人口1万人の町に年間60万人が訪れる「道の駅たがみ」“竹”が切り開くアイデアと未来
BSN新潟放送 / 2025年1月15日 17時26分
オープンから4年たった『道の駅 たがみ』が好調。
人口1万人の新潟県田上町に、年間およそ60万人が訪れています。
ここで特産の竹を使った「アート」や「おいしさ」を生み出しているのは、45歳の駅長とその仲間たち…。『令和の“竹の子族”』です。
決して天候に恵まれたとはいえないこの日も、国道403号沿いに立つ『道の駅 たがみ』は賑わいを見せていました。
買い物客のお目当ては…?
「今ですと、乾燥したタケノコ。水で戻して油揚げと煮しめにするとおいしい」
「珍しいのがたくさんあって。春はタケノコや山菜からはじまって…」
「タケノコが一番楽しみかな」
田上特産の「タケノコ」は、旬を過ぎても大人気。
2020年10月のオープン以来、年々来場者は増え続け、2023年度はおよそ60万人!
売り上げも3年で1.5倍に増えました。
人口1万人の小さな町に根付いた『道の駅 たがみ』では一体、何が起きているのでしょうか?
春に旬を迎える特産のタケノコは、新潟県田上町の『お宝』です。
「みなさん大変お待たせいたしました ―」
「時間になりましたので、始めたいと思います!」
10日間限定の「たけのこまつり」に、今春はなんと300人が列を作りました。
こうした竹を生かした取り組みを企画しているのは、『道の駅 たがみ』駅長の馬場大輔さん。“田上生まれ田上育ち”の馬場さんは、公募に名乗りを上げて2020年に初代駅長に就任しました。
「いろいろなウェブ調査をすると、この町は知られていない」
「自分が生まれ育った町が知られていないのは…、悔しい、残念だなと」
「外の人は知らないんだけど、町の人がそこに自信をもって、誇りをもっているものが『竹やタケノコ』だったんですね」
そんな思いを持つ馬場さんは、生産者の1人・山川敏幸さん(35歳)に“先生”をお願いして、『タケノコ掘り』も企画しました。
【生産者 山川敏幸さん】
「切るのって大変でしょう、っていうことをやっぱり農家としては伝えたい」
掘ったタケノコは、朝のうちに道の駅に運ばれました。
しかし早速そこで馬場さんは、買い物客から届いた要望を生産者へ…。
「9時45分…、もっと早くできねぇんかと」
「できねぇんす。もう生産者から言うと、そこは」
「何時から並んでると思ってんだ!っつって(笑)」
こうした本音のやりとりも欠かしません。
新潟県田上町の国道403号沿いに立つ『道の駅 たがみ』の駅長・馬場大輔さんの周りには、常にたくさんの“仲間たち”がいます。
4月のある日『田上町総合公園YOU・遊ランド』に集まったのは、住まいも年代も職業もバラバラの100人が所属するボランティアグループ。その名も“たけのこ団”。
「田上出身の人もいれば、大学で興味を持って参加するようになった人もいます」
「関西出身、大阪です。田上町は夫の実家なんです…」
大自然の下、皆で乾杯!
タケノコを丸ごと焼いたものが、バーベキューのメインディッシュです。
この多才なメンバー達を繋ぐ馬場駅長が5月、また何か新しいことを始めました。
竹を切って、ゆでて…。
実は、メンマづくりに取り組んでいたのです!
「やわらかいですよね」
「もう食感はメンマですか?」
「うん、食感はもうメンマまんまなんで」
タケノコとしては伸びすぎた“幼竹(ようちく)”は、売り物にならないばかりか、放置すると育ちすぎて日光を遮り、他の竹の成長を阻む厄介者にもなってしまいます。
育ちすぎてタケノコとしての価値がもうありませんが、これをメンマに加工して、道の駅でラーメンの具材として販売することにしたのです。
皆で試食 ―。
「おいしいね」
「道の駅 たがみ」では、竹を使った最大のプロジェクトがあります。
息をのむような美しい光のアートイベント『たがみバンブーブー』です。
2024年で3年目を迎えました。
今年のキャッチフレーズは「地域の未来をみんなで灯そう」。
本番の2週間ほど前から馬場大輔駅長は、ちょっとソワソワ(?)していました。
「全く終わっておりません!」
「2日くらい遅れてます」
「遅れてるいうか、間に合ってないでしょ(笑)」
「2日くらい“間に合ってない”…」
本当は焦っているはずなのに、こんなときでも笑顔。
準備は連日、深夜まで続きました。
そして…いよいよ開幕です!
新潟県田上町の「道の駅 たがみ」で9月14日、息をのむような光のイベント『たがみバンブーブー』がはじまりました。
「5、4、3、2、1、ゼロ!!」
「おおおぉ(拍手)」
地元の人も、初めて来た人も、田上の“灯り”に身を委ねます。
「まあ、きれいだ」
「読み方も分からなかったです。タウエマチみたいな…」
「何が有名なのかも分からなかったですけど、実際に来てみたら、本当に幻想的」
「春はぜひタケノコを食べたいと思います」
【道の駅 たがみ 馬場大輔駅長】
「いろいろなところへ勉強に行って学んでそれを、ぼくらのフィールドに合う、田上に合うやりかたで、地域の仲間たちと協力して、仲間を増やしていけたらなと」
馬場さんは、来年に向けて何か新しいことを思いついているようにも見えました。
仲間たちとともに築き上げてきた『令和の 竹の子族』の活動は、この先も小さな町を輝かせ続けることでしょう。
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