現代アート? “2代目”83歳が描く看板「1枚1枚の違いが沼!」 10km圏内に約500枚『松田ペット』の看板とは 新潟・長岡市
BSN新潟放送 / 2025年1月23日 12時33分
どこか人間味があり、何とも言えない味がある動物たちの看板…
今や、その人気は全国区にもなっている新潟県長岡市にある『松田ペット』の看板です。この看板を手がけていた職人が92歳と高齢となり、制作のバトンが83歳の“2代目”に引き継がれました。
カメラが入ったのは1月16日の夜に特別に公開された『松田ペット』の看板の制作現場です。
まっすぐなまなざしに、迷いのない筆遣い…
筆をとるのは長岡市出身で、埼玉県に住む青柳謹一さん(83)です。
松田ペットの松田保夫社長(80)と古くからの友人だったのが縁で、看板の制作を引き継ぎました。
青柳謹一さん(83)
「画風が変わったらどうしようとかね、心配でした。『松田社長、わたしでもいいんですか』って、『いや、あなたしかいない』なんて言われちゃったもんだから…」
松田ペット 松田保夫社長(2021年に取材)
「これは『松田商展』だったの。社名変更したので、ペットにして…」
1973年に『松田商展(しょうてん)』として創業した松田ペットは、開店当初から“手描き”の看板にこだわってきました。
松田ペット 松田保夫社長(80)
「サブロクと言って、1メートル80センチ×90センチの手描き。手間がかかります。でも、味があって温かみがあって、私はこれが大好き」
この看板を45年にわたり手掛けていたのが、小千谷市の映画看板職人・近藤忠男さん。しかし、92歳と高齢となり、青柳さんが後を継ぐことになったのです。
印刷会社に勤めながら、ロゴの制作などを行ってきた青柳さん。依頼が入ると長岡市を訪れ、この場所に1週間泊まりこんで看板づくりに没頭します。
青柳謹一さん(83)
「動物の目というより“人間の目”をしていますよね。ありえない表情をしています。それがまた異様に面白いんです。なんで、こんな看板があるんだっていうね」
松田ペットの看板は、店舗の10キロ圏内に500枚ほど掲示されています。
特に看板が集まる場所はファンの間で“松田銀座”と呼ばれているとか…
スウェットに帽子、トートバッグなど40ものグッズが展開され、今やその人気は全国区です。
記者リポート
「これまでに販売されたカプセルトイは大人気で、『完売』の表示がついています。グッズのうちエコバッグは、この春に“異例の再再販”が決まったということです」
看板人気の火付け役は、2015年に長岡市に移住してきた新稲ずなさん。一つとして同じものがない看板の個性に魅了され、なんとフォトコレクションを自費出版!
新稲ずなさん
「最初は影だけだったのが、どんどんいつものヨークシャーテリアの表情になっていったとき、わあっと胸がいっぱいになりました。(犬の)向きが違ったりとか、センター違いとか、背景色違いとかいろいろあるので、マニア的にはかなりここは“沼”です」
16日夜には多くのファンが駆け付け、看板に命が宿る瞬間を見守りました。
ファンは
「(看板が)郊外のちょっとした車庫や納屋にあると、通ったことのない道でふいに見つけると『ここあったよ!」って。運転しながら見つける楽しみがある」
ちなみに3匹の犬はビーグルとチワワ、ヨークシャーテリア。並びに決まりはあるのでしょうか?
松田ペット 松田保夫社長(80)
「(描くときに)きょうはこっちかな、きょうはこっちかな、“カラスの勝手”で。色も“カラスの勝手”で、印刷だとそういうわけにはいかない。そのときの気持ちで、色も目玉も、あっち向いたりこっち向いたり…」
看板制作を継承した青柳謹一さん(83)
「松田ペットさんとしても、長い間伝統としてずっとこの近藤先生の画風を受け継いできていますから。わたしもできる限り、後継者として受け継いでいきたいと思います」
看板は5年ほどで新しいものに掛け替えているそうです。
ドライブしながら、歩きながら、タッチの違いを味わってみるのも楽しいかもしれませんね。
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