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15年以上前に閉院した姫川病院が“心霊スポット”化 解体もままならず 地域住民が頭を悩ます中で迷惑行為も 新潟・糸魚川市

BSN新潟放送 / 2024年11月23日 7時25分

BSN

15年以上前に閉院した病院が「心霊スポット」化したことで、騒音や不審火などが起き、住民たちは不安を募らせています。
取材を進めると、市や警察の介入が“困難”な理由が見えてきました。

新潟県糸魚川市大野にある『旧姫川病院』。
雑草が生い茂り、今はまさに「廃墟」です。
看板の一部は外れ、窓ガラスは大きく割れ、壁には誰かが書いた落書きも…。

姫川病院は1987年に中核病院として開業しましたが、“公立病院”ではありません。
地元住民らが出資して作られた病院で、特に内科と循環器科に力を入れ、この地域の医療を支えてきました。

【糸魚川市大野区 元区長 新井春雄さん】
「あんな大きなもの造ったんだからさ、ビックリするわけだ。これでいいぞ、住みやすくなるぞ!ってさ」

しかし2007年…。
22億円あまりの負債を抱えた姫川病院は、経営難で閉院してしまいます。

【糸魚川市大野区 元区長 新井春雄さん】
「まさかこんなに病院って、ダメになるものだと全然思っていなかった…」

閉院してから15年以上。
かつて地域医療の希望となっていた病院は、管理されぬまま荒れ果て、現在は近隣住民の悩みの種になっています。

「夜、若い方とか中に入って騒いだりとか」
「一番迷惑なのは、ガラスを割ろうとしてガンガンガンガン音出したりとか…」

近隣住民によりますと旧姫川病院は、県内外から毎晩のように何者かが侵入する『心霊スポット』になっているといいます。

「インターネットで、“幽霊屋敷”とか…。不気味な感じだわね」
「壊してもらいたいんだよね、更地にして。誰が入るか分からないからね」

人が入らぬよう、近隣住民らは看板を設置しましたが、侵入者は後を絶ちません。

「以前は注意してたんですけど、注意しきれない感じになっちゃって…」
「ここ何年かは、来ていても、見て見ぬふりみたいになっちゃいますね」

土地の所有者に許可を得て、病院の敷地内に入ってみると…

「病院の壁には草木が絡まるように生い茂っていて、入口付近のガラスは割られていますね」

入口は開いていて、誰でも入ることができる状態に。
ガラスが飛び散っていて、当時使われていたとみられる“枕”のようなものも…。
夜に侵入する際に使ったのか、近くには懐中電灯も捨てられていました。

動画投稿サイトで「姫川病院」と検索すると、多くの動画が上がってきます。
中には、再生回数が20万回を超えている動画も…。

建物の中に入ったことがある人に、「姫川病院」について伺うことができました。
「当時のものとか結構残っていたり、心霊スポットしての“認知”が全国的に広かったりする」

また、多くの人が集まる理由については
「グレーな場所、法律的に取り締まれないってこともあって、そういう要因が重なって集まるんじゃないでしょうかね」

空き家問題に詳しい、美咲総合法律税務事務所の五十嵐勇弁護士は「不法侵入にあたる場合もある」としつつ、「建物の管理者がいなく、誰のものでもない建物を、警察が取り締まるのも難しい」と指摘します。

「建物の中に入るということになると、建物の“管理”という話になると思う」
「所有者もいないし、管理者もいない状態なので、“被害を訴える人”はいないわけで、そうすると警察も立件できない状態」

この廃墟と化した新潟県糸魚川市の『姫川病院』は、“心霊スポット”として多くの人が侵入するだけにおさまらず、2021年には不審火が発生して消防や警察が出動する騒ぎにもなっています。

地元住民たちは「毎晩のように何者かが侵入する」と話しており、私たち取材班は夜も姫川病院の様子を確認することにしました。

すると午後8時ごろ、建物の1階部分で光が…

「懐中電灯の明かりでしょうか。中に人がいるみたいですね」

周りを照らしながら階段を降りる人の姿がありました。
建物内を移動しているのか、時折1階でも光が見えます。

「いま音が聞こえました。ガシャンと音が聞こえました!」
「今、1階部分が明るくなりました。誰かいるのでしょうか?」
「今ライトがまた消えましたね…」

この日、少なくとも2組が建物の中に入っているのを確認できました。

「こうなってしまうと使い道がないから、取り壊すしかないんじゃないですかね」
「壊してもらいたいんだよね、更地にして。誰が入るかわからないからね」

近隣住民らは、何者かが侵入するこの建物を壊すことを強く望んでいますが、その取り壊しが進まない理由があります。

「事実上、管理者の方はいないって聞いています」
「敷地の土地もかなり所有者の方がいろいろ分かれていて、かなり多い人数おられるので、どうしたら良いか分からないと…」

住民によりますと、旧姫川病院の土地は地元企業や住民らが所有していますが、建物が残っているために、土地を利活用することも難しいと言います。

登記簿を確認すると、当時病院を運営していた法人の名前が、所有者の欄に記載されていました。

BSN新潟放送の取材に対してこの法人の関係者は、「今は破産していて、建物は組合のものになるが、実質的に法人は解散しているので処理ができない状況。当時は、医療過疎地ということもあって、老人ホームなど新たな建物にする計画もあったが、なんらかの理由で頓挫した」と話しています。

姫川病院が閉院した年に、地元・大野区の副区長を務めていた元区長の新井春雄さんは、当時から糸魚川市に対応を求めてきました。

「当時、弁護士に、糸魚川市がその気になれば解決するんじゃないですか、努力しなさいよ、って話聞いたから挑戦したけども…(ため息)。まだ駄目だわ…」

現区長の磯野健一さんら地元住民も、引き続き市へ対応を求めています。

「今現在、大野地区にとってはマイナスの施設になっていますね」
「個人ではなかなか解決することが難しいと思っておりまして、行政等に相談し、お願いしているところです」

こうした声に対して、現時点で糸魚川市は
「建物については、所有者である組合の法人登記が閉鎖され、法人としての実態がないことから、管理者不在の状況と認識しております。市は土地・建物の権利者ではないことから、現状では法的に対応が困難です」としています。

空き家問題に詳しい、美咲総合法律税務事務所の五十嵐勇弁護士は、行政が対応できる方法として、空き家の解体を所有者に代わって行う『行政代執行』が考えられるとしつつ、本来は建物の倒壊などで通行人や近隣住民に危険が及ぶ場合に行なわれるものなので現状では耐震性の面で“要件”を満たしていないのでは、とも指摘しています。

「廃墟と化していて不特定多数の人がやってくると住民としては不安かもしれないが、ある程度敷地も広い中ですぐに“倒壊の恐れ”があるかと言えるか微妙なところ。倒壊があっとしても、今すぐやらないといけないレベルなのかと言われると、その法律の要件を満たすのは難しいのかなと…」

地域住民が頭を悩ます中、果たして解決の糸口は見つかるのでしょうか。

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