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納豆と肉じゃがを使った洋風レシピ、LINE返信文、読み聞かせ… 74歳ナス農家も使いこなす『生成AI』の現状と課題

BSN新潟放送 / 2024年10月12日 7時48分

BSN

文書や画像などを瞬時に作り出す「生成AI」は今、あらゆる分野でその活用が広がっていますが、仕事や日々の暮らしにどう役立てられているのでしょうか?
そして、その課題とは…。

新潟県上越市のナス農家・高波耕太郎さん(74歳)。
丸っこくて先が少しとがったブランドナス・丸えんぴつナスを作っています。

「ナスが丸いですよね。で、ちょこっと先がね尖ってるんで…。それで『丸えんぴつナス』という名前をつけたんだけどね」

そんな高波さんが着ているTシャツには『メタグリ』の文字。
一体、何??

実は、新潟県上越市のナス農家・高波耕太郎さんは、生成AIを農業に活用するコミュニティー『メタグリ研究所』のメンバーです。

生成AIを使いこなす全国各地の農家などがインターネット上で集い、日々情報を発信・交換していて、今年74歳の高波さんは、ここで知った情報を元に直販サイトを“自ら”作ったそうです。

「自分で作れば1週間くらいかかって…。考えながら作ってるんだけど、“生成AI”やそういうアプリ使うと、もう1日でできますね。私、文書作るの苦手だから…」

プロンプトと呼ばれる指示文を入力すると、自動で文書・画像・音声を生み出す“生成AI”は、2022年に無料で使えるチャットGPTが登場して以来、広く利用されるようになりました。

高波さんはチラシ作りなどでも生成AIを活用。
試しに、ナスと一緒に梱包するチラシを作ってもらいました。

生成AIで作ったイラストを貼り付けて、単語を入力。
自動で現れた文書の文字数を調整したら、あっという間に完成です。

今年74歳のナス農家・高波耕太郎さんは、若手農家とオンラインで交流しながら、生成AIを使いこなしています。

【熊本県山都町のトマト農家 梶原甲亮さん(47歳)】
「多分うちの親父と同じ歳なんですけど、それでAI使っているのは、まずすごいなと、正直感心させられたところです」

【島根県出雲市の酪農家 川上哲也さん(37歳)】
「いろいろ提案されたりするので…。AIで調べてきました、とか」
「いやホント、裏に誰かいるんじゃないかって」

そんな仲間たちとの交流も、高波耕太郎さんは楽しんでいる様子です。
「新しい情報得てね、またそれを取り入れて、挑戦するということがね」
「年寄りにはちょうど、頭使っていいんでないかと思ってね」

民間の信用調査会社、帝国データバンクが民間企業4705社を調査したところ、17%の社が生成AIを「活用している」と回答。
導入企業の8割が効果を実感しているといいます。

また、自治体での導入も進んでいます。
全国1788の都道府県と市町村を対象に総務省がアンケートをしたところ、都道府県では51%・政令指定都市では40%・市町村では9%が生成AIを導入していることがわかりました。

その使い方は、『あいさつ文の作成』が最も多く、次いで『議事録の作成』、『企画書の作成』などとなっています。

新潟県内では、少なくとも7市が導入しているということです。
例えば、新潟市では8月から文書作成などで導入しており、先日も職員を対象にした『超初心者向け説明会』が開かれていました。

この日の説明会の企画案や資料の作成にも生成AIを活用し、作業時間を9割以上も減らせたそうです。

【新潟市役所 デジタル行政推進課 小杉善一主幹】
「行政側の職員もどんどん減っている中でサービスは維持しなければいけないと考えていますので、こういった生成AIを使って人の減をカバーする…」

仕事で使われることが増えてきた生成AIが今後、わたしたちの暮らしにはどう役立っていくのか?

新潟県内の市役所に務める職員3人が2023年に立ち上げた『AI新潟』では、生成AIの活用方法をSNSなどで紹介しています。

【AI新潟 山田慧 代表(36歳)】
「1つ目は返信文の作成です」
「例えば…、BSN新潟放送の記者のカワサキっていう方から『取材させてください』っていうダイレクトメッセージがいきなり届いた場合、皆さんも返信に困ると思うんですよ」

このようなときに山田さんはチャットGPTを用いるそうです。
「取材の打診に対して、前向きな返信を考えて」と入力すると…、返信の文案がスラスラと出てきました。

「日常のLINEの会話とかでも、返信に困ることがたくさんあると思うんですよ。そんな時に参考になるんじゃないかなと思います」

続いては…。

【AI新潟 中野裕哉さん(37歳)】
「例えば家によくある、『納豆と肉じゃがを組み合わせて洋風にアレンジした料理を提案してください』と投げかけてみたいと思います」

すると―、『納豆入りミートポテトグラタン』のレシピが提案されました!

生成AIでは、冷蔵庫の残り物やよくある食材を組み合わせた“アレンジ料理”のレシピを簡単に作れるようになるといいます。

このほかにも、
・子どもに読み聞かせをするためのオリジナルストーリー作り
・子どもの宿題の解説
・英会話の練習、etc… といった使い方もあるそうです。

【AI新潟 山田慧 代表】
「生成AIを使いこなして自分の生活を豊かにしていこう、という考え方が大事かなと思います」

仕事や暮らしで便利さが際立つ生成AIですが、一方で「著作権の侵害」や「セキュリティー問題」などの懸念もあると専門家は指摘しています。

【新潟大学工学部 山崎達也教授】
「アメリカなんかでは、自分の絵が使われたんだという訴訟が起きたりしてますので、そういう著作権に関しては気を付けなくてはいけない」

生成AIが作り出した文書・画像・音楽が、他の人の作品と似ていた場合には、“著作権侵害”の問題が発生する恐れがあるといいます。
さらには、AIが出した情報に誤りがあるケースや、個人情報や機密情報の漏洩といった問題もあります。

8月に政府は、生成AIの安全性の確保策などについて話し合う有識者会議を開いていて、新たな法規制の導入が必要かどうかなどについてを、この秋にも論点をとりまとめることにしています。

新潟大学工学部の山崎達也教授は『技術の発展とルール化』について指摘します。
「法律・社内ルール・モラル・リテラシーなど。 こういうのをしっかりと社会で共通認識として基盤づくりをして、その上で技術を発展させて…」

『生成AI』が仕事や暮らしに役立っていくようになる一方で、誰もが安全に安心して使うための“環境づくり”はまだ追いついていないという現状もあるようです。

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