あの日、何が起こったのか… 中越地震を知らない子どもたちに元消防士が語り継ぐ記憶「考えるためのきっかけに」【中越地震から20年】
BSN新潟放送 / 2024年10月21日 21時14分
2004年10月、新潟県中越地方を襲った中越地震から23日で20年。
地震を経験していない人が増え、記憶の風化も懸念される中、元消防士の男性があの日の記憶をつないでいます。
「避難所にどんなものを持っていったらいいかを、1年生から6年生までで話し合いをします」
長岡市の大河津小学校では、この日行われる防災教育の授業の準備が進められていました。
その中心にいるのが中野雅嗣さん。地域や学校と連携しながら防災教育を行っている『NPO法人 ふるさと未来創造堂』の常務理事を務めています。
NPO法人 ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事
「避難所の困りごとですとか、そこでできる工夫についてお話をいただきます」
毎年、中越地震が発生した10月23日が近付くと、小学校などでの防災教育講座の依頼が増えるそうです。
NPO法人 ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事
「9、10月で68回かな。我々のスタッフだけでは回らないので、うちの非常勤のスタッフが2人とサポーターさんが3人。計、私含めて6名でやっていく感じですね」
「水道が使えなくなりました。車で水を運んできてくれて、そこに水をもらいに行くということになりました。飲み水がなくて、大変ですね。でも、それだけじゃないんですよ。トイレもお水使いますよね。トイレも水に流すこともできないなんてことも起きました」
中越地震を知らない子どもたちに、あの日、何が起こったのかを説明します。
中野さんは地震当時、長岡市消防本部で勤務していました。
NPO法人 ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】
「通信指令という119番を受け付けるところは、もう電話が鳴りっぱなしで。土砂が崩れて生き埋めになってしまった人がいた現場に駆け付けたり、ガス漏れが発生しているようなところに駆けつけたりして、けが人を救急車で搬送したり、数日間は不眠不休みたいな感じですよね」
中野さんは消防本部を退職後、2016年からNPO法人を設立し、子どもたちへ防災教育を進めています。
この日は、災害時に避難所で使う『組み立て式の段ボールベッド』を紹介。子どもたちは、体育館の床と段ボールベッド、それぞれで横になってみて、その違いを感じていました。
【児童は】
「段ボールの方が温かかった。段ボールベッドの方が寝やすい」
「段ボールベッドの組み立て方がわからない人たちに教えてあげたいと思いました」
【NPO法人 ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】
「段ボールベッドって、避難所の中で必須なんですよ。実際に触れたり、組み立てたことがあるって人は、大人でも少ないんですね。今の子たちが自分たちにあるものを触ってできるようになることが、極端なこと言うと、家に帰ったら親にとっても学びになるし」
地震の記憶を語り継ぐため、中野さんが始めたサービスがあります。
『カタリdeツナグ』。地震を経験した語り部たちの証言をテーマごとに分けて、5分ほどの動画にしています。
学校で教材として使ってもらい、防災教育の出発点にして欲しいと期待しています。
【NPO法人 ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】
「体験談が風化してしまわないように、映像で残し使いやすい教材化する。映像教材自体も5分とか短い方が、子どもたちが考えるためのきっかけができたり、その後のさまざまな場面で活用しやすい」
中越地震の発生から20年ー
記憶をつなぐためには、“伝える側の工夫”も大切だと考えています。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】
「語り継ごうとするっていうこと自体は、ものすごく価値があるんです。語り継ぎ方っていうところについては、子どもの年齢だったり、興味関心というところに合わせたり、はたまた学校の中の雰囲気に合わせて、いろいろと工夫していく必要があるんじゃないかと思います」
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