5人に1人が75歳以上の超高齢化社会【2025年の未来】年齢上限を無くした企業でやりがいを感じる“シニア人材”の笑顔
BSN新潟放送 / 2025年1月17日 5時55分
2025年の干支は『巳』。ヘビは脱皮を繰り返すことから、巳年は再スタートや変化のチャンスのある年といわれています。
そこで、今年の課題や今年何かに挑戦する人を“深掘り”していきます。
2025 巳年 ~ 巳来・ミライ へ~
今後、国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となることで経済規模の縮小などが懸念される『超高齢化社会』は、“2025年問題”とも言われています。
新潟県燕市で、制限を設けずにシニア人材が活躍できる環境を整備している企業『フジイコーポレーション』は、除雪機や草刈り機などを製造・販売している会社。従業員107人が働いていますが、このうちおよそ2割が65歳以上のシニア人材。70歳以上の従業員も8人いて、最年長は76歳です。
60歳の定年後も「再雇用制度」を使って働いている飯塚功さん(66歳)は、
「家にいても、なんか畑とかしているわけでもないし…。体動かした方が、健康のためにもいいし、気分転換にもなるしね」
と話しています。
今内で急速に進む少子高齢化を受けて、国も動き出しています。
70歳まで働き続けることができるよう、“定年制の廃止”や70歳までの“定年引上げ”など、就業機会の確保を企業の努力義務とする法律が2021年に施行されていますが、2024年6月現在でその対応を実施している企業は、新潟県内の場合、全体の3割に留まっています。
そんななか新潟県燕市の『フジイコーポレーション』では、年齢の上限を設けずに、70歳以降になっても働きたい人がいつまでも働ける環境を2010年ごろから整えてきました。
戦後間もない“第一次ベビーブーム”で生まれた『団塊の世代』は、2025年には全員『後期高齢者』となります。その数は、国民の5人に1人。
まさに“超”高齢化社会といえます。
人手不足はさらに加速し、現役世代が負担する社会保障費の増加など、懸念材料も多く、“2025年問題”とも言われています。
新潟県燕市でシニア人材を積極的に雇用する『フジイコーポレーション』でも、危機感を抱く社員は少なくありません。
【69歳】
「若い人は製造業少ないと思うんですよね」
「私たちも、いつまでもいられるのかなと。そういう気はします」
若手の採用数は年々右肩下がりに。
若者の製造業離れも感じていて、企業の存続に対する不安の声もあります。
【フジイコーポレーション総務部 小幡高人部長】
「従来のような新卒採用だけでは、絶対労働力が不足するというのは目に見えています。中途採用がまだまだそれなりの数が上がっているうちは大丈夫ですけど、中途採用がなくなると厳しい」
こうしたなか、フジイコーポレーションでは以前から、人手不足に備えて“シニア人材”の力を重宝してきました。
正社員だったころと同じ働き方をするのが難しい人もいますが、週5日での勤務を週3日にするなど、その社員にあった雇用形態を取り入れています。
「単なる年齢の区切りでしかなくて、健康な人はいつまで経っても若く働けるわけですから…。60歳以下の社員と同じように、普通の労働力・戦力。あまり特別扱いや特別視をしていない」
「これ付けなきゃいけないべ?」
シニア人材の“豊富な経験”は、若手にも影響を与えています。
高校卒業後にフジイコーポレーションへ入社した桑原健太さんは時々、再雇用制度で働いている飯塚功さんさんから指導を受けながら業務に励んでます。
【桑原健太さん(25歳)】
「自分の知らないところを教えてくれるので、すごく勉強になります」
【飯塚功さん(66歳)】
「うれしいですね。そういうふうにみてくれていると、こちらも教えがいがありますよね」
そんな飯塚さんの月に1度の楽しみは、キッチンカーでのランチタイム。
この“昼食代”は会社が負担し、社員は無料で食べられます。
飯塚さんのこの日のメニューは、ソース焼きそば。
「美味しいですね。いつもこういう焼きそばは屋台でしか食べたことないのでね」
「モチベーション上がりますよね」
「食べさせてもらっているわけだから、それなりに頑張らないとまずいかなと」
「どれぐらいまで働かせてもらえるかは分からないですけれど、65過ぎても働かせてもらっているっていうのは大変ありがたいですよね」
69歳だという他の社員も、“ランチ”を食べながらこう話していました。
そして、日々の勤務にやりがいを感じているという飯塚さんは、現在66歳。
体調さえ良ければ、とりあえず70歳までは働きたいと微笑んでいました。
【フジイコーポレーション総務部 小幡高人部長】
「働きたいって言っている人を拒む社会ではなく、『どうぞ』って受け入れてくれる社会、そういった雰囲気というのは大事だと思います」
日本全体が抱える大きな課題である『超高齢化社会』。
私たち1人ひとりが真剣に向き合う必要に迫られています。
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