大学ラグビー“絶対王者”帝京大 10連覇を逃したいくつかの要素

文春オンライン / 2019年1月13日 7時0分

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敗戦後、岩出監督は観客席に丁寧に挨拶 ©共同通信社

 大学ラグビーで「事件」が起きた。全国大学選手権で無敵の9連覇を続け「絶対王者」と呼ばれた帝京大が、1月2日に行われた準決勝で関西リーグ王者の天理大に敗れ、連覇にピリオドが打たれたのだ。

 大学選手権の連覇記録はそれまで、1982〜84年度の同志社大の3連覇(故・平尾誠二さんの学生時代!)が最長だった。毎年戦力が入れ替わる学生スポーツにあって、常勝軍団を作るのは至難の業。だが帝京大は、それをはるかに上回る9連覇を達成した。

 帝京大の功績は、それまで学生スポーツで支配的だった上下関係、根性論を廃して勝利したことだろう。体力的に未成熟な1年生にグラウンド整備など雑用をさせる悪癖を撤廃。食のサポート、最新理論に基づいたトレーニング、さらに定期的な血液検査も実施。疲労状態を検証し、休養を与えるなどして選手のコンディションをバックアップ。筋肉、体重、走力も含めたベースの部分で、帝京大は戦う前から相手を圧倒していた。

 部のマネジメントも選手自身が担い、掃除や食事当番も最上級生が行うなど自主的な変革を重ねてきた。学生コーチ、学生トレーナー、分析スタッフなど、試合に出ないメンバーがチームを支える体制も年を追って進化してきた。

 だがそんな絶対王者にも敗れる日は来た。

帝京大が敗れた理由とは?

 準決勝で敗れたあと、1年生当時から快足のトライゲッターとして活躍してきた竹山晃暉は「他校もトレーニングをして強くなっていたのに、帝京は前よりも層が薄くなった気がする」と話した。かつて帝京大のアドバンテージだった体作りは、大学ラグビーのスタンダードと化していた。

 隠れた要素は日本選手権の大学枠撤廃の影響だろう。かつて、大学王者と社会人王者が対戦する方式で人気を集めた日本選手権は、16年度をもって大学の出場枠を撤廃。「打倒社会人」の大目標を掲げていた帝京大にとって、より強い者へ挑む機会が失われたことが、モチベーション低下につながったのは否めない。

 敗れた試合後、泣きじゃくる選手たちに岩出雅之監督は「これまでさんざんいろんな相手を泣かせてきたんだから、今日はしっかり泣け。そしたら胸を張れ」と呼びかけた。

 連覇の終焉は、逆に偉業の凄さを実感させた気がする。

(大友 信彦/週刊文春 2019年1月17日号)

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