていう感じなんですよ。怠るとこういうことになるっていう」

棚田の水路を確保するなど山間地ならではの苦労はありますが、ここでの暮らしを未来につなぐため、米づくりの体験ツアーを行ったり、地域の先輩から食文化を学んだり、と牛田さんは充実した毎日を送っています。

武田十九子さん(77)
「(ゼンマイを)こうやって揉んであげると、繊維が切れるんですよ。それで柔らかくなる」

牛田光則さん
「こういう山菜とかだって、僕ら素人がただ山に行けば採れるというわけじゃなくて、やっぱりちゃんとその“採り頃”だとか、それをどう戻して味付けすれば美味しいとかというのは、全部代々培われてきてる技術なので、教えてもらわないと引き継いでいけないので」

武田十九子さん
「いや~都会から来てね、もうすぐここになじんで。ムラを助けてもらってます」

牛田光則さん
「なに言っているんですか(笑)」
「あと5年、10年後そういう文化をどれだけ残せるか。何とかそういうものを繋いでいけるようにしたい」

春の里山を楽しむムラのイベント『旭新緑祭』。

「いぇーい!乾杯!」

県外から来たお客さんを盛大にもてなします。

東京から参加
「去年初めて来てめっちゃ感動して、今年は(友人を)連れてきました」

群馬から参加
「みんなの輪があるじゃないですか。ここの人たちと触れられる、そのちょうど季節なので。最高です」

牛田光則さん
「年に何回か、こういう日があるのはいいですよね。雪国の春の恵みをいろんな方に楽しんでもらって、地域の魅力を知ってもらいたい」

そして、地域のシンボル「ブナ林」を活かす新たな活動もスタートしています。

「昨年から僕らが取り組み始めている『デジタルデトックス』というキーワード。きょう、この時間だけはちょっとスマホのことを気にしないで、この森の声とか火のゆらめきに集中してみませんか…」

かつてキャンプ場だった場所を再生する試み。牛田さんが代表を務める『里山イノベーション研究会』のメンバーが集まり、火を囲みながらアイデアを出しあいます。

牛田光則さん
「もっとでかい鉄板が欲しいなって…」

里山イノベーション研究会のメンバー
「みんなでここ守っていこうということで、何回かここで集うような」
「オンラインで打ち合わせができちゃう中で、リアルに顔を合わせて一緒の空間を楽しめるというのは焚き火の良い魅力だなと思っていますし、空気もおいしくて、こんなに静かなところっていうのはなかなかないので」

牛田光則さん
「いろんなものが揃っている“便利なキャンプ場”というのではなくて、こういう森の中で設備がほとんどなにもないような。『ここが好きだ』といってくれている人たちを巻き込みながら、一緒にキャンプ場を作っていきたい」

牛田さんたちが理想とする里山づくり。新たな賑わいが生まれそうです。

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