「お寺ってもっと気楽に来ていいんだよ」ウイルス禍で加速した“寺離れ”を食い止めるお寺の図書館『ののさま文庫』新潟県長岡市
BSN新潟放送 / 2025年2月1日 5時17分
新潟県長岡市にあるお寺の本堂に、小さな“図書館”がありました。
若い世代の「寺離れ」が進む中で、本を通じて“開かれたお寺”にしようと始まったこの取り組みは、お寺にどんな変化をもたらしたのでしょうか?
長岡市の与板町広野で江戸時代中期から続く照覚寺の本堂に通じる襖の先にある『ののさま文庫』。
【管理人 竹内幸子さん】
「“ののさま”っていうのは、阿弥陀様とか仏様を表す幼児語のことです」
本堂が“図書館”に変わるのは週に2回、日曜日と月曜日。
朝から多くの家族連れが訪れます。
「本が好きな子たちなので、たくさんいろいろな本をここで借りて読ませてもらったり、いつも遊ばせてもらっています」
絵本を読むだけではなく、本を通じた“交流”も『ののさま文庫』の魅力。
「絵本を見に来てるんだか、遊びに来てるんだかという感じで、すごくあたたかくしてくれるので、子どもたちも大好きな場所です」
長岡市与板の照覚寺で竹内幸子さん(57歳)が、2022年の夏に『ののさま文庫』をオープンしたのは、「気軽に寺に立ち寄るきっかけになれば」という思いから。
「“お寺離れ”が進んでいたことがありましたし、ガランとしてる本堂だったので、本堂を活用して図書館ができないかと思ったことがきっかけです…」
照覚寺は、定期的なお寺の法要などで寺の檀家を中心に親しまれてきました。
しかし檀家の高齢化もあって若い世代の寺離れが進むなかで、追い打ちを掛けたのが新型コロナウイルス禍です。
「会食とか全くダメ。“お参り”自体もなくなったので、お寺の活動も全くできなくなって…」
法要などの恒例行事がなくなり、地域住民との交流が減ってしまいました。
そこで、幸子さんが「寺を身近な存在に」と考えたのが、お寺を“開放”すること。
お寺の図書館『ののさま文庫』を運営しているのは、読書好きの幸子さんと、息子でもある住職の清史さん、そして清史さんの妻の美穂さんです。
新型コロナウイルス禍をきっかけにオープンした『ののさま文庫』は、2年余りのあいだに口コミなどもあって訪れる人か増えてきました。
「ニュースでたまたまここを見て、この子が絵本好きなので来てみようかなって」
「おしゃべりも全然できるみたいなんで、それはありがたいですね」
「小さい子は、テンション上がっちゃうと大きい声を出したりするので…」
一般的な図書館と違い、自由な“おしゃべりを楽しめる”のも魅力のようです。
照覚寺の図書館『ののさま文庫』に並ぶ本の数は、およそ2000冊。
子ども向けの絵本から小説や漫画などのさまざまな本は、檀家や活動を知った人からの寄付のほか、お寺の竹内幸子さんが自費で購入したりして揃えました。
絵本や育児本など、親子がそれぞれ読める本を回転する本棚などに並べるなど、本の“並べ方”にも工夫があり、楽しみながらお気に入りの1冊を探すことができます。
バラエティに富んだ本を目当てに、月に何度も『ののさま文庫』を訪れる地元の小学生もいます。
【長岡市在住 小学3年生】
「好きな本を見つけたりするのが好きだから。近くに図書館がないから、ここに来て本を読んでる。怪談の本とかが好き…」
『ののさま文庫』は、オセロや折り紙も楽しめる、地元の子どもたちの憩いの場にもなっているようです。
幸子さんとは2年ほど前からの読書仲間だという長岡市の須佐和子さん(43歳)も、常連客のひとりとして『ののさま文庫』での会話を楽しんでいます。
「こんな本が面白いよというのを教えてもらったり…。同じ本を読んでると解釈が違うので、いろいろな感想が出るのが面白い」
『ののさま文庫』のオープン当初はなかなか人が集まらずに苦労もしたそうですが、今では多い時に1日20人は訪れるそうです。
【照覚寺『ののさま文庫』管理人 竹内幸子さん】
「常連さんがいらっしゃって、その方たちに支えられて、その方たちと交流するのが楽しみでずっと続けてきた。お寺のことを知ってもらったり、お寺ってもっと気楽に来ていいんだよってことを知ってもらえたら嬉しい」
最近では、読書を目的とした人たちだけではなく、悩みの相談で幸子さんを訪ねる人もいるそうです。週に2日間のオープンではありますが、お寺の図書館『ののさま文庫』は地域に根付き始めています。
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