日本に1万人いるという元アイドルたちの“その後” “元SDN48のメンバー”が追った

文春オンライン / 2019年7月22日 18時30分

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大木亜希子さん

 一説によると、アイドル経験のある女性は、現在の日本に1万人ほどいるという。その頂点ともいえるAKB48グループは数百名を擁する巨大組織。そこを去っていった女の子たちはいま、どうしているのか?『アイドル、やめました。』は彼女たちのセカンドキャリアを追ったインタビュー集。発売から3週間で重版が決まった話題作だ。

 著者の大木亜希子さん自身も元SDN48のメンバー。2012年の同グループ解散に伴い、“卒業”。その後は地下アイドル活動を経て、ウェブメディアの編集部に入社。現在はフリーライターとして活動している。

「会社員として働く中で、“元アイドル”というタトゥーのようなものが武器になる場合もありましたが、色眼鏡で見られてしまうこともあって。私自身もその経歴を印籠のようにちらつかせてしまうこともあり、一風変わったキャリアを積んでいることにコンプレックスが少しありました。同じように元アイドルという経験を持ちながら、現在は一般社会に溶け込んで暮らしている子たちがいるはずで、彼女たちの話を聞いてみたいと思ったんです。それに、これは当事者である私が取り組まなくてはいけないテーマだと感じて、使命感に駆られていました」

 大木さん自身は「第二の人生」として、なぜライターを選んだのか。

「アイドルは究極の女性性をビジネスにする職業。しかも、容姿やステージ上での華の有無、ダンスの巧さなど、どれか1つでも秀でていれば売れるというわけではありません。すごく運の要素が強くて、傍目から『なんでこんなに輝いているのに芽が出ないんだろう?』と思う人がたくさんいました。ライターは、そんな人たちを裏で支えることができる職業ですよね。私が書いた記事がバズって、まだ世に出ていない人やサービスが脚光を浴びると、アイドル時代の憂鬱が成仏していくように感じられて。そういう意味で、ライターは天職だと思います」

 本書に登場する8名は、かつてAKB、SKE、NMBなど48グループで活動していた元アイドル。現在の職業は、ラジオ局員、アパレル販売員、保育士、バーテンダーなど、実に多種多様だ。

「芸能事務所を退所した方がほとんどで、直接コンタクトする方法がありませんでした。そこで、元48グループの知人のネットワークを活用して、ラインでわらしべ長者のように辿っていきました。もちろん、なかには『元アイドルという経歴を隠して生きているから』と言う方もいました。それもひとつの生き方ですよね。その一方で、話を聞かせてくれた8人はアイドルだった過去を前向きに捉えていて、『あの経験が活きている』とも言っていました。握手会でファンの数が少なくても、来てくれた人たちをいかに楽しませるか。SNSでどんなことを発信したらファンは喜んでくれるのか――。確かにそれはクライアントへの対応や、取引先とのコミュニケーションと変わりません。アイドル社会は一般社会の縮図だと思います」

 大木さんにとって本書の執筆は、「人生の答え合わせ」でもあったという。

「アイドルは終身雇用ではないし、先が全く保証されていません。それに、花が咲いている時間がとても短い職業です。それでも、AKBブームを経た今、あの現場にいた女の子たちはひたむきに、力強く第二の人生を送っている。彼女たちの姿に私自身が励まされ、いまの自分を改めて肯定することができました」

おおきあきこ/1989年、千葉県生まれ。2005年『野ブタ。をプロデュース』で女優デビュー。10年、SDN48のメンバーとして活動開始。同グループ卒業後、15年『NEWSY(しらべぇ編集部)』に入社。18年、フリーライターとして独立。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年7月25日号)

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