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少子高齢化の進む日本と 若者の働く場所が限られるベトナムとの『人材交流マッチング』

BSN新潟放送 / 2024年8月23日 6時46分

BSN

ベトナムのホーチミンから130kmのメコンデルタ地方の中心にある「ビンロン省」と、首都ハノイの南にある「タインホア省」。新潟県は、この2つの省と2023年に『交流協力に関する覚書』を交わしました。
これを機に8月初め、花角英世知事と県内企業の代表らがこの2つの省を訪れました。介護分野などの人手不足解消に向けてベトナムからの人材派遣を狙います。

上越市社会福祉協議会が運営する介護施設「デイサービスセンター 謙信高志の里」で、入所者のお世話をしているベトナム人のファム・ティ・ルアさんは、新潟市の専門学校に3年間留学して日本語と介護を学び、今年4月からこの施設の介護職員となりました。

「毎月 家族にお金送ってあげて…。円安になり、送るお金が少なくなり大変です」

上越エリアで60の施設を運営している上越市社会福祉協議会では、ルアさんのような外国人を2028年までにおよそ30人採用する予定です。

【上越市社会福祉協議会事務局 山口宗夫次長】
「日本の高校生に介護事業への就職の希望を聞いたところ、ほとんどいない。本人もそうですが、家族も…。切実な状況なので、海外の人に頼むしかない」

ベトナムは現在、そのような人材の有力な供給国として注目されています。

【新潟県 花角英世知事】
「ベトナムは人口1億人。平均年齢が30代と若い国であり、多くの人材が外に飛び出そうとしている国…」

ベトナム最大の都市・ホーチミンは、ベトナム経済の中心地として発展を続け、活気にあふれています。

そんなホーチミン市で知事らが訪れたのは、ホーチミンにある「エスハイ社」。
ベトナムの若者に日本語を学ぶ機会を作り、日本に向けて技能実習生や留学生を送り出してきました。この機関には現在、2800人が在籍しています。

【エスハイ社 ロ・レン・ソン代表取締役】
「ベトナムには多くの若者がいるが、国内での仕事の機会が少ない。日本はベトナムの若者が行く最適な行き先。日本の企業は人を育てる文化が強い」

知事の訪問に合わせて4日には、新潟の企業で働くことが決まっている技能実習生14人の出国式が行われました。

「新潟県のお米は日本で一番おいしいと聞きました。是非食べてみたいです」
「これからお世話になります。どうぞよろしくお願いします」
「3年間の技能実習をやりとげ、自分自身を鍛え、より良い未来を築くことを…」

日本語を学び、日本のマナーも身につけた若者たちが、新潟へやって来ます。

新潟県の訪問団は、ホーチミンから車で3時間ほどかけてビンロン省にも向かいました。2023年11月に新潟県と『交流協力に関する覚書』を交わしたビンロン省は、人口およそ100万人。メコンデルタ地方の中心にあり、自然に恵まれ、多くの川と運河があります。

花角英世新潟県知事らはビンロン省政府を表敬訪問し、意見交換を行いました。
この中でブイ・バン・ギエム党書記は、農業分野・介護人材・エコツーリズムでの交流促進を求め、近く、新潟を訪れることを約束しました。

【新潟県 花角英世知事】
「ベトナムはまだ若いが、いずれは高齢化社会となる。その時に、ベトナム・ビンロンの社会に役立つ介護人材を育てることも大切」

また今回の訪問では、新潟大学とビンロン省農業農村開発局とが共同研究の覚書も交わしました。

主に新潟大学が開発した高温や洪水など強いコメの栽培について共同で研究することになり、新潟大学が20年以上にわたって開発してきた「コシヒカリ新潟大学NU1号」が、今年12月にはビンロン省で実験栽培されることになります。

新潟県からの訪問団が訪れた4日、ビンロン省会議センターでは新潟の県内企業や大学15団体が参加し、ベトナムの学生たちに新潟を知ってもらって県内企業への就職や留学につなげるための“人材マッチング”が行われました。

【北興商事 総務課 木村百恵さん】
「反響が大きくて驚いています。遠く出向いてよかった。肌感に感じられたので期待しています」
【村山土建 村山政文社長】
「埼玉の子会社に6人のベトナム人がいる。高度人材を採用したい…。明日が面接」
【新潟経済同友会 吉田至夫 代表幹事】
「日本の労働市場の厳しさを反映している。新潟県の中小企業の国際化にも大きく貢献することなので…」
【新潟薬科大学 茂木弘邦 理事長室長】
「意欲ある優秀な学生さんに、ぜひ来てもらいたい」

参加団体の中には、上越市の介護施設で働いているベトナム人女性・ルアさんが、懸命に説明する姿もありました。

「介護の仕事はどんな仕事?日本で何年くらい勉強しますか?と聞かれました」

【ホーチミン県人会 AGRIEグループCEO 伊藤俊一郎医師】
「円安で日本の魅力が薄れているところもありますが、一方で、まだ日本は豊かな国のイメージ。私たちも茨城県や新潟県で医療・介護事業をやっていますが、住む場所を考えると日本の地方の方が家賃が安く提供できるので、地方こそ魅力的な働き場所として検討してもらえる」

少子高齢化で人手不足が進む新潟と、経済発展が続くながらも若者の働く場所が限られているベトナム・ビンロン省とのマッチングを見る限り、地方同士の交流は今後も加速しそうです。

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