「ある種の天才」ウランを作り出した高校生 製造方法を教えた“危ない先輩”の正体

文春オンライン / 2019年4月20日 6時0分

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ネットオークションに出ていたウラン精製物(「ヤフオク!」より)

 知ることは、時に罪となる。知識欲が暴走した高校生がとんでもない物を作り出した。

 警視庁は4月8日、高性能爆薬「ETN(四硝酸エリスリトール)」を製造したなどとして、火薬類取締法違反容疑で東京都内の高校2年の男子生徒Aを書類送検した。さらにAは、核兵器の原料にもなるウランの精製物を作製し、譲渡した原子炉等規制法違反の容疑でも調べられている。社会部記者も驚きを隠さない。

「発端の1つは2017年11月、『ネットオークションでウランが売られている』との通報でしたが、捜査過程でそのウランを買ったのがAだと判明した。さらに彼は他からもウラン鉱石を入手し、より純度の高い『イエローケーキ』と呼ばれるウランを精製。ネットオークションで販売し、周囲の高校生にも渡していたようです。放射能はほとんどなく核兵器への転用はすぐにはできませんが、一昔前であれば研究者にしかできなかった芸当で、ある種の天才です」

 警視庁が昨年10月、Aの自宅を家宅捜索した際には、実験器具などの他に化学実験に使う様々な薬品も見つかり、さながら小さな「ラボ」のような有様だったという。ただ、Aは「化学に興味があった」と供述。爆薬も爆発させないまま保管されていた。一介の高校生が、どうやって一連の“作品”を作製できたのか。

男子生徒に製造方法を教えた“先輩”の存在

「実験に必要な薬品等はネットなどで入手し、実験方法も市販の科学系の書籍やネット上の情報、論文などを参考にして自宅のラボで実験していたようです。ただ、製造方法などで不明な部分が出てくると、SNSでやりとりしながら指南役にアドバイスを請うていた。それが、名古屋市の元男子大学生でした」(同前)

 この元大学生は、Aと同じ爆発物のほかに覚醒剤、拳銃を製造するなどして、今年3月に実刑判決を受けた“先輩格”の存在。他に指南を受けた茨城県の少年は、覚醒剤製造などで少年院送りとなった。

 この“危ない科学”サークルの一員ともいえるAの処分はどうなるのか。捜査関係者は「AもSNSを通じて相談するなど元大学生の人脈内にはいたが、彼の場合は、その年齢や内容から書類送検にとどまるだろう。更生して、その才能を生かしてくれればいいのだが」と語る。

 彼の純粋な探求心が歪まないことを祈るばかりだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年4月25日号)

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