「ZOZO前澤社長にも力を貸してほしい」 日本からお寺がどんどん減っていく

文春オンライン / 2019年7月12日 12時0分

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鵜飼秀徳さん

 人口減少や核家族化などによって、地方では寺院の維持が難しくなっている。全国に7万7000カ寺ある寺院が、2040年には5000カ寺に減るとの予測も。住職のいない寺は、推定1万7000カ寺にのぼるらしい。

 鵜飼秀徳さんはこうした現状を丹念にルポ。2015年、『 寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」 』(日経BP社)を出版した。

「仏教界が正面から向き合ってこなかった問題だけに、当初は反発もありました。『どうすれば消滅を止められますか』とよく聞かれますが、社会構造の問題なので、避けようがないんです」

 同書は反響を呼び、経済誌の記者だった鵜飼さん自身にも、大きな転機が訪れる。

「実家は京都市・嵯峨にある浄土宗の寺院ですが、30代後半まで、お寺の世界とは無縁の生活を送っていました。東京で念願のマスコミに就職し、結婚して家も買った。大学時代に僧籍取得のための修行はしたものの、『誰か京都の寺を継いでくれないかな』なんて思っていたほど。『寺院消滅』の取材を始めたときも、寺院の衰退そのものより、それを通じて過疎化や地方の抱える問題を描くことに興味があったんです。ところが出版を機に京都に戻る方向に物事が動いた。今思えば必然でしたね」

 16年には、都会における葬送の変化を追った『 無葬社会 』(日経BP社)を上梓。仏教界とのつながりも深まり、同年末、会社を辞めることを決断した。

「評価を得るために争うなど、組織内の人間関係に疲れていた。背中を押したのは『そろそろ京都に戻らないの?』という妻のひと言です。それから準備をして、1年後に退職。会社員時代より年収は減りましたが、精神的な豊かさが手に入りました」

「民間企業とお寺をつなぎ、お寺に人とお金を呼び込みたい」

 ただし、お寺を継いだから安泰というわけではない。現住職の父親で32代目となる古刹だが、やはり経営は厳しく、文筆業や大学講師で生計を立てる。

「寺院の維持には少なくとも檀家が200軒必要なのに、うちは120軒。まさに消滅の危機ですよ」と苦笑する。

 最新刊『 仏教抹殺 なぜ明治維新は寺院を破壊したのか 』(文春新書)では、廃仏毀釈の現場を歩き、知られざる史実を掘り起こした。奈良では、天平時代の仏像が薪に、京都では、破壊された寺院の仏具類が四条大橋の材料になったというから驚きだ。

「当時、9万カ寺あった寺院が、わずか数年で半減した。お寺が消えるという意味では、今も状況は同じです。そうは言っても、心のよすがとなる、地域にとって必要なお寺は残すべきだと思うのです。どうすればいいか自分なりに模索して、『良いお寺研究会』を立ち上げました。民間企業とお寺をつなぎ、お寺に人とお金を呼び込みたい。ZOZOの前澤友作社長など、富裕層の方々も力を貸してほしいですね。月に行くよりも後世に残る偉業になりますよ(笑)」

うかいひでのり/1974年京都市生まれ。成城大学卒業。新聞社、出版社勤務を経て、2018年ジャーナリストとして独立。主著に『寺院消滅』『ペットと葬式』など。京都市右京区にある浄土宗正覚寺の副住職も務める。一般社団法人「良いお寺研究会」代表理事。東京農業大学、佛教大学非常勤講師。

INFORMATION

『良いお寺研究会』
https://www.yoiotera.org/

(梶山 寿子/週刊文春 2019年6月27日号)

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