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「他の県よりも半年遅れくらいで動いている」住民が待ち望む『液状化対策』に専門家は新潟市の調査遅れを指摘

BSN新潟放送 / 2024年11月13日 4時58分

BSN

2024年元日に起きた『能登半島地震』に伴い、新潟市で発生した“液状化現象”への対策について、地震から10か月が経過するなかで、新潟市の対応の遅れを指摘する声が上がっています。

新潟市江南区の天野地区で、地層を採取するボーリング調査が11月5日に行われました。地盤の強度を測る調査と並行して今後の液状化対策に役立てようと、新潟大学が独自で実施したものです。

液状化現象などにより江南区では1500棟以上が被害を受け、地震から10か月が経った今でもその爪痕が残っています。

この日は、深さ5mほどまで掘り進めて“地層”を調査。

新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授の見立てでは、地下1~3.5mまでの間に、液状化したとみられる“痕跡”が断続して見つかりました。

「この辺が液状化をしている可能性があって、あとはここ何か混ざっているので、あとはこの辺がモヤモヤとしているので、この辺と…」

江南区より被害の大きかった新潟市西区では、このような痕跡が連続して見られ、卜部教授は「この違いが被害規模の差になった可能性がある」と指摘しました。

新潟大学災害・復興科学研究所 卜部厚志教授の行う調査の様子を、地域住民が見守っていました。

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「人間って、“何かわからない”のが一番不安なので…」
「“被害があった”ということは現実ですので、その原因が何かっていうのがわかると、それによって一歩前に進めるかなって」

地元の新潟市立曽野木小学校の4年生たちも見学しました。

「深くなると、色がどんどん変わっていってるから、それは初めて見た」
「もうちょっとそういうこと(液状化現象)を学んで、よく分かりたい」

【天野中前川原自治会 増田進 会長】
「液状化現象で、『この地区はこうなんだね』『でも、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さんが頑張ってくれて、安全安心な地域にしたんだよね』ということを、子どもたちに残したい」

新潟市江南区の住民は、液状化対策を行って“安心して住める地区”にしたいと望んでいますが、新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授は、新潟市の対策工事についてこんな指摘をしています。

「どういう事業の展開になるのか、何を決めていくのかが、他の県よりも半年遅れくらいで動いている」

被害状況や予算規模が異なるために一概に比べることはできませんが、同じように液状化現象で大きな被害を受けた富山県の氷見市では、市によるボーリング調査が4月からスタートしているなど、他の市や町では工法の決定に向けた調査が順次進んでいます。

2024年度中をめどに地域ごとの液状化対策の方針をまとめるべく、5月に専門家による検討会議を立ち上げた新潟市は当初、既存のデータを利用できると考えていました。

しかしその過程で、「今あるデータでは不十分で、追加の調査や、1年を通した地下水位の変化の確認が必要」という指摘を専門家から受けたのです。

【新潟市 中原八一市長】
「遅れることは被災者の皆さんにとっても、新潟市にとっても残念なこと」

新潟市では、液状化現象への対策について9月議会でボーリング調査の予算が承認されて業者への発注が終わったばかり。年内にも調査を開始するとしています。

新潟大学の調査を見た住民のなかには「自分たちの住む家がこうした地盤の上に建っていたという事実にショックを受けた」と話す人もいた一方で、地層の様子を知ることができて“一つの安心”になったという声もありました。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授】
「被災者のみなさんは『この先どうなるのか』ということをすごく待っている」
「それを言えないというのは、行政としても大学としてもダメなところですので、早く先が見えるようなことを進めていきたい」

新潟大学の調査で得られたデータは、新潟市や地域住民にも共有されるということですが、宅地の液状化現象への対策は、新潟市にとって60年前の新潟地震から積み残されていた課題でもあります。

新潟市では、2~3年以内に工事エリアや工法を選定することを目指していて、「しっかりとした工事を行えるよう丁寧に検討したい」としています。

安心して住み続けるための対策がこれ以上長引けば、住民の不安が募るばかりだけではなく、人口流出なども懸念されます。

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