決意、忠誠、入江さん……芸人ツイートに見る「宮迫・田村亮問題」、それぞれの答え

文春オンライン / 2019年7月22日 11時40分

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宮迫(左)、田村亮の緊急会見 ©文藝春秋

 7月19日。芸能事務所・吉本興業が所属タレントである宮迫博之(雨上がり決死隊)の契約解除を発表しました。その翌日、「フリー」の身になった宮迫博之と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮は揃って記者会見を行います。2時間半のその会見の模様は一部始終がウェブで配信され、生々しい証言は視聴者のもとにダイレクトに届くこととなりました。

 観ている我々ですらお腹下しそうになるくらい生々しかった宮迫・田村亮の会見に至るまでのあれこれ。これを、当のお笑い芸人たちはどのような心持ちで受け止めていたのでしょうか。この3日間ほどの芸人ツイートには、彼らが抱える如何ともしがたい思い、立場、業がにじみ出ている気がしてなりません。「笑い」を生業にした彼らがあの瞬間に残したものとは。

◆ ◆ ◆

まずは中堅芸人の“悲哀”と“決意”

【トータルテンボス・大村】

「宮迫さんと亮さんの謝罪会見を見ながら、西梅田劇場でのネタ出番。目が真っ赤になりながらの漫才。
 泣きっ面にサンパチ(><)」

【ノンスタイル・石田】

「あかん、泣けてきた。ヘラヘラとお笑いさせてーな」

【和牛・水田】

「もう笑わすしかないな。
 まぁ元々それしかするつもりないけど。」
 #明日はツアー広島公演

 まずは漫才界で中堅を担う3人。ネタに定評がある彼らが怒りをぐっと抑えつつ、でも劇場ではお客さんが待ってるから、そこに三八マイク(SONYが1970年から発売しているコンデンサーマイクロホン、C-38B。通称三八マイク)があるからという、悲哀と決意と告知が入り混じった複雑な心境を吐露しています。「とろ」といえばこの方は

【とろサーモン・久保田】

「やり過ぎ。ここまで袋叩きにしてトドメをさす100も承知だと思うが息子がいる奥さんがいる1人だけではない。犯罪者ではないのに雑誌やニュースは本当の犯罪者を叩かずここまできた。そしてまたここに現れるネット民がこう言う。擁護するな。するよ僕たち先輩の事、兄さんて言うんやから。家族なんよ」

 昨年のM1で審査員である上沼恵美子にインスタライブで暴言を吐きスーパーマラドーナ武智がなんか微妙な感じになったでおなじみの久保田さん。読点を一切使わない文章に溢れるバイブス。このツイートを見て思い出したのは彼らのM1優勝作品である『石焼き芋』でした。「芋は焼くんじゃない焼いたじゃない焼かせていただいているんだ」「すなわち私たちはI・M・O芋のように生きていくのです」。そうなるともしかしてここでいう「兄さん」とは芋神様のことなのかもしれないです。

“ソフトな批判“と“先輩への忠誠”を1ツイートで

【品川庄司・品川】

「俺たちは吉本興業という会社に憧れて入ったんじゃなくて、吉本の先輩芸人に憧れて入ってきたんだよなぁ。」

【ハチミツ二郎】

「立ち上がる時が来たんだな。」

 自分が所属している組織のことをはっきり批判するのは非常に難しいのでしょう。そんな中で「組織ではなく個人」という論法をとった品川さんはさすが。この1ツイートで組織へのソフトな批判と先輩への忠誠の、両方を表せます。そしてハチミツ二郎さん、ハチミツだけに「蜂起」を思わせる、シャレが効いててすごい。

【南海キャンディーズ・山里】

「とにかく精進あるのみ。
 今のところそれ以外で気持ちをしっかりする方法が見つからず。」

 これはまさに山ちゃん。この短いフレーズに「自分がいかにショックであるか」と「それでも前を向く俺」の両方を入れ込む、事務所がゴリ押ししたという「静観」ここにあり、ではないでしょうか。そして、これも以前文春オンラインで書いた 山ちゃんの「トモダチ戦略」 の副産物なのか、このツイートに「松本さんが動いてくれるそうです。大御所・ベテランに任せて、山ちゃんや中堅の皆さんはそれぞれの仕事を全力で尽くしてください!」というフォロワーからのリプ。誰だよ。

ウーマンラッシュアワーのふたりは?

 そんな中、山ちゃんの同期であるこの方は、

【ウーマンラッシュアワー・村本】

「やめようがやめまいがやることは笑わせること。どこにいても誰といても。」

 村本さん……最近ではてっきり思想家にでもなられたのかと思っていました。よかった、よかったです。さらにそんな中、相方の中川パラダイスさんは

【ウーマンラッシュアワー・中川パラダイス】

「今日の24時30分からロフトプラスワンウエストで始まる中川パラダイスのトークライブのゲストの坂口杏里さんが急病のため主演が無くなり電話出演に変わりました
 楽しみにされてた方本当に申し訳ないです
 払い戻しの対応もしてもらえるみたいです
 詳しくはロフトプラスワンウエストのホームページで」

 坂口杏里にドタキャンされていました。

あっさり“よしもと”を出す若手のツイート

 中堅芸人さんたちが情緒あふれるツイートをする中、吉本若手たちの反応はどうだったのでしょう。まずは

【EXIT・兼近】

「チャラ男なのでこれで変わらない会社ならとんじゃうよーー
 ぽんぽーん

 会社から芸人にしっかり説明求む!
 会社を守る為の一方的なヒアリングはもう良いだろう?

 どうなったか所属してるかねちがパリピの皆さんにしっかり伝えますので

 それができる新時代到来オーライ。まじ令和」

 先輩たちが決死の覚悟で会社への批判を小さなレトリックに託しているというのに、「コンプライアンスゴリ守り芸人」と「チャラ男」のキャラを存分に生かしながら問題の核心を突き、さらに今回の件で置いてけぼりにされがちな「ファン」にそれを伝えることまで。まさにぽんぽ~ん。さらに「会社を守る為の一方的なヒアリング」という爆弾まであっさり投下してお後がヒヤウィーゴー。

【空気階段・かたまり】

「年始から肉体改造に励んできたんですが、これ以上筋肉をつけると芸が乱れるので筋トレをやめます。
 有事の際に平均的な成人男性を倒せる程度の武力が欲しいです。
 何か筋力を必要としない格闘技を知っている方いたら教えてください。」

 先輩方たちが必死の思いで「お笑い」という職業を語る中、有事の際に平均的な成人男性を倒せる程度の武力を求める若手……。これすなわち反社会勢力への自己防衛なり。気功とかどうでしょうか。

【金属バット・小林】

「よしもと怖っ!怖いから一生付いてこ」

 ないのでしょうか。先輩との思い出話、泣けるエピソード、義憤に駆られた若手的なやつはないのでしょうか。先輩たちが喉元で必死に飲み込んだ「よしもと」という言葉、あっさり出し過ぎ。しかも割と会見序盤のタイミングでこのツイート、新世代過ぎ。

誰もが口をつぐむ“入江さん”に言及

【R藤本】

「よしもと本社、セルに吸収されたのかってくらい静まり返っている。」

【ですよ。】

「この世の中やばいですね。完全なるいじめ社会ですね。みんな自分の生活のためにとぼけてコメントしてるけど本音は絶対に違うと思うんですよ。この世の中やばいですよ。」

【三浦マイルド】

「ほんまに今更言います。入江さんに、良くしてもらってました。めちゃめちゃ厚いお兄さんでした。『こんな事したい』『こういうの考えてる』て話をする時、本当に人の役に立って助けたいて、考えて物事を、進めてはる人でした。ただ、最大の失敗が人をちゃんと見抜けなかった事だと思ってます。」

 ドラゴンボール芸人とエンタの神様芸人とR1王者。会見当日静寂に包まれる本社の描写、エモりすぎて「ですね」と「ですよ」が混在したり、誰もが口をつぐむ入江氏についてあえて言及したり、

 異なる方向から異なる砲弾を撃ち込んでいるのが、よしもとの懐の深さなのですね……。

三村、有吉……“非よしもと”は何をつぶやいたか

【さまぁ~ず・三村】

「やっぱり笑いはいいなぁ。
 幸せになれるよ。
 吉本の芸人たちも頑張ってほしい。。
 月が変われば流れも変わる。」

【有吉弘行】

「目立たぬように はしゃがぬように
 似合わぬことは無理をせず。」

 こちら「非よしもと」編。三村さんは「月が変われば流れも変わる」と本件の8月解決説を示唆、一方の有吉さんは河島英五の『時代遅れ』の歌詞を引用しつつ、一回ウン十万みたいな飲み会を当たり前に開いてっからだよお前さんという苦言を匂わせています。

「その時歴史が動いた」的なツイート

【松本人志】

「後輩芸人達は不安よな。
 松本 動きます。」

 これですよ。不安な後輩芸人たちの心情を察知して、社長とも会長とも対等に話せる男がついにその重い腰を上げる、「その時歴史が動いた」的なツイートです。一人称苗字は指原さんの影響なのか、それともオードリー春日なのか。推測しますに、春日は第23回東京オープンボディービル大会(75kg級)で5位入賞の実績があり、肉体派である松本さんは、そんな春日への憧れから、自分のことを「松本」と呼んでしまわれたのかもしれないです。春日すごいですね。

【レイザーラモンRG】

「先輩、動きがち♪」

 吉本興業あるあるをお願いします!

 フォロワーさんからのお題に対して、あるあるで返すのがおなじみのRG。今回の闇営業問題で、「相方が謹慎」という点では最も情緒てんこ盛りのツイートをしてもおかしくないのに、というか誰もがそれを待っているのに、この人がいちばんイジってる。笑いのカリスマ渾身のツイートを、膝かっくんするようなあるあるで返すなんて、RG、大丈夫なのかな。今日はHGの嫁がサンジャポで頑張ってました。応援してます!

【オール巨人】

「一応着てみました!
 上着は不思議な位ピッタリですが、

 ウエストが、がばがば
 僕でも88cm位有るのに、伊織は95cm位有るんかなぁ、ビック!」

 騒動の最中にひとり全く関係のないツイートをする師匠の胆力か……と思ったあなた。それは師匠の胆力をそこいらのレバーと見くびり過ぎです。上着→ジャケット→シャツ→カウスボタン、ですし、ウェストがガバガバ→カウスボタン、ですし、ビック!→カウスボタン、ですし、結局カウスボタンに行き着いてしまう、罪深きツイートなのです。「師匠!タイミング今じゃない気がします」というファンからのツッコミに「ねぇ~、笑」とだけ返すのもすごい。甘えん坊か!

◆ ◆ ◆ 

 壮大かつ内面をえぐるような、この「お題」に対して、様々な答えを提示した、お笑い芸人たち。

「涙を流して記者会見したやつの芸を誰が見て笑うんだ」とは世界の北野の弁。しかし、もしかしたらそれよりも、我々一般人を笑いにくくさせているのは、「お笑い」への情熱だったり、仲間への絆だったり、松本動きますだったり、そんなことを芸人本人が語らざるを得ない、この状況ではないでしょうか。

(西澤 千央)

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