アスクル社長「解任」騒動を招いた、あまりに雑なヤフーの対応

文春オンライン / 2019年7月26日 5時30分

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徹底抗戦の構えを取るアスクル・岩田社長 ©共同通信社

 ヤフーと、同社が株式の45%を保有する文具・日用品ネット通販大手、アスクルの岩田彰一郎社長が激しいバトルを繰り広げている。

 今年1月、ヤフーがアスクルの個人向けネット通販事業「ロハコ」の譲渡を求め、岩田氏が拒否したことから関係が悪化。ヤフーは、アスクルの株主総会で、岩田氏の取締役選任に反対すると表明した。

 一方、岩田氏は7月18日の会見で、ロハコを「ヤフーが乗っ取ろうとしている」と批判。ヤフーの川邊健太郎社長からロハコの切り離しを打診され断ると、6月27日、川邊氏が「ヤフーの経営会議で(岩田氏の)取締役選任に反対を決めた」と通告。アスクル株を約11%保有する文具大手のプラスもヤフーに同調すると伝えられ「綺麗に身を引かれてはいかがか」と自主退任を勧められたという。

 岩田氏は「成長事業を売れ、売らなければクビとは大株主の横暴」と、ヤフーに業務資本提携の解消を申し入れた。

 対するヤフーは、ロハコの譲渡の意向を聞いただけで、「今後も譲渡を申し入れる方針はない」とコメントした。

あまりに雑なヤフーの対応

 ヤフーは孫正義氏が率いるソフトバンクグループの主要上場企業だが、業績は今年3月期の最終利益が42%減益の778億円と冴えない。秋には「PayPayモール」を立ち上げてネット・ショッピングでの巻き返しを狙っており、「ロハコを取り込んで強化したかったのでは」(業界関係者)との見方も出ている。

 今秋、楽天が自前の通信回線を持つ第一種通信事業者として携帯電話事業に参入してくる。楽天が価格破壊を仕掛ければ、ソフトバンクグループの稼ぎ頭である携帯電話事業の利益も大幅に削り取られることに。そうなれば、市場関係者の目は約17兆円の連結有利子負債に向いてくる。

「今回のヤフーの対応はあまりに雑で、孫さんが関わっているとは思えない」(同前)

 8月2日に行なわれるアスクル株主総会で、ヤフーとプラスが反対すれば、岩田氏は自動的に社長退任に追い込まれる。しかし、岩田氏を「解任」したことでアスクルの業績が悪化すれば、怒ったアスクルの少数株主がヤフーを訴え事態が泥沼化する恐れもある。それでも岩田氏排除に動くのか。孫正義氏の判断に注目が集まっている。

(大西 康之/週刊文春 2019年8月1日号)

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