“欧州最強”ドイツ銀行、苦肉のリストラ 破綻すれば「リーマン・ショック」以上の衝撃

文春オンライン / 2019年7月22日 5時30分

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ゼービング・ドイツ銀行CEO ©共同通信社

「欧州最強銀行」と呼ばれ、来年創立150周年を迎えるドイツ銀行が危機に瀕している。7日には世界規模で投資銀行業務からほぼ撤退し、グループ全体で1万8000人を削減すると発表した。日本でも中核のドイツ証券が株式売買業務からほぼ撤退し、500人いる人員の10~20%が削減される見通しだ。

 ドイツ銀行は、銀行業務のほか、証券、生命保険などあらゆる金融業務を遂行するユニバーサルバンク。かつてはダイムラーの筆頭株主であり、戦後ドイツの経済成長を支えた。冷戦終結後、企業買収などを手がける投資銀行業務を拡大し、1998年には全米8位のバンカース・トラストを買収。99年には、さくら銀行(現三井住友銀行)の買収に名乗りを上げたことも。

「2000年代初頭のアッカーマンCEO時代は、証券一体運営を目指していた日本のメガバンクもドイツ銀行をモデルにした」(メガバンク首脳)

 総資産額で世界15位のドイツ銀行だが、急激な拡大は歪みを生んだ。16年にアメリカで住宅ローン担保証券の不正販売で72億ドルの罰金を科され、昨年にはマネーロンダリングへ関与した疑惑が浮上し、信用が失墜した。

「人件費が高い投資銀行部門の経費率は95%にも達している」(銀行アナリスト)という。直近4年間のうち3年が赤字で、株価は20年前の10分の1に沈んでいる。

破綻すれば「リーマン・ショック」以上の衝撃

 危機打開に向けてドイツ銀行は競合するコメルツ銀行との合併を模索したが、労組の反対もあり今年4月に破談。今回のリストラは生き残りを賭けた苦肉の策と言える。

 ゼービングCEOは「我々は原点に回帰する」と宣言したが、前途は多難だ。ドイツ国内はコメルツ銀行や地域密着の貯蓄金融機関との競争が激しい。また、再建策の中で、リスクに見合った収益を生まない投資銀行部門の資産約9兆円を別組織に移す「バッドバンク」設立の構想が盛り込まれているが、その償却費用を捻出できるのか。市場では公的資金による政府の救済が必要との見方も出ている。

「ドイツ銀行の負債総額は260兆円とも言われています。破綻したら、08年のリーマン・ショック以上の衝撃が世界経済を襲う」(前出・銀行アナリスト)という最悪のシナリオも囁かれている。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年7月25日号)

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