マツキヨ、ココカラ統合協議……ドラッグストア戦国時代で見えてきた「限界」

文春オンライン / 2019年8月26日 11時0分

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業界再編の主導権を握ったココカラの塚本厚志社長 ©共同通信社

 ドラッグストア大手のココカラファインをめぐって繰り広げられた、マツモトキヨシホールディングス(HD)とスギHDの争奪戦は、8月14日、マツキヨに軍配が上がった。ココカラとマツキヨは経営統合の協議を始めたが、実現すれば売上高1兆円規模で業界トップとなる。

「売上高で業界7位のココカラは、5位のマツキヨと6位のスギを両天秤にかけることで再編劇の主導権を握った。どちらもココカラと組めば業界首位になるので、喉から手が出るほど欲しい相手だった。ココカラの塚本厚志社長の作戦勝ちでしょう」(金融機関幹部)

 ココカラは第三者による特別委員会を設けて検討、マツキヨを選んだ。

「決め手は、化粧品などプライベートブランド商品の強さでした。マツキヨブランドはナショナルブランドより利益率が約1割高く、18年度の営業利益率は6.3%と業界大手トップです」(流通アナリスト)

 スギはなぜ敗れたのか。

「マツキヨHDは創業家の出資比率は13%程度と見られるが、スギHDは株の4割を握る創業家の影響が大きい。また、中部地方が地盤のスギは郊外型店舗が中心で免税対応も遅れていましたが、マツキヨは訪日客が得意というのも魅力だったでしょう」(同前)

ドラッグストア業界の「課題」と「限界」

 ドラッグストア業界はまさに戦国時代だ。マツキヨは22年間守った売上高トップの座を、16年度にイオングループのウエルシアHDに譲った。だが、18年度はツルハHDが首位に。ウエルシアやツルハは小規模な同業他社を傘下に収めることで拡大してきた。

「食品や日用品の激安販売でお客を呼び込み、化粧品や3割以上の粗利益のある医薬品で儲けるのが、ドラッグストアのビジネスモデル。仕入れ力など規模がモノを言うので、拡大に邁進してきたのです。安値攻勢でコンビニやスーパーの顧客を奪ってきた」(同前)

 だが、限界が見えてきた。

「ドラッグストアの店舗数はセブンイレブンに匹敵する2万店。市場規模は7兆円とコンビニの10兆円に迫るが、飽和状態です」(同前)

 同時に、薬剤師の確保も悩ましい問題となっている。「薬剤師の有効求人倍率は5倍超で、高給を支払わなければ雇えない」(ドラッグストア経営者)。また薬剤師には「1日平均で処方箋40あたり薬剤師1人」の規制があり、業容が拡大するほど人数を増やさなければならないというジレンマも。

「スケールメリットを求め、同業他社だけではなく、コンビニやネット通販事業者を巻き込んだ再編へ発展していくと予想されます」(前出・アナリスト)

 再編は始まったばかりだ。

(森岡 英樹/週刊文春 2019年8月29日号)

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